表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある龍の物語  作者: まっこ
第3章 流転
120/344

40 再出発

「そろそろ、旅を再開しようかと思っておるのじゃ」


 ヴィーヴルは、リーダーに旅の再開を伝えた。

 元々、この村に寄る予定はなく、ゴブリンの子供たちと遊んでいるうちにいつの間にか日数が経過していた。


『もう行くのか? まだ居ても良いんだぞ』


「急いでいる旅ではないが、いつまでも遊んでいるわけにも行かないのじゃ」


『そうか……我達にヴィーヴルを引き留める権利はないからな。

 分かった、今まで色々とありがとうな』


「良いのじゃ。

 妾も色々と楽しかったのじゃ」


『今から出発()るのか?』


「この後、子供たちと遊んだ後に行くのじゃ。

 昨日も、遊ぶ約束をして別れたから、その約束は守らないといけないのじゃ。

 その時に、子供達にも伝えるのじゃ」


『寂しがるだろうな……』


「お主はどうなのじゃ?」


『我は……多少は寂しく感じるかもしれないな』


「多少なのじゃ? まぁ、良いのじゃ。

 では、行くのじゃ」


『あぁ、元気でな』


「お主もなのじゃ」


 ヴィーヴルはリーダーと別れて、子供達の下へと向かって歩いた。


『おねぇちゃん、きょうもブランコであそぼっ』

『うしろから、おしてくれる?』


「あぁ、良いのじゃ。

 でも、罠は作らなくて良いのじゃ?」


『あとでつくるから、だいじょーぶ』

『そうだね~、あそぶほうがさきだよ』

『わなはすぐつくれるもんね~』


「すぐに作れるのならば、先にやってしまった方が良いのじゃ。

 そうすれば、日が暮れるまで遊べるのじゃ」


『う~ん、そっか~』

『どうする? さきにやっちゃう?』

『でもな~……』


 ゴブリンの子供達は集まって、どうするのか話し始めた。


「妾も一緒に行くのじゃ。

 罠を作り終わった後に、ゆっくりと遊ぶのじゃ」


『わかった~、じゃあ、さきにわなをつくろっか』

『そうしよっか~』


 ヴィーヴルと子供達は、草を結んだ罠を作りに村の外れへと移動した。

 そして、ヴィーヴルと一緒に罠を作った。


『おわった~』

『おわったね』


「終わったのじゃ」


『じゃあ、つぎはあそびにいこ~』


「そうするのじゃ」


 今度は一緒にブランコへと移動する。


『おねぇちゃん、うしろからおして~』


「分かったのじゃ」


『つぎはこっちね~』


「では、纏めて押すのじゃ」


 ヴィーヴルは、風魔法で別の2つのブランコに乗るゴブリンの子供の背中を押した。


『すご~い』

『あはは、あはは~』


 ゴブリンの子供達は、次々と交代してヴィーヴルの風魔法で背中を押してもらっていた。

 そのまま日暮れ前まで遊び続け、村へと帰る頃合いになった。


『あ~、あそんだ~』

『おねぇちゃん、あしたもあそぼーね』


「それなのだが、遊ぶのは今日までなのじゃ」


『え~、あそべなくなるの~?』

『なにやるの? わたしもついていってい~い?』


「妾は村から出ていくのじゃ」


『でていくって、どこかちがうとこにいくの?』


「そうなのじゃ。

 妾は旅をしておったのじゃ。

 それで、これからまた旅に出るのじゃ」


『やだよ~、むらにいてよ~』

『そうだよ~、ずっといっしょにあそぼうよ~』

『たびなんてやめようよ~』


 子供達は口々にヴィーヴルの旅立ちに反対した。


「妾の目的はここに来ることではなく、色んな場所へ行きたいと思って旅に出たのじゃ。

 ここに来たのは、まだ旅の途中だったんじゃ」


『おねぇちゃんのやりたいことが、また、たびにでることなの?』


「そうなのじゃ」


『それじゃあ、わたしたちがどれだけいっても、だめだよね。

 おねぇちゃんはわたしたちといっしょにいると、おねぇちゃんががまんしているんだよね? そうしたら、なにもいわないででていくんでしょ? そっちのほうがわたしはいや。

 どうせなら、きちんとおわかれしたい。

 おねぇちゃんもそうおもったから、いったんでしょ?』


「また、ここに来るかもしれないのじゃ。

 その時は、また一緒に遊ぶのじゃ」


『きっとだよ』

『またきてね』


「あぁ、分かっておるのじゃ。

 では、皆は村へ帰るのじゃ。

 妾はここで皆を見送るのじゃ」


『なんか、わたしたちがいくみたいだね』

『そうだね~』


「ほら、暗くなると大人が心配するのじゃ。

 早く帰るのじゃ」


『またね~』

『きっときてね~』

『じゃあね~』


 子供達は後ろを見ながら手を振り、村へと帰っていった。

 ヴィーヴルも子供達の姿が見えなくなるまで、手を振り見送った。


「では、行くのじゃ」


 子供達の姿が見えなくなった後、一言漏らして最初の目的地へと向けて歩き始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ