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ある龍の物語  作者: まっこ
第3章 流転
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16 ゴブリンの村

「これは、お主らが作ったのじゃ?」


『あぁ、そうだ』


「こう言っては悪いが、ゴブリンが作るものではないのじゃ」


 村の外側には穴が掘られており、その上には土が少しだけだが盛られていた。

 多少の外敵ならば、防げはしないまでも足止めにはなるだろう。

 その間に、迎撃の態勢を整えられることができ、十分に役割を果たすことができそうだ。


『我の提案が受け入れられたのだ。

 説得には骨が折れたが、それだけの見返りはあったと思う』


「間違いないのじゃ。

 ……お主、何者なのじゃ?」


『それについては、あとでゆっくり話す。

 先ずは、怪我を負ったもの達の手当てをさせてやってくれ』


「分かったのじゃ」


 リーダーは他のゴブリン達の元へと行ってしまった。

 ヴィーヴルは、ゆっくりと辺りを見回す。

 村に居たゴブリン達は、先程帰ってきたばかりのゴブリンの手当てをしていた。


(ゴブリンが手当てをすることは、あるのかも知れないのじゃ。

 だけど、怪我をした箇所に何かを塗り込んでおるのじゃ。

 あれは、薬草を塗り込んでおるのに違いないのじゃ。

 薬草によって怪我を早く治せることを、どうして知っておるのじゃ? 薬草があることをどうして知っておるのじゃ? あれらは人間の知恵なのじゃ。

 どうして、人間の知恵をゴブリンが知っておるのじゃ?)


 ヴィーヴルは考えれば考える程に、訳がわからなくなってきていた。


 程なくして、手当てを終えたリーダーがこちらへと帰ってきた。


 手振りを交えながら、ヴィーヴルを晩御飯に誘った。

 しかし、見たところ余裕があるようには見えない。


「妾のことは、気にする必要はないのじゃ。

 逆に、こちらへ食べ物を提供するのじゃ」


『子供はそんなことを気にする必要はない。

 貰えるものは貰っておけ』


「分かったのじゃ。

 ただ、妾には食べ物は必要ではないのじゃ。

 だから、気にする必要はないのじゃ」


『そう言うことか……やはり、唯の人間ではないと思ったのだが、何者なんだ?』


「それはお互い様なのじゃ。

 後で機会があったら話すのじゃ」


『分かった。

 じゃあ、食事を済ませてくるから、待っていてくれ』

 

 リーダーは他のゴブリンの方へと歩いていった。

 そして、食事の準備に取りかかった。

 どうやら、皆で集まって食事の準備をし、皆で一緒に食事を摂るようだ。


 そんなヴィーヴルの下に、子供のゴブリンが1体やってきた。

 何か言いたそうに、身体を捩っている。

 他から来たヴィーヴルのことが珍しくて、気になって仕方がないのであろう。


(遊んでやるのじゃ)


 ヴィーヴルは両手を上げ、唸り声を上げて子供のゴブリンを追い掛け始めた。

 それを見たゴブリンの子供は、叫び声を上げながら逃げ始める。


 ヴィーヴルとゴブリンの子供の追い掛けっこが始まる。

 途中で、ゴブリンの子供が、他の子供が集まっている方へと逃げていく。

 そこからは、村のゴブリンの子供全員を巻き込んでの、追い掛けっこの始まりだ。

 食事の準備が終わり、大人のゴブリンに呼ばれるまで追い掛けっこは続いた。

 とは言え、食事の準備と言っても、その時食べる分を集めて来るだけだ。

 それほど長い時間が掛かるわけではない。

 ヴィーヴルも、少し運動した程度で追い掛けっこは解散となった。


『おねぇちゃんはたべないの?』

『いっしょにたべようよ』


 などと、ゴブリンの子供達の誘いを断るのは心苦しかった。


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