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ある龍の物語  作者: まっこ
第3章 流転
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31 獲物を仕留める

『おーい、獲物が掛かっているぞ』


 リーダーが縄の罠を仕掛けてから数日後、罠に獲物が掛かっていたらしく、ヴィーヴルや一緒に連れてきたゴブリン達に声が掛けられた。

 今までにも何度かは動物を仕留めることはできていたが、リスやウサギ、イタチなどの小動物が殆どで、イノシシやシカは死んでいたものだった。


 今までだって、落とし穴に落として底に刺してある木に刺さって死んでいるシカやイノシシはいた。

 人間用として作った落とし穴だが、シカやイノシシだって全く引っ掛からないわけではない。

 だが、そうして罠に掛かった獲物を地上へと引き上げる術をゴブリンは持っていなかった。

 だから、目の前に食べ物がありながらも、落とし穴の蓋を再び作って閉じていた。


 縄を使った罠ならば、引き上げるということは行う必要がない。

 ただ、相手はまだ生きているので直接、自分達の手で止めを刺す必要はある。


 ゴブリン達は、罠に掛かっているシカを取り囲む。

 その様子を見ていたシカは、興奮したのだろうか立ち上がって逃げようと四方八方に走ろうとする。

 しかし、前右足が罠に掛かっているので、当然ながら逃げられずにすぐに転んでしまう。


『戦闘訓練にもなる。

 獲物を良く見て、少しずつ傷を負わせるんだ』


 ゴブリン達が取り囲む輪を少しずつ小さくしていき、自分の方向へと向かってきたシカへ木の枝で作った槍を突き刺す。

 ゴブリンの力では、致命的な傷を負わせることができない。

 シカは身体中が傷ついた状態で、なおも逃げようともがき回る。


「一度に止めを刺さないと、可哀想なのじゃ」


『だが、今の我らではこのように戦うことしかできない。

 無理に突っ込めば、やられてしまうのはこちらだ。

 仕方がないだろう。

 もう少し弱って、動けなくなったら止めを刺す』


 ヴィーヴルは、これ以上口を挟むことができない事を悟った。


 決していたぶり殺そうと言うわけではない。

 少しでも隙を見せたらこちらがやられてしまう。

 あくまで真剣勝負なのだ。


 シカは罠に掛かっていると言う状況ではあるが、それは知恵比べに負けただけだ。

 有利な状況をこちら側が作っただけに過ぎない。


 暫くして、身体中、傷ついたシカは動かなくなった。

 だけど、胸の部分が上下しているので、まだ生きてはいるようだ。


『これ以上、長引かせる必要はない』


 そう言い残して、リーダーはシカの前へと歩み寄った。

 もし、シカが余力を残していたら、ゴブリン側からも犠牲が出ていただろう。

 しかし、現実にはそうならず、リーダーはシカの頭と胴を一刀の元に別れさせた。


 シカを仕留めたリーダーは、辺りを見回して落ちていた棒を拾った。

 そして、シカの前後の両足を縄で括り付けた。


『シカを運ぶぞ。

 皆で棒を持って、肩まで担ぎ上げるんだ』


 リーダーの説明通りに、ゴブリン達は棒を担ぎ上げてシカを村まで運んだ。

 暫くの間、ゴブリンの村は食べる物に困らずに済むことだろう。


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