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異世界なのだから最強の剣を求めるのは普通だろ  作者: 雪兎
1章 始まりと学園と青年紀
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第46話 魔法理論と相性と新たな友情と

「――先ず、根本理論から間違っているの。わかる? 魔力と魔法の関係を発現魔法や魔力適正だけで一括りにしている自体が可笑しいのよ。そもそも、盲目的に発現魔法と適正だけを信用して、系等分離や性質分離を行なわないなんて思考停止もいい所で――」


 始まった…… 正直この人の授業はクソ眠い。てか、むしろこの教科書の何処にそんな内容が記載されているんだ? 毎回毎回、魔法学……魔法理論だったか? よくもまぁこんなに長々と話せるもんだよ。まぁそのせいで、この授業だけは全く前に進んでないんだよな……。


 俺は目の前で繰り広げられる、マシンガンよりも早い爆速トークを30分以上も聞き続けて嫌気が差し始め、瞼が重く成り始める。 


 そんな俺を放置するように語り続けるスルーズだったが、


「良い? もっと魔力の性質を理解して、その性質に合わせた魔法の…… 聞いているの!?ヒルト・レーヴァ!!」


 しかし、俺が完全に瞼を閉じ居眠りモードなのがバレ、怒鳴り声を上げた。


 その声に俺は、寝ぼけ眼で、


「ふぁぁ……言いたい事は理解してるんで先に進んでもらえませんか?スルーズ先生」


 そう答えるのだが、


「スルーズ先生? 何度も私に同じ事を言わせる気かな?ヒルト・レーヴァ」


 なんの拘りかは知らないが、先生と呼ばれたくないらしく、俺が先生と呼んでしまうと毎度、静かな笑みの中に特大の怒りを込めた表情を俺へと向けて強要を迫って来るので、


「いえ、ルーズ……師匠……」


 本当は[師匠]なんて呼びたくも無いが、大人な俺は自分の心を押し殺して言葉を言い換えている。


 そんな俺の言葉を聞いたルーズは、


「よし」


 なぜか、嬉々とした表情に変り喜んだあと、


「ところで、私が言いたい事を理解しているなら、私と彼方の魔法の違い説明してみなさい。勿論、教科書通りの説明なんてしたら判っているわね?」


 再び真面目な表情と、意味あり気な威圧を混ぜた表情で質問を投げかけてくる。


 そんな彼女の質問に


「大体ですけど、俺とルーズ師匠の使う魔力って根本的に違いますよね。俺はあくまでも電子を操作しているだけで、魔力を変化させて作っているいる訳じゃ無いんですよ。でもまぁ、魔力を変化させようが魔力で操ろうが、扱ってる物が一緒なんだから違いなんて――」


 俺は答え始めるが、


「今何て言ったの?」


 行き成りルーズが俺の回答を遮った。


 そこで俺は、首を傾げつつも、


「いや、だから扱ってる物は一緒だって……」


 復唱的に言葉を繰り返すと、


「それよ!! デンシだかデンチだかは分からないけど、扱っている物は同じなのに魔力の性質は根本的に違うのよ!! 」


 なにか興奮したように目を見開いて、俺の襟首を掴んで前後に揺すって来るルーズ。


 俺は、


「ちょっ! ちょっと!! 落ち着いてぇぇぇ」


 襟首を掴まれたまま前後に揺すられながらも、落ち着くように促すが、


「落ち着いてなんていられる訳無いでしょ!! もっと詳しく話しなさい!! もう少しで私の理論が証明できるのよ!! 早く話なさい!!」


 火に油を注ぐ結果になり、更に激しく揺すられるは、襟首を持ち上げられてしまい、


「いや……首っ首が……締まって……息がっ」


それを振り解く事が出来ずに、俺は必死でルーズの腕を叩いて意思を伝えると


「あっ……ほら、離して上げたんだから話しなさい」


俺の顔が青くなっているのに気が付いて掴む手を放し、俺は落下し、


「ごほっごほっ…… もう少し……で、死ぬ所だった…… てか! 下ろすならもう少し……」


 首に残る違和感から咳き込みながらも、生きている事に安堵の言葉を吐き出し、直後に元凶へと抗議の声を上げたが、今にも切れそうな雰囲気のルーズを目にして言い掛けた言葉を飲み込み、


「はぁ…… てか、ファラ先生だって空気中から水を精製してるし、爺さんの分解とかも同じ理論でしょ? そん事を何でいまさら?」


 言っても仕方ないと諦めの溜息を吐き、続けて何故驚く必要が有るのかという思いで質問を返すが、


「そこよ!! アノ子がどれだけの苦労をして魔法を習得し、あれだけの魔法を使える様になったと思う? それなのに貴方は、同じ魔力特性なのに、あれだけ膨大な魔法をこの短期間で習得して使いこなしている。其処を聞きたいのよ!!」 


 そんな俺の言葉に噛み付くように、一息に捲くし立て言葉を返してくるルーズ。


 そんな彼女の言葉に気が付いた事と、一つの疑問が浮かび、


「もしかして……操作系等の魔力って、そんなに問題なんですか?」


 俺は質問を投げかけた。


 そんな俺の言葉に、


「はぁ…… 彼方がさも当然のように行使している魔法だけど、私の特性からしても異常な分類としか言えないレベルだって事は自覚しなさい」


 溜息混じりに呆れたと言いた気な口調で言葉を返すルーズ。


 その言葉に俺は、


 全く俺が苦労してなかったみたな感じで言いやがって。こっちだって苦労して掴んだ力だっての。何も知らないで、そんな言い方される筋合いは無いっての。


 と、思いながらも黙っていると、


「そもそも魔法は、明確なイメージと相応の魔力が在って初めて力として行使できるの。話がややこしく成るから此処では変化と操作で分類をするけど、魔力を想像のまま魔法として行使する変化系は、使いたい魔法の形を強く想像すれば魔力は魔法に変化して、力として行使が可能なの」


 黒板に向かって図解交じりの説明や魔力と魔法の関係性を書きながら説明を続けるルーズ。


 そして、


「でも、操作系の魔力は、どれだけ明確に想像しても変化系の三分の一にも満たない威力の魔法しか行使できていなかったの。同じ[発現魔法][魔力量][魔力適正]を持っていたとしてもね。何が原因で、何が間違っているのか……」


 どこか悔しそうに感じた口調で説明しながら、黒板へと文字と図解を綴るルーズだったが突然、その手が止まり、静寂に包まれた。


 突然起きた静寂に俺は、驚きと戸惑いと、ルーズへの同情ではないが複雑な気持ちが言葉が出なくなる。

 

 しかし俺へと振り向くなり、


「その答えと理論が目の前に有るのよ…… これを落ちついていられる訳が無いでしょう!! 話なさい!! 私の理論の完成のために!! 魔法史を先に進める理論を!! さぁ!! 早く!!」


 俺の想いを、完全に台無しにするような言葉と共にルーズが俺へとにじり寄り、今までに見せた事も無い迫力の眼光を輝かせる。


 余りの出来事に呆然とし言葉を失う俺だったが、


「…… 俺の気持ちを返せぇぇぇ!!」


 我に返ると同時に叫び声を上げるが、そんな俺の声など意味すら持たず平然と流される。


 その後、詰問のようなやり取りと、強要のような実演と説明を繰り返す事となり、


 数時間後、


「そうよう、魔力が違っても、使う魔法は同じ。 なんでこんな簡単な事に気が付かなかったんのよ!! これで、[魔力特性による魔法発現の異差と魔法特性の一致の解離]に、説明が付くわ!!」


 俺は疲弊し、疲れ果て、その場に突っ伏しているを他所に、ルーズはハイテンションで喜び、机に向かい、凄い速度でペンを走らせ始める。


 その様子に、


 元の世界の記憶を説明するのがこんなに難しいなんて…… 化学って、こんなにも難しいことだったのか……


 そんな感想を浮かべつつ、現代科学の教科書の偉大さを思い知らされていた。


 だって静電気一つをとっても、先ずは言葉からの説明を要するうえに、更に原子や電子なんて得体の知れず見えない物の説明やら、実演をする事になるなんて考えてもいなかったのだから。


 そんな風に回想を浮かべていると、


「いつまで其処で寝ているの? 私は忙しいんだから、寝るなら医務室か自宅になさい」


 頭の上から声が聞こえると同時に浮遊感を感じ、それと共に視界の中で、扉が後方へと流れ、


「いってぇぇぇ!!」


 廊下へと落下していた。


「明日の午後に又来なさい。次回は魔法史と彼方の理論の証明をするから、遅れないように」


 俺が落下の痛みに耐えていると、後ろからルーズの無機質な言葉と扉の閉まる音がした。


===============================================



「なぁぁぁ!!思い出しただけで腹が立つ!! 何が、又来なさいだよ。つか、投げる事はないだろ!!投げる事は!! はぁ……」


 俺は投げ飛ばされた事やら授業の事を思い出しながら一人言を吐き出し、校庭を歩いていたが、自分の吐き出した言葉をルーズに言ったとしても、流されるか、揚げ足取りで遊ばれるだけだと思い、同時に溜息を吐いて、顔を上げる。


 その時、


「はぁ…… 魔法騎士課次席ですか……  格闘戦、魔術戦手も足も出ないというのに…… はぁ……」


 俺の視界に、俯き、落胆したかのような言葉と溜息を吐き、憂鬱そうに葡萄のパーゴラの下で体育座りで膝を抱えるハルトが視界に入り、


「よう!! 珍しいな、お前が一人でここに居るなんて。つかさ、何でその格好?」


 一人で居るのが珍しかったのもあるが、外見が厳ついヤンキーにしか見えないハルトが体育座りをしているのが、余りにも気になって、つい声を掛けてしまった。


 そんな俺の声に反応し、俺の顔を見るなり、


「ヒルト殿か…… はぁ……」


 俺の名前を口にするなり溜息を付かれた。


 その様子に、


「人の顔を見るなり溜息かよ。 …… でっ、何に悩んでんだよ? もしかして恋愛とかか!? 相手は誰だよ!? 話せば楽になるかもしれねぇよ?」


 深刻な悩みでも有るんだろうと思い、俺の巧みな話術を駆使して解決してやろうと気を利かせると、


「気楽なものですね…… 強い人には理解は出来無いでしょう……評価と違う事に思い悩むなんて……」


 膝を深く抱きかかえ、そこに顔を埋めるながら、拗ねたように言葉を溢すハルト。


 見た目がヤンキーにしか見えないコイツと仕草のギャップの差に若干引く俺だったが、


「いや、そうでもないぜ。 俺だって、評価と実力の違いに悩んでばっかりだぜ。まぁ、鍛冶に関してだけどな」

 

 なんとなく言いたい悩みが理解できるのと、他人事のようには思えなくて、俺はハルトの横に腰を下ろした。


 すると、


「何をご謙遜を…… 私が聞くヒルト殿の評判は、帝国で上位を争う程の鍛冶師だと聞き及んでおりますが」


 言葉とは違い、顔には興味のようなモノを浮かべて、俺へ視線を向けるハルト。


「確かに、自分でもそこを否定する気は無いよ。 でもな、俺の武器って師匠の造った物や、先達の鍛冶師達が造った物と比べれば、まだまだ技巧面では劣っているんだよ。それを、知識や新しい技術で補って、なんとか今の評価に繋がってるだけでしかないんだよな。 それに、エイズル師匠の弟子ってだけで、評価をされてしまう事もしょっちゅうだしな。 だから、お前の悩みも何となくだけど理解はできるよ」 


 そんなハルトに俺は、自分のが思い悩んでいる事を口にする。


 そこには、未だ手の届かない[ティールイング]という、親父(オヤジ)の背中に対する想いも在った。


 そんな俺の言葉に、


「意外ですね…… 楽天家だと思っていましたが。 存外、繊細な部分も持ち合わせているなんて、驚きましたね」


 思いも寄らなかったのか、目を丸くして不思議そうな表情を向けて驚いていた。


 そんなハルトに俺は、


「意外なのは余計だっての!」


 言葉と共にハルトの背中を軽く叩き、


「てか、そんな顔を見せてたら商売に成んないだろ。それに職人として、自信が在るのと、向上心が無いのは違うからな」


 自分に言い聞かせる様に言葉を続けた。


 その俺の言動に、更に驚いたような表情を浮かべるハルトだっが、


「なんだか、ヒルト殿の悩みと比べれば、私の悩みなんて些細なモノなのかも知れませんね」


 なにかスッキリしたのか徐に立ち上がると、パルチザンを手に言葉を吐き出した。


 そして、


「もう少し、頑張ってみる事にします。 ヒルト殿の御蔭で、腐っていても仕方ないと思えましたよ。意外な一面も見る事ができましたし」


 そう言ってハルトは、その場を立ち去ろうとするが、


「チョイ待ち!!」


 そんなハルトを俺は、呼び止めた。


「っ? どうされました? まだ、何か話の続きがありましたか? なのでしたら失礼なことを――」


 ハルトは振り返り首を傾げた後に、何を勘違いしたのか頭を下げようとするので、


「違う違う。 俺がお前を呼び止めた理由は、そいつ、だよ」


「私の槍ですか?」


 俺が指差した先に有る物が、自身の手にしている武器だと察したのか不思議そうに手にしたパルチザンを見つめるハルト。


 そんなハルトに、


「そそっ。 まぁ槍と言うよりはパルチザンなんだろうけどさ。 ……スゲー大事そうにしてるけど、何か理由があるのかなってな?」


 以前から気にはなっていたが、最近の戦闘授業の様子から余計に気になってきた事が在って、俺はこの機会にと質問を投げかけた。

 

 そんな俺の質問に、話が見えない様子に首を傾げるハルトだったが、


「大事と言いますか……私の家系[シンス・メイゼン]家は代々、槍使いなんですよ。特に、先の大戦に置いて、この形状の槍を巧みに操りシンスの名を轟かせた曽祖父の事もあり、我家系に置いて、この槍は誇りであり、象徴となったのです」


 俺の質問に真剣な眼差しの中に、どこか悩みを伺わせるような表情をして答える。


 そんなハルトに俺は、この言葉を言うかを悩んで、


「そうか…… なぁ? お前の家系ってか、お前意外の人。特に、その曽祖父って人とかってさ、身長が高くて手足も長い細身だったりしないか?」


 再び質問を口にする。


 その質問に、


「その通りですよ!! よく分りましたね? 代々華奢な肉体の家系なのですが、私だけが堅牢的な肉体に育ったんですよ。 母方に似たんでしょうね――」


 少し驚いたてから、複雑そうな表情を見せながら答えるハルト。


 そんなハルトの言葉を聞き、


 やっぱりか…… つか、父親と母親の良い所だけが遺伝したんだろうな。身長も180以上でガタイも良い。 だがな…… どう伝えたものか……


 俺は心の中で思い悩むが、


「――それで、父の期待も…… どうかされましたかヒルト殿?」


 その様子に気が付いたハルトが、心配そうな表情を浮かべて首を傾げた。


 それに対して俺は、


「あぁぁ…… ちょっと考え事をしてた。 悪いな、話の途中で考え込んじまって」


 未だに話すか迷ってしまい、言葉を濁したが、


「…… 言いたい事は理解していますよ」


「えっ?」


「私とこの武器の相性が悪いんですよね? 薄々は分っていたんですけどね…… やはりそうでしたか。いや、エイル殿との模擬戦を繰り返せば繰り返す程、分ってきていたので、あははは」


 気丈に振る舞いながらも、痛々しく感じる言葉を話し始めるハルト。


 その様子に俺も胸が痛く感じて表情を曇らせるが、


「なぁ…… お前は槍使いとして強く成りたいのか?それとも魔法騎士として強く成りたいのか?」


 今の自分の中に在る想いを覚悟に、ハルトへと再び質問を口にする。


 そんな俺の質問にハルトは、暫くの沈黙と、思い悩む表情を見せるが、


「それは勿論…… 魔法騎士としても槍使いとしも強く在りたい!! こう見えて私もヒルト殿と同じで、我儘なんで」


 答えを口にする表情は、真剣で、でも笑顔だった。


 そんなハルトの言葉に、


「なら俺の実験に付き合え!! 俺達でちょっと槍って物の歴史を変えてよろうぜ!!」


 俺が変に悩んでいたモノは吹き飛んでおり、そう口にしていた。


 そんな俺の言葉に驚いて、口を開け、「え?」と言葉を溢した状態で固まったままになるハルトだったが、


「ほら、決めたんなら行くぞ。 思い立ったが吉日、鉄は熱い内に打てって言うからな。 あっ! あと、最後の我儘ってのは一言余計だっつうの」


 俺は、そんな事はお構い無しにと背を向けて、自分の中にある想いを形にしたくて歩みを進めようとすると、


「……ふっ、確かに私と同じ我儘ではないですね。 彼方はもっと私より強欲だ」


「うん? 何か言ったか?」


 背後からハルトの声が聞こえた気がして、俺は振り返るが、


「別に何もありませんよ! 所で、私も手伝いますので何なりと用向けください」


 其処には、今までの暗い表情は無く、何か吹っ切れたのだろう笑顔のハルトが俺の方へと歩いてくる姿が在った。


 そんなハルトを見て、


「当たり前だっての。駒のように扱使うに予定だよ」


 なんだか嬉しい想いと照れ臭い気持ちが入り混じり、顔を背けるように前を向き、工房へと急いだ。


=============================================== 


 そして、工房への道中にハルトの発現魔法や魔法適正、発現スキル何かを聞きながら俺は、頭の中で構想を膨らませ此れから造る武器の設計をしていく。

 そうやって頭の中で一つの武器の形が出来上がるにつれて、俺の心は好奇心という名の楽しみで溢れていく。

  そんな俺の思いが表情にも出ていたのか、俺を見るハルトは引き攣った笑顔を見せる。




 そうやって俺が過ごす一方で、


「これでお前の負けだノエル!!」


「僕が彼方なんかに負けるはずが無いでしょ!!」


 光と炎が衝突し眩い閃光を放ち、閃光は衝撃波を発しながら爆ぜ甲高い金属を打ち鳴らす。

 その衝撃と打ち鳴らされた音に砂煙が舞い、辺りを覆い隠すと共に、ドサッっという二つの落下音。

 暫しの静寂に包まれるが、それを破るように、


「はははっ!!」


「あははは!!」


 二つの笑い声が響き、


「あぁぁあ!! ヒルト以外に負ける日が来るなんてな。正直に落ち込むわ」


「何を言うんですか? それは僕の台詞ですよ。 まぁ僕は、あの鍛冶馬鹿の白犬に負けたなんて認めていませんし、彼方に勝ったとも思ってませんけどね」

 

「確かに、負けたなんて思ってたら次は無いな。 それをノエルの口から学ぶのは癪だけどな」


「僕は勇者(ブレイバー)ですからね」


「なんだそれ? 答えになって無いって」


 そんな二人の会話が続くと、


「「ふっ」」


 同時に鼻で笑い、


「「あはははは」」

 

 同時に笑い声が響いた。


 そんな様子に、


「ふむ、若いとは良いものだな」


 言葉を溢し、新たに芽生えた友情に目を細め頷くスラン。


 そんな彼の目の前で、


「さてと、もう一回勝負するか? ノエル、お前にまだ体力が残ってるならだけどな」


「何を馬鹿な事を言っているんですか? あれくらいじゃ物足りなかった所ですよ」


 再び剣を交える二人だったが、


「ほう! そんなに未だ暴れ足りぬと言うのなら、どれ俺が一つ揉んでやろう。なに遠慮する事はないぞ、お前達の戦いを見て丁度体が疼いてきてからな」


 取っておきの笑顔で、大剣を肩と一緒に廻しながら二人へと迫るスラン。


 そんな彼の様子に二人は互いに目配せすると地を蹴り、スランへと向かって逝くのだった。


 なぜ行くではなく、逝くなのか、それは想像に難くないので割愛する事にしておこう。





 






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