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異世界なのだから最強の剣を求めるのは普通だろ  作者: 雪兎
序章 異世界と魔法と剣と
5/49

第4話 魔法と現実と伝説の素材と

ようやく書きたい事のための序章終わりそう。予定では、次話で序章終了になります。



言葉じり調整 4/9

 金属音が鳴り響く工房、リズムは一定で小気味良く響いていく。早朝の剣術の稽古が無傷で終われた、俺が工房で鍛造作業を行なっている音だ。


 まぁ、稽古が対人模擬戦形式から一般的な剣技稽古へとシフトしたおかげで、身体的な外傷が無くなったから、朝の製造修行の方が追加されたんだがな。


 因みに、ここ3日程は例の腕輪を着け、剣と鍛造の修行を行なうようにしている。

 理由は簡単だ。親父に負けたくない、ただそれだけの思いだ。


 切っ掛け? 懐かしい腕輪だな、等と言って、現にここ数日間外さずに生活している光景を目の当たりにさせられているから、という単純な話だけど、でも本音を言えば、単に負けっぱなしっていうのが(しゃく)(さわ)る、という意地みたいなものが、本当の切っ掛けだろう。



 まぁ、それは置いておいて今は……。


「ヒルト、またフチを唐紙叩いたな。フチは最後に五分の力で、鏡で叩いてから成型しないと割れが入るって何度いやわかんだ」


 タングの怒鳴り声だ。


 職人とは基本的に、自分の遣り方と弟子の遣り方の違いに対して、とりあえず怒鳴る傾向が強く、特に弟子が子供ならなお更だ。


「だから、横に入れないで縦に鎚入してるし。それに最後にフチヘシ※すれば良いんだって、何度も言ってるやんか、この分からず屋」


金属を伸べると、フチに金属が寄って行き溜まる状態になる。それを放置すると、徐々に脆くなり割れていく。簡単に言えばパン生地を、麺棒で伸ばし続けると裂けていくのと同じ事が起こる。


 これを回避する為に、中心から打って行き最後にフチを押さえるのだが、この遣り方の違いから喧嘩になっているのだ。


「だがな、それだと均一成型できないで最後に割れが入る。その上、峰の有る剣じゃないんだぞ。刃研ぎの時に、波打って削り時間が掛かるのはどうするんだ?」


 これがの親父の言い分だ。


「だから、最終鎚の2工程前から鏡で、端から真ん中へ叩いて均し槌※入れれば、金属粒子目が揃ってより強度が上がるんだって」


 これが俺の言い分になる。



 だが……


「お前、それだとなお更工程数が増えて時間が掛かるだろ、子牛目だか粒子目だか知らんがな、一本に、何時間も時間をかけて幾らで売る気だ。一本たかが十数銀貨の為に、何時間かけんだって言ってんだよ」


グウの音も出ない。


 単価で言われてしまえば、商売なのだから何ともいえない。でも、単価を考えない物なら俺の方が正しいはずなのに。


 そうやって、ぐうの音も出ないでムクレていると、


「まぁ、ここ数日鍛造を教えていてだが、俺の師匠が言っていた事と同じ事を言って、何度も驚かされたからな、一概に否定する訳じゃなけどな、お前はまだ未熟なんだ。知識だけで技術がついて来ていない」


 フォローになっていないフォローが入った。 


 しかし、その言葉のあと、タングは複雑な顔をしてから俺に背を向け、頭を掻きながら、


「修練短縮のスキルってのは、こんなに早く技術やら知識を習得するもんなんのか? 教える身にもなれってんだ」


 小声で愚痴をこぼす。


 因みにここ2~3日は、こんなやり取りが日常になってきている。


 自分でも技術習得速度が早いと感じる事がある。

 基礎的な知識は元の世界で、嫌になるほど叩き込まれたからだけど、体で覚える技術の習得に関しては、素人に毛が生えた程度の物のはずだった。しかし今では、それなり出来るようになっている、それもたった6日でだ。スキルと言う物が、こんなに狂った物だとは思わなかった。


 それに、剣術に関しても同じ事を言えるが、二人に一撃を入れられるか聞かれればNOだ、この辺は地力がモロに響くのだろう。 



 考えを終えてからは、親父の言う通り基礎的に鍛造に取り組み、昼になった。


「ヒルトそろそろ飯にするぞ。鎚を置いて庭に来い」


 そう言いながら鎚を置き、バスケットを掲げていた。


 今日は、朝から母さんは出かける用事が有るとかでバスケットのお弁当を出かける前に工房に置いていったので、タングと二人での昼ご飯だ。


 そこで俺は、今まで気になっていた事をタングに訊ねた。


「親父、気になってたんだけど。武器の刀身とかに使う材料が有るじゃん。前に教えてくれた、鉄、銅合金、魔物の素材、以外に他ってどんな物が有るんだよ?」


「また、藪から棒に何を言うんだ? 他って例えば、アダマンタイトとかのことか?」


 俺の言葉を聞いたタングは、少し変な顔をして、困ったように答えた。


 そして俺が頷いて肯定すると、


「そうだな、さっき言ったアダマンタイトの他には、白銀鋼、ミスリルの様な高価で実用性の有る物と。国の宝剣で、『神』が作ったと言われるオリハルコンの剣が有名だな。その他は、金やら銀、あとは、白金とかの装飾用だろ。後は、重くて実用性は無いが重銀鋼と、脆くてなってどうしようもないが、色が虹色になるってんで安価な装剣に使われる、ヒヒイロガネがあるな。他にも鉄だけでも色々有るが、今思い付くのはこのくらいか」


 その言葉から、


 最初の、アダマンタイトやミスリル、オリハルコンは、RPGなんかでは、最強の武器の材料になるくらい有名な伝説の素材だ。ヒヒイロガネもまた同じくらい有名な伝説級の素材なのに、こんなに除外的なのか気になった。


 そこで、


「親父、ヒヒイロガネってそんなに簡単に手に入るの? あとそんなに脆い素材なの?」


 素朴な疑問をぶつけてみた。


 タングは珍しい物を見る様な顔をして、


「お前、ヒヒイロガネに興味が有るのか? あぁぁ、アレは辞めとけ、装飾品にしても安価な割りに手間が掛かるし、鋳造※しようが熱間鍛造※しても脆くて使い物にならないぞ。原石のままだと強固なんだが、如何せん軽過ぎて投石にも向かない、まぁ魔力を流すには、ミスリルやらの高価な物と同じくらい良いらしいがな」


 そう答え、顎へ手をやっていた。


 聞く限りだと本当に使えない素材の様に感じるが、伝説の素材には変わらない。もしかしたら、魔法でしか本来の力を発揮しないとかかも知れない、それに、もしも現物が見れるなら見てみたい。

 

 その思いで俺は、


「虹色の剣が気になるから、親父作ってくれよ」


 提案する。


 しかしタングは、ため息混じりに、


「装剣は打たない。それにそんな物は、家具屋にでも行けば幾らでも見れるし、原石ならシアンの材料屋に、捨て値で売られてるぞ」


 手を振りながら答える。


伝説の素材なのに何て存在(ぞんざい)な扱いなんだろう、悲しい限りだ。 でも、元日本人としては、どんな事をしても使える物にしたいと考えるのは、当たり前だろう。


 そこで、


「親父、お願いだから見に連れてってくれないか? 頼むよ」


 造る方から、見る方へと願いを変えてみた。



 タングは、顎に手をやり考え、俺はその仕草をじっと見つめる。

 

 暫くすると目が合い、タメ息を吐いてから、


「仕方ないな、まぁ、材料も大分使って買い増ししなきゃならんからな。その次いでに、アインの店にでも寄れば、装剣くらいは置いて有るだろ。でも、そろそろクリスが帰るからな、明日にするぞ」


 どこか楽しそうな親父が居た。



 そんな親父よりも俺は、その言葉で明日が楽しみになった。

 何せ、伝説の素材を生で拝めるんだ、幾らボロカスに言われていても必ず隠された力とか、秘密の製造方とかが有ると、厨二心が揺さぶられる。それに、異世界で魔法が有るんだからな、必ず何か特殊な何かが有るはずで、ワクワクが止まらん。




 その後、昼飯が終わり、明日材料の買い増しをする為に材料庫の片付けを始めた。


 1~2時間位で粗方片付けが終わり、親父に報告しに工房の方に向かうと、ちょうど良く帰って来たクリスと鉢合わせた。


「あっ母さんお帰り、用事終わったの?」


 そう声をかけると、クリスが少し不味いみたいな雰囲気をだしていた。


 その雰囲気に少し疑問を感じ首を(かし)げていると、

 

「クリスさん、私の部屋の掃除が終わったので、荷物を上げるの手伝ってもらっても良いですか?」


 家の方から聞き覚えの有る声が聞こえ、声と共にこちらへ向かってくる人影。


 その陰へ目をやるとファラがそこに立っていた。目が合ったと同時に、互いに【あっ】となり次の瞬間、ファラに舌打ちをされた。

 クリスもあら残念と、つまらなそうな雰囲気を出す。


 驚きながら、


「なんで、ファラ先生が今日家に居るんですか? 授業は明日のはずじゃ? あっ、さっき部屋とかなんとか言ってましたよね?」


 俺が矢継ぎ早にに質問していると、工房から、


「おっ何だよ、もうバレたのか? せっかく材料庫の掃除に行かせといてやったのに。何をやってんだよ」


 悪戯坊主みたいな顔したタングが工房から顔をだした。


 そのことで、三人の顔を順番に見渡しながら、


 なんだあれか? 異世界マンガとか特有の、一緒に暮らします的な展開キター。


 となる俺に、


「本当に君は勘が良いね。からかい甲斐が無くて本当につまらないよ」


「本当にそうね、どこかの誰かさんと一緒で、こういう時だけ間が悪いのよね。楽しみ甲斐がなくてお母さん、干からびちゃうわ」


女性二人は、本当につまらないという表情で互いに、「ねー」と言い顔を向かい合わた。

 親父と俺は、何でそんな事言われているのかわからないという感じで、両手を上げて首をかしげ合った。


 すると、ファラの視線が俺と親父の腕に行くのが見えた。

 そしてファラは、一瞬驚いた表情をしてから首を振って、


「ヒルト君、その腕輪を着けて、何時間位たってるのかな?」


「えっと、今が14時か15時だから9~10時間位かな? 今日は、まだ」


 その答えを聞いたファラは、少し複雑な顔をしてから、俺の頭を撫で、


「君は、才能やスキルだけに頼らないで努力をする良い子だと思うけどね、余り無茶な事をしないでくれ。今回は、近くに両親が居るし何もなかったから良かったけど……もしも、独りの時に何か有ってからだと遅いんだよ。だからね、絶対に自分の力量を見誤って無茶な事をしないでくれ、私はそれが心配だよ」


 と心配された。


 確かにファラの言う通り、何度も倒れそうになった事も有る。それなのに、それでもと、親父に対しての意地で無理やり突き通してしまっていた。

 そして、その度に、母さんと親父(おやじ)が助けてくれたり、見守ってくれた。

 もしも、独りの時に何か有ったらと考えると本当に無茶だったのかも知れない。


 俺は、そう考え、


「ごめんなさい。今度からはもう少し周りの事を考えて行動します」


 そう反省した。


 反省している俺にファラは、微笑み、


「まぁ、これだけの事が出来る様になっているから、少々の事では無茶にならないだろうし、それに、今日からは私が24時間一緒に居るからね。私と居る間に、自分だけで何が出来て何が出来ないかを知れば良いんだよ。今は失敗をして行けば良いんだよ」


 また頭を撫でながら、優しく答え返してくれた。


 俺は、側に誰かが居ると言う事が、誰かが見守っていてくれる事が、こんなにも温かく心強い物だと初めて知った気がする。

『誰も、独りじゃ生きられない』『君は独りじゃない』なんて言葉を、都合良く使う人が居るけど……今思えば、気付かないだけだったり、言葉にはしないだけで、見守ってくれる人は沢山居たんだろう。今度は、そんな人を裏切りたくない。この世界には、こうやって見守ってくれる人が居ると気付けたから。


 ファラと俺のそんなやり取りを、タングとクリスは肩を寄せあい、優しく見守っていてくれていた。まぁその後すぐ、腕輪の件でタングはファラに怒られていた事は秘密に……ならないか。


 あと、ファラの荷物を部屋に運ぶのを手伝ったが、荷物の大半が本や魔法道具で、女性として大丈夫か逆に心配になったけど、言わないでおこう。




 全部一段落してファラの歓迎の夕食が始まった。


 夕食には、アピスカウの肉が並んでいる。

 何でもファラと母さんが帰り道にばったり出くわしたので、狩ってきたとか……うん……狩人さん達が命懸けで狩る魔物さんをアルミラージ感覚で……話す女性二人っていったい……。


 夕食の後、ファラに部屋へ来るように言われたので、俺はファラと一緒に部屋へ行く。


「先生、話って何ですか?」


 内心ムフフな妄想でいっぱいだが、平常心を装う。


「明日の早朝は私と、魔法の訓練をする事になったから、事前に魔法の勉強をしたくてね。所で君は魔法って何だと思う?」


 俺の妄想は一瞬で消え去った。



 魔法はRPGとか漫画だと、魔力を消費して発動する。中には詠唱の必要な物も有るとか、その程度の知識しかない。でも、大抵がイメージを具現化するという事が重視される、それこそ魔法だ。


 そこで、今の俺に答えられる回答は。


「えっと、魔力を代償にイメージをした魔法を発生させる感じですか?」


 その答えを聞いたファラは、ちょっとだけ勝ったみたいな顔をして、


「それだとタングさんでも魔法が使える事になるよね? それこそ、発現していない魔法でも使える事になっちゃうよ」


 そう、してやったり、みたいな表情を浮かべた。


 その表情を見た俺は、直ぐに別の答えを、答えようとするが、


 俺が他に思いつくのは、発現魔法にしか魔力変換できないとかだけど違う気がする。


 そう思って、悩んでしまっていると、


「例えば、私なら水と風が使えて、クリスさんなら治癒と強化、あと金剛が使えるんだったかな? タングさんは、何も使えないけど魔力が君以上に有る。そこから考えると少しはわかるかな?」


 人差し指を立て、少し首をかしげて、ヒントを出してくれたファラ。


 俺はそのヒントから更に考えるが、風と水の関連性はわからない、それに、治癒と強化は体に関係してる、けど金剛は関係ない。親父は、理解できない、余計に悩み謎が増えていく。


 結果、


「先生やっぱり解らない。ただ、魔力にも性質みたいなのがあって、それが人によって違うって事くらいしか思いつかないよ」


 諦めて素直に、自分が考えた事を口にした。


 そうするとファラは二度頷いてから、


「いい線だね、魔力に性質が有るっていう所は正解だよ。詳しく言えば、私の魔力は気体を操る事に特化してるんだ、だから直接水を操るのは苦手だけど、水を作り出す事の方が得意。クリスさんは、二種類の魔力が使えるんだ。体に作用する魔力と魔力を土系統の物質に変化させたり、鉱石なんかを操れるんだよ。タングさんはどれにも当てはまらないってことなになるのかな」


 親父(おやじ)に関しては少し曖昧さの有る回答だったが、分かり易い回答をくれた。


 俺はその説明を自分に当てはめて考える。


 俺の発現魔法は[炎][雷電][魔力的強化]だ。[魔力的強化]は多分母さんの強化と同じ物だろうけど、[炎][雷電]の共通点が見つからない、ということは。


「ファラ先生、なら俺は三つの魔力が有るって事になるのかな?」


 どこか、凄い事のような感じで聞いてみた。


 だが、俺の答えを聞いて、


「まず[魔力的強化]なんだけど、これは魔力強化体(フィジカルブースト)の上位互換で、魔力の量で強化率が変わるスキルに近い性質なんだよ。あと[炎][雷電]だけど、この系統の組み合わせは難しくてね。一種類の場合と、二種類の場合が有ってね、一種類の人は凄く希少で、操作するのが得意みたいなんだ。二種類だと作り出す事が得意なんだよ……だから君に初歩の魔法を使って、性質を念の為に調べておきたいんだ」


 少し困った顔をして答えるファラ。



 いきなり魔法を使う方向になり戸惑うが、それよりも、俺的にはもっと重要な事を質問をしてみた。


「いきなり魔法って使えるんですか? もしかして、詠唱とか必要なんですか?」


 もし、魔法に詠唱が必要だったら本気で、黒歴史な記憶で頭痛が痛いレベルになる。


 そう心配していると、


「詠唱は、きちんと魔力を操れるなら必要ないよ。それに初歩の魔法だしね。もっとも、君の場合[遠]魔法を使えないから必要は無いよ。そもそも詠唱っていうのは、魔力を操るための補助のような物でね、熟練すれば基本莫大な魔法以外つかわなくなるよ。私も君を守った時詠唱してなかったでしょ」


 軽く魔法を発動させながら答えるファラ。


 その答えで俺は、詠唱をしなくてすんだ事に安堵した。

 


 そして、ファラが一つの魔法をおしえてくれた。それは、発現魔法を手の平の上で発生させるという単純なものらしい。

 

 ファラは[風]の魔法で実演してくれた。風が手の上で静かに渦を巻いている、これが[微風]に当たる魔法らしい。この風の[炎]版だから、[灯火]を手の上で俺は使えば良いらしい。


 ファラの説明のあと、準備体操がてら手を動かしていると、


「じゃあ、やってみようか。今の君なら簡単だと思うよ。魔力を少し手に集めて、火に変化させるイメージだからね」


 そう言うと念の為なのか、魔法の水を俺の頭の上へ作り、笑みを浮かべた悪い顔をしている。


 俺は、魔力を手の上に留めてから魔力が火になるイメージをする。蝋燭の火と同じ様なイメージ、すると手の平に本当に、蝋燭の火と同じ赤い火が発現する。


「先生できたよ、なんだ結構簡単なんだね」


「じゃあそこから、魔力を少しだけ足して火を強くしてもらえるかな?」


 俺は指示通り火に魔力を注ぐと、火の光が強くなって白っぽくなる。火が大きくなるのではなく、純粋に温度が上がるのを感じる。


 その火を見たファラは、驚いた後に、納得したのかため息をついて、


「ヒルト君、君の性質は一種類なんだけどね、凄く微細な魔力でも有るんだ。どちらかと言うと[光]の発現魔法者の魔力に近いんだよ。そして、本当に希少な分類の魔力性質になるんだ。はぁ……明日の魔法の訓練が大変そうだよ」


 頭上の水を消して俺の頭を撫で、一緒にがんばっていこうねと、そう微笑んだ後ファラは明日のカリキュラムを作るからと言う、俺も邪魔をしたくなかったので、自室に帰って寝ることにした。



  [話は飛んで昼間]


 俺は、早朝の訓練で起きた事件で、そこそこボロボロな状態だけど、伝説のヒヒイロガネを見れるのだからと、意地でタングを説得して今、町の家具屋へ来ている。


「おいヒルト有ったぞ。この装剣がヒヒイロガネで出来ているやつだ、一番人気な物みたいだぞ」


 タングがお目当ての剣を見付け、指差し声をあげた。


 その剣を見ると、青から徐々に紫へと変わり、そして黄に変色している。俺は、この剣を見て不安になった。


 なぜなら、元の世界に存在する、とある金属素材と同じ性質の光沢と変色反応、それに、脆いという性質。変色工合(へんしょくぐあい)から察するに、熱処理の失敗による脆性現象だともとれる。この条件から、伝説の素材がその物質にことごとく酷似した性質を持つという現実。


 その結果から俺は、この異世界に一抹の不安がよぎり始めた。



 しかしその不安は、シアンの材料屋で確信に変わることになる。


 シアンの店で捨て値で販売されていたのは、血石鉄鉱※から鉄だけを取り除かれた残りかす、と説明された物だったからだ。

 

 つまり


「チタンじゃねえぇぇか」


 一抹の不安が的中し、異世界における伝説の素材、という夢も見事に打ち砕かれた。という思いから叫ばずにはいられなかった。


 そして更に心の中では、


 自称『神』のクソ野郎ぉぉぉ!! 何が異世界だぁぁぁ!! 俺の……俺の夢を返せェェェェェェ!!


 そう血が滲む思いで叫び続けた。


 フチヘシ※フチ部分を厚くする技法でも有って。面側ではなく、辺側を叩いて押さえて金属を延ばさずに戻して行く技法

 均し鎚※文字通り均す。簡単に言えば鎚の鏡側で叩いてボコボコになった場所を平にして行く遣り方。道具としても均し鎚といって仕上げに使う鏡の様に磨いた槌もこう呼ぶ

 鋳造※溶かした金属を型に流し込んで成型する方法で。大型の物を鋳造、アクセサリーなんかの小型のものは、基本キャストと呼ぶことが多い事もある

 熱間鍛造※文字のごとく金属を真っ赤な状態で叩いて成型する方法温度は900℃以上です。割れ易い物や伸ばし難い、曲げ難い素材の場合使う。逆に銅や銀なんかの柔らかい素材は冷間鍛造と言って常温で鍛造を行なう、中間に温間鍛造が有る


血石鉄鉱※ イルメナイトの別名血石から

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