11 新人登場!
電車の音が聞こえる。
「どんな新人なんだろうな。」
「さぁ。」
篠雨が棒付きの飴を口に入れながら言う。
どうやら篠雨は飴が好きらしい。
「パドさん、ほぼ篠雨に丸投げやん。」
烏兎がため息をついて言う。
10時を過ぎているからか、駅の構内はそれほど混んでいない。
烏兎がふと
「あ、来た。」
「…!」
新人二人は俺たちの前で立ち止まる。
一人は暗いオレンジ色のジャケットと黒っぽいジーンズを履いた男性で、眼鏡をかけている。薄い灰色の髪
が目にかかっている。
もう一人は少し身長が低い男性で、明るい茶髪でグレーに水色で模様が入ったパーカー。猫背でとにかく眠
そう。
猫背の新人が
「よろしくお願いしまーす。」
とだるそうに言う。
「あ、えっと、よろしく!俺……」
篠雨が言う。
「電車来るから行くぞ。」
「え、早くない?」
「しかたねぇだろ。」
篠雨が切符を持って、改札を通っていく。
「と、とりあえず、行こか。」
烏兎が切符を取り出して言う。
電車に乗って適当な座席に座る。
篠雨が本をめくり始める。飴はいつの間にか食べ終わっている。
やる気なさそう……
「えっと、俺、鳳宮凰理!二人は……」
猫背の新人が言う。
「…浜山朔羽です。」
眼鏡の新人は眼鏡をかけ直しながら答える。
「羽野日月です。…よろしく。」
羽野と朔羽……
「よろ……」
「…ちょっといい?」
日月が言う。
「その黒いバック背負ってる人…やる気なさそうだし、この先の戦闘不安なんだけど。」
当の本人、篠雨は聞こえてないのか、本をめくり続けている。
「凰理さんは元気すぎて嫌だし。」
朔羽がゲーム機を取り出しながら言う。
「…あんたたち、今までの指導員と何も変わんないけど。」
日月の赤い目が冷たく俺を見る。
烏兎は苦笑い。
そして、完全スルーで篠雨は本を読んでいる。
空気が重い……
「よし!トランプしよう!」
「なんでそうなってん!」
烏兎が俺の突然の提案に驚く。
「ていうか、トランプ持ってるん?」
「持ってない!」
「じゃあ、何で提案してん……」
日月たちは俺たちを無視してゲームを始める。
無言の空気が広がる。
烏兎が気まずそうに窓の外を見る。
20秒後。
俺は言う。
「篠雨〜どうにかしてー!」
「うるせぇ。」
「なんとかできるでしょ!」
「俺はそんな万能人間じゃねぇ。」
「じゃあ、トランプ持ってる?」
「持ってねぇ。」
「なんでだよ……」
「今回の任務に持ってくるわけねぇだろ。」
今回の任務は蕾掃除と”特殊任務”だ。
「じゃあ、じゃんけん!」
「勝手にやってろ。」
「え〜篠雨もやろー。新人もいるんだし!」
新人二人は興味なさげだ。
烏兎は小さくため息をついた。
しばらくすると、電車が止まる。
「おっ!着いた。」
俺たちは立ち上がる。
電車をあくびをしながら降りる。
そのとき、人の視線がある人物に集まっていることに気づく。
夏の温風が駆け抜ける。
人の視線を集めながら”あいつ”は歩いてくる。
栗色の綺麗な長髪に、苺色の目。美人という言葉が当てはまる見た目。
でも、俺にとっては……
「久しぶり。凰理。」
じゃじゃ馬娘、佐野夏帆は言った。




