12 同期
「な、なんでじゃじゃu……」
言い終わる前に思いっきり腹を殴られて、俺は座り込む。
夏帆は満面の笑みで言う。
「初めまして。パドさんから話は聞いています。佐野夏帆です。」
烏兎が驚きと困惑の混じった表情で言う。
「あ、えっと…よろしく……?なんか凰理と……」
「はい。この『バカ』の同期です。」
「……」
日月がぼそりと言う。
「何だこいつ。」
篠雨が首を少し傾げて言う。
「パドさんから何も聞かされてないんだが……」
「パドさんが凰理に連絡したと言っていましたが。」
場が静まり返る。
「えっと…あ、ホントだ。なんかきてっ…」
次は顔面を殴られる。
「夏帆!俺、サンドバックじゃないんだけど!」
「あら?そうだったかしら。殴りすぎて忘れたわ。」
烏兎は苦笑い。
日月と篠雨は無表情。
朔羽はゲーム。
夏帆が小さく呟く。
「さてと、昼行灯を待たせるわけにはいかないし、早く行かなきゃね。」
烏兎が「昼行灯?」と首を傾げている。
よくわからないまま、夏帆について行くと黒い車が一台停まっている。
窓が開いて、ひょこっと一人の男性が顔を出す。
ヘッドホンを首に下げていてグレーに赤いラインが入った上着を着ている。
閉じ気味の目が俺たちを見ている。
篠雨がポツリと呟く。
「昼斗?」
俺は篠雨の肩を掴んで言う。
「え!?何で篠雨が俺の同期知ってんの?顔広くない?」
「うるせぇ、離せ。」
車に乗り込みながら俺は聞く。
「なぁなぁ、どういう事だよ〜。」
昼斗は少しスローモーションで言う。
「この前…仕事で会った。」
「なるほど。って、色んな人と仕事してるんだな……」
そのとき朔羽が言う。
「昼行灯ってさぁ、ぼんやりしてて頼りなさそうな役に立たない人だよね?まさにその通りのクズだね。」
シーン。
夏帆が小声で俺に言う。
「話は聞いてたけど、ヤバいわね。」
「だろ……」
悪口を言われた昼行灯はぼーっと無言で朔羽を見ていたが、夏帆に視線を向けて言う。
「行灯って何だっけ。」
静寂。
「僕、変なこと言った……?」
「はぁ……」
夏帆がため息をつきながら助手席に座る。
昼斗は首を傾げながらハンドルを握る。
篠雨は何事もなかったかのように本を読んでいる。
新人二人は目をしばたたかせながら、困惑した表情をしている。
烏兎は笑いそうになっている。
まぁ、俺にとったらいつも通りの昼行灯だ。
景色が流れる。
朔羽は気を取り直したのか、ゲームをしている。
日月は昼斗を睨んでいる。
烏兎が
「そういや、パドさんからの連絡何やったん?」
「確かに。えっと……」
俺はメールを読み上げる。
『篠雨の負担が大きいため佐野夏帆と日暮昼斗と任務をしろ。」
「そんだけ?」
「それだけ。」
相変わらず。
日が高くなっていた。




