16 発見!
烏兎はしばらく黙っていたがぽつりと言う。
「ちょっと喋りすぎたな。作業戻ろか。」
何事もなかったのかのように作業に戻るその姿に、朔羽は口を開きかけてやめる。
ずっと緑人を殺すことだけ考えていた。でも……
もしそのときが来たとき僕はどうするのだろうか。
・・・・・***・・・・・***・・・・・
「何か見つかったか?」
俺はカフェのおすすめコーヒーを飲みながら烏兎に聞く。
烏兎は人差し指を立てて言う。
「一つだけ!」
「お!マジか!!すげぇな……こっちは何にも…」
「一つだけ気になることがあった。」
篠雨が飴を噛み砕きながら、俺の言葉を遮る。
「え?」
そんなのあったか?
夏帆も不思議そうにしている。
その横では昼斗がヘッドホンをつけて、フードを被って机に突っ伏している。
寝てるか起きてるかは不明。
「えっと、カメラの映像は朔羽くんが見つけたんやけど……」
「何だ?」
「この前、パドさんとこ襲撃してきた女性が宗教団体の建物入っていく映像があってん。」
「!?」
やっと怪しそうなところ出てきたな……
「篠雨は?」
「…緑人には関係ないかもしれねぇが、建物内の四角の柱の装飾に魔神に関するものがあった。」
「魔神?」
「あぁ。一本目は”クロイア”に関するもの、二本目は”アライト”。三本目は”ナルカミ”四本目は”ネレウ
ス”。」
魔神のことは知ってても名前まで覚えていない俺と、烏兎、日月は首を傾げる。
夏帆は全部わかるらしい。
朔羽は無言で黙っている。
昼斗は多分聞いてない。
「クロイア?アライト?何じゃそりゃ。」
「…さぁな、ほとんど分かってない。名前は俺たちが勝手につけただけだ。まぁ、とりあえず魔神と何も関
係がないのにあの柱があるのは変だ。」
「なるほど……」
そのときドアベルの音とともに夏帆に腕を掴まれる。
「何だよ?」
「ねぇ、今入ってきた子めっちゃ可愛くない?」
俺は入口に目を向ける。
薄い色の金髪をした少女があくびをしている。
濃藍の瞳で白い肌、白が基調のワンピースを着ている。まるでフランス人形のようだ。
「ね?」
「まぁ、そうだな。」
「適当に言ってるでしょ。」
「ていうか、今真面目な話してるでしょ。」
「特殊任務の内容読んでないやつが言っても説得力ないぞ。」
篠雨に言われて俺はうつむく。
烏兎が言う。
「とりあえずこれ以上進展なさそうやし明日頑張るしかないな。」
「そうだな。」
昼斗が急に起き上がる。
「うおっ!びっくりしたぁ……!!」
「どうしたの?」
夏帆が首を傾げる。
「…今日ってさ。何曜日だっけ。」
「……」
昼斗は首を傾げる。
「変なこと言った?」
「…はぁ。」
夏帆の小さなため息が響く。
烏兎が小さな声で俺に言う。
「ていうか、新人教育らしいこと、全く何もしてへんけど……」
篠雨が答える。
「普通に任務するだけでいいって言ってたから大丈夫だろ。」
「適当やなぁ……」




