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ある龍の物語  作者: まっこ
第3章 流転
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17 人としての記憶

『我は、何故かは分からないのだが、人として生きていたときの記憶があるのだ』


 食事を終え、リーダーの家に招かれたヴィーヴルは、向き合って座っていたリーダーにそのような告白を受けた。


 今日、それもつい先程、知り合ったばかりではあるが、今までのリーダーの行動や言動を見る限り、何ら可笑しなことではない。

 不思議なことがあるとすれば、何故、ゴブリンに人としての記憶があるのか? だ。


「生まれ変わった訳ではないのじゃ?」


『どうだろうか? ゴブリンとして生まれてきて、ゴブリンとして生活していた。

 人間との戦いで、生死をさ迷うような怪我をした時に、人としての記憶を思い出したんだ。

 だから、ゴブリンとしての我と人間としての我の2人が自分の中にいるような感じだな』


「人間の部分が、ゴブリンの部分を否定せぬのじゃ?」


『今はどこからどう見てもゴブリンだ。

 それに、ゴブリンとしての本能の方が強い感じだ』


「戦い方や、村を守るために土壁を作るのは、人間としての知識が使われておるのじゃ?」


『あぁ、その辺は人間の知識が役立つのでな』


「成る程なのじゃ。

 薬草の知識も、人間の時のものなのじゃ?」


『人間の時は、そこそこ有名な冒険者だったらしいからな』


 戦い方が上手いのも、その辺の知識があるからだろう。

 単独での戦闘が強いのも、人間の時の戦い方を上手く利用しているのだと思う。

 勿論、ゴブリンである今ではそのままとは行かないであろうが、ある程度の実力者ならば調整もできるだろう。


「世の中には、不思議なこともあるものなのじゃ……」


 リーダーはこちらを見つめている。


『その様子だと、信じてもらえているようだな。

 信じてもらえないと思っていたのだが……』


「あの戦いを見ておらねば、信じていないのじゃ。

 それに、村へ来て様子をみれば、信じるしかないのじゃ。

 とても、ゴブリンには出来るとは思えないことばかりなのじゃ」


『我も、人間の記憶を思い出さねば出来なかったことばかりではあるな』


 ヴィーヴルはここで少し考え始めた。


『どうかしたのか?』


「……お願いがあるのじゃ」


『何だ?』


「暫くの間、ここに居させて欲しいのじゃ。

 妾にも学べるものがありそうなのじゃ」


『我は構わんが、長老にも聞いてみないと許可できない』


「では、早速聞いて欲しいのじゃ」


『ここにいる間は、村の者達と同じように扱うぞ』


「構わんのじゃ。

 手始めに、明日にでも村の囲いを強くするのじゃ」


『どう言うことだ?』


「妾の土魔法で囲えば、そう簡単には崩されないのじゃ」


『それは助かるな』


「よろしく頼むのじゃ」


『あぁ、こちらこそ頼む』


 翌朝、土壁の強化と引き換えに、ヴィーヴルの村への滞在が許可された。

 その後、ヴィーヴルが村の外に自分の寝床を作った。

 最初は村の中に作ることを許可されたのだが、ある程度の大きさが必要ということで村の外に作ることになった。


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