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GREEN RECORD  作者: ミズイロみかん
GREEN RECORD
16/63

15 夕闇の中で




「よろしくお願いします。」


俺は昼斗にコソッと言う。


「結構美人だな。夏帆とは大違い…いって!」


夏帆に足を踏まれて俺は小さく悲鳴を上げる。


昼斗は首を傾げている。


「ご案内します。」


レカムはそう言うと歩き出す。


建物の中は静かで、数人の人々が手を合わせて台座の上の謎の石像に祈っている。


今のところは普通か……違法って具体的に何なんだ?


ふと篠雨が一本の柱を見つめている。


「?」


どうしたんだ?


篠雨がポツリと呟く。


「……クロイア。」


「??」


篠雨が無言で歩き出す。


俺も柱を見つめてみるが、模様の入ったただの柱だ。


……後で篠雨に聞いてみるか。


そのあと、建物の中をぐるぐる見学したが普通で違法行為の、いの字もない。


何かあったといえば、篠雨が他の柱も見つめて何か考えていたぐらいだ。


夏帆が呟く。


「この石像、何なんだろ。」


「さぁ。動物とか?」


昼斗は相変わらずぼんやりと歩いている。


結局何も見つからず、俺たちは帰る。


レカムが笑顔で言う。


「また明日、来てくださいね。」


?


「なぁ、篠雨。俺たち明日も行くのか?」


「あぁ。書類に書いてるはずだぞ。」


「……」


気づけば夕日が沈みかけている。


烏兎たちは何か見つけただろうか。



・・・・・***・・・・・***・・・・・



「緑人嫌い?」


突然投げかけられた問いに朔羽は顔を上げる。


部屋の窓から夕闇が差し込んでいる。


「何で……」


「そういう目してた。」


烏兎はカメラの映像を見たまま言う。


朔羽は呟くように言う。


「嫌いだったら何だよ。家族も全員緑人に殺されたんだ。」


烏兎は息を吐いて言う。


「意地悪な質問するけど、もし、日月くんが緑人になったらどないする?」


朔羽は思わず手を止める。


烏兎の黄色い目が寂しげに画面の光を反射している。


沈黙が流れる。


「これは多分そういう仕事。」


「分かったみたいなこと言って…お前に何がわかるんだよ。」


「確かに俺には朔羽くんのことなんか全然分からへん。」


「じゃあ……」


「でも、人が死ぬのはたくさん見た。」


「……!」


「『日月くんが緑人になったらどないする?』って聞かれて答えられへんのはさ、俺は……大事なことやと

思う。」


「…たくさん見たって何だよ。」


「……医局員のとき、片足が緑人化して足を切り落とした人がおる。植物が生えた、手遅れの戦闘員が運ば

れてくのを見送る。俺が担当してた患者の隣の患者は、いつの間にか白い布顔に掛けて動かへん。俺の周りには亡骸と肉片、悲しみ、恐怖、怒り。」


朔羽は魅入られたように烏兎を見つめる。


「被害が増えるに連れて俺の心も死んでく。医局員なのに自分の傷も止血できひんし、誰も救えへん。」


そして、寂しげに笑う。


「最悪やろ?」


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