34 ゴブリンの網作り
その日、リーダーは村の周りの見回りもそこそこに、他のゴブリン達と集まって村の中で作業をしていた。
朝から子供達に捕まっていたヴィーヴルは、手を繋いで村までやって来た。
「今日は何をやっておるのじゃ」
『網を作っている。
縄を作れるようになったんだからな』
「そうなのじゃ。
妾も見ていても良いのじゃ?」
『構わんよ。
子供達にも見せておきたいから、丁度良かった』
『子供達に見せておきたい』と言うのは、技術の継承を考えてのことだろう。
リーダーが居なくなった後、壊れてしまったり失ってしまったりした時に、食料確保のひとつの手だてがなくなってしまうのはよろしくない。
村の存亡にも関わる重要な事柄ですらある。
リーダーと他のゴブリン達の作業の邪魔にならないように、ヴィーヴルと子供達は肩越しに作業の状況を見守る。
リーダーは殆ど手を動かせず、他のゴブリンの作業へ助言している。
網を作ることができるものを増やしたいので、当然と言えば当然だ。
自分でやった方が、作業を早く終えられるのは間違いない。
その結果、網を作れるのは自分だけだ。
それでは、他の者にも作業をさせる意味がない。
最初は時間が掛かっても作業させないといけないし、自分が手を動かすのは手本としてもらうつもりだ。
『そこは、この糸をそこに持っていくんだ』
『そこは、こっちを持っていくんだ』
リーダーは矢継ぎ早に繰り出される質問に、1つ1つ返していく。
その作業を見ていて、ヴィーヴルが疑問に思ったことをリーダーに聞いてみた。
「この前作った縄より細いようなのじゃ。
どうやって作ったのじゃ?」
『これは、この前作った縄を解いたんだ。
網に使うには、あの縄は太すぎるからな』
「それだと、すぐに破れてしまうのではないのじゃ?」
『網はヴィーヴルが思っているよりずっと丈夫だと思うぞ。
この糸で作った網でも、我達より大きな獲物が掛かったとしても破れないと思う。
ただ、網は破れなくても我達が引き摺られてしまうと思うがな。
それに、糸が太いままだと、その分重くなってしまう。
我達では湖まで持っていけないかも知れないからな』
「網の目が大きいようだけど、もっと細かくせぬのじゃ?」
『これは、2つ理由がある。
我達が細かく作るのが難しいと言うことと、小さい魚は逃がしたいからだ』
「小さい魚は逃したいのじゃ?」
『あぁ、小さい魚はその時捕まえてしまうより、大きくなってから捕まえた方が多く食べられる。
その魚が子供を残すことは出来ない。
大きく育ったあとならば、子供を残してくれるかも知れないだろうからな』
「分かったのじゃ」
リーダー達は網を2つ編み上げて、最後にリーダーが2つの網を1つへと繋ぎ合わせて1つの網とした。
『それじゃあ、これから湖で漁をするぞ。
皆で網を運ぶんだ』
リーダーと大人のゴブリン達が網を持ち、湖へと移動を始めた。
ヴィーヴルと子供のゴブリンが、その後を話ながら付いて行く。




