35 敵襲(1)
『向こうでオークどもに襲われた。
こちらへ来るかもしれない』
傷だらけのゴブリンが、村へ転がり込んできた。
その場へとやって来た長老は、転がり込んだゴブリンに問い質した。
『オークどもは、あちらにいるのだな?』
村長は、ゴブリンが転がり込んできた方向を指差した。
そのまま、横に転がったゴブリンは頷いた。
『皆、聞いただろう、この村にオーク共が来るかもしれんと。
お前は、あいつにこの事を知らせてくるんだ。
お前とお前は、村の外に出ているものが居ないか見てくるんだ。
お前とお前は、あちら側の門を閉めるんだ。
他の者は、戦いに使えそうなものをここに持ってくるんだ』
村長の矢継ぎ早の指示に、村のゴブリン達が素早く動き出す。
外へ出ているリーダーの下への伝令も、村から駆け出していった。
「妾も力を貸すのじゃ」
子供達と遊んでいたヴィーヴルが、村長に声を掛けた。
『それには及ばない。
門を閉めれば、オーク共も村には入ってこられんだろう。
後はあいつが帰ってきたら、上手く追い払ってくれるだろう』
村長の言うあいつとは、多分リーダーのことだろう。
リーダーは村長から絶対的な信頼を得ているようだ。
「では、帰ってくるまでの間、オーク共が村に入ってこられぬように見張るのじゃ」
『そこまで言うのなら、お願いするとしよう。
だが、無理はするなよ。
あいつが上手くあしらうであろうからな』
「分かっておるのじゃ。
ちょっと魔法で牽制するだけなのじゃ」
『おねぇちゃん、どこいくの?』
「うん? ちょっとオークと遊んでくるのじゃ」
『ぼくもいっしょにあそびた~い』
『いっしょにいきたい』
「いや、本当に遊ぶわけではないのじゃ。
言葉の綾と言うか……村長、どうにかして欲しいのじゃ」
『子供にそんな言い方をするからだ。
ほれ、子供達は儂と一緒にこっちへ来るんだ』
『おねぇちゃんといっしょがい~い』
『おねぇちゃんもこどもでしょ?』
「妾は別なのじゃ、村長と一緒にいて欲しいのじゃ」
『じゃあ、あとでまたいっしょにあそぼ』
『つぎはブランコであそぶよ』
『くさのわなをつくりにいかないと、おこられるぞ~』
『あ、わすれてた~。
じゃあ、わなをつくってからブランコだね』
子供のゴブリンが各々に話し始めた。
「分かったのじゃ。
では、後で何をするのか、村長と一緒に行ったところで決めておくのじゃ」
子供達はヴィーヴルの言葉に従って、村長の後ろに付いていった。
「ふぅ、下手なことは言えないのじゃ」
ヴィーヴルは土壁の上に飛び上がった。




