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異世界なのだから最強の剣を求めるのは普通だろ  作者: 雪兎
1章 始まりと学園と青年紀
10/49

第8話 騎士団長と問題児と勝負と

試験期間ですよ、試験期間。まぁ作中の話しです。

チャートで行くと次か次で、学園編スタートかな?

鍛冶を期待されてる方は、もう少しだけお待ちください。鍛冶関連は、次話か、次次話から、また入ります。

基本、7000文字を基準にしていますが。今回は、少し文字数がオーバーしてます。お許しください


すいません読み返しておかしい所を書き直しいれました。見直し不足ですいません

「ヒルト、速すぎんだよこのヤロウ」


「あっおい、今は……」


 俺にグランがジャレ付こうとしてきた。だが、静電気が溜まった身体に触れようとすれば。


「「イッテーーー」」


 本当にコイツは学習能力が無いのかよ?

[迅雷]の後は近付くなって毎度毎度言っているのに。それで何度痛い思いをしたか……。

 毎度の様に、ゴメンゴメン等と、言いな来るグラン、そして毎度の様に、学習してくれ。なんて言い合っていると、試験官の騎士が声を掛けてきた。


「君たちの出身のま」


 轟音と閃光。それに、巨大な風の塊が、別々の試験会場上がり、その被害だろうか? 閃光側の壁が崩れた音と、その喧騒とにより、騎士の言葉が遮られた。


「あの風の塊は多分、フランシスだとしてさ。なんだあの閃光、やけにデッカかったぞ? 本当に、派手にやる奴も居たもんだな? なっヒルト」


 グランはそこまで気にしていなかった。


 まぁ、毎度訓練に参加する度に、親父同士の剣撃の応酬や、その繰り返しを見せられ、それすら制圧してしまう、母さんとファラの魔法を見て来たんだから、慣れてしまうんだろう。当の俺も。


「本当に派手な奴も居たもんだよな。所で試験官さん先ほどの質問はなんですか?」


「あっああ、君たちの出身を、教えて貰いたかったんだけどね……それにしても、アレを見て君たちは何とも思わないのかい?」


 いまだ煙が上がる試験場を指差して、尋ねてくる。


 それに対し俺達は、


「「全然」」


 またハモる……止めてくれまったく。


 俺達の返事に騎士は、頭を振り、仕切りなおしてから。

「そうなのか……ところで質問の続きなんだが、もしかして君達は、ガルドの出身じゃないかな?」


「そうだぜ、だけどさ、其れが如何したんだよ?」


 グランが俺にもたれ掛かって、騎士の質問に答える。


「そうか。でも、それで納得したよ。グラン・ファルカ、君の父上であるヴェードさんには、隊に配属されたばかりの頃、お世話になったからね。それで気になって聞いたんだよ」


 そう言ってグランの肩を一つ叩いた。

 

 グランは、俺に寄りかかったまま、少し遠い目を向けていた。


 騒動も落ち着き始めた頃、騎士は両手で音を鳴らし、自身に注目する様に促した。


「これより、名前を呼ばれた者は私と共に闘技場へと移動してもらう。呼ばれなかった者は、出口の受付前まで行き、別の者より指示が出されるまで待機していてくれ」


 名前を呼ばれたのは俺とグランだけだった。そして闘技場への道を歩いていると、グランの事をチラチラと気に掛ける様な仕草をしていた。

 闘技場の入り口につくと、名前を呼ばれたであろう7名の受験生、3人の試験官がおり、合流してからは試験官同士で何やら話し合っていた。

 その後一番遅れて魔法師とフランがやって来た。


「フランシスちゃんもやっぱり呼ばれたんだね」


 腕を振りながらフランに声を掛け、俺にもしろと言わんばかりに肘で突いてくる、仕方なく俺も腕を上げたが、周りの目線が痛いから止めてくれ……


「グラン君も、ヒルト君も、呼ばれたんだね。それにしても、闘技場なんかで何をするんだろうね?」


 合流したフランと俺達は、他愛無い話や、フランが行なったであろう魔法について少し話していた。


 話し合いが終わり。そして、一人の魔法師が前に出てから。


「それでは、君たちには最終試験を受けて貰います。最初の試験では君達の実力が測れなかったので、為此れより、模擬戦形式で試合を行なう。名を呼ばれた者は呼んだ試験官と共に闘技場へと向かってください」


 そして、グランは先ほどの騎士に呼ばれ、闘技場へと入っていき。フランも魔法師と、他2名も魔法師と騎士に続いて闘技場へと入って行く。

 他の者は、試験官が居ない状態で残されてしまった。


 少し経った頃、いきなり頭の上から、


「おい、お友達が先に入って行って寂しいんじゃないのかお前」


 何やら、デカイ剣を背負う、俺より一回り大きなガタイの、いけ好かない顔の男が話しかけてきた。


 こういう奴に関わると、碌なことないからな……適当に流すか。


「ああ? まぁ寂しいんじゃないか? それがお前に何の関係が有るかな?」


「ああぁぁぁん? 舐めてんのカァ?」


 沸点が低い奴だな……コイツは噛ませ犬体質だなきっと。世紀末なら、ヒデブーとか言って、爆発するんだろうな……


 そんな事を考えながら、ギャアギャア騒ぐ噛ませ犬を無視していると。


「このクソチビがぁぁぁ、無視すんなぁやぁぁぁ」


 ワンパターンにも、俺に掴み掛かろうとしてきた。


 しかし


「まぁまぁ、こんな所で問題なんて起こしたらいけないよ。ここは僕に免じてさ、拳を下ろしてくれないかな?」


 黒髪の男が横から止めに入った。その男は、騒ぐ噛ませ犬の腕を掴んで静止させている。

 背丈は俺と同じ位で、とてもパワーの有るタイプに見えない。いったいどこからそんな力が、出ているんだろうか。

 そんな、考察をしながら見ていると。噛ませ犬は文字どおり、怯えながら俺達から離れて行き、小さくなっていた。


「余計な事をしてしまったかな? でも、ここで剣は不味いと思うよ。あっ名前を言ってなかったね。僕は、ノエル・エイジス、気軽にノエルって、呼んでくれて構わないよ」


 眩しい……

 中性的なイケメンで黒の服装が似合う。本当に、どこぞの主人公様ですか、という感じに爽やかな奴だ。


 そんな主人公様が、腕を差し出し握手を求めてきた。


「いや……本当に助かったよ。ああっと、俺はヒルト・レーヴァ」


 一応握手に応じるが、なんだか違和感を感じる。


「それにしても、中から音が聞こえないね? えっと、レーヴァ君でいいかな?」


「ヒルトで良いよ、こそばゆい。まぁでも、本当にそうだな。試験内容は、模擬戦だって言っていたのにな。気持ち悪い位静か過ぎるよな」


 根拠はないけど、話を変えられた気がする。……しかし、模擬戦なのに一切音がしなくて、気持ち悪いのも確かだった。


「まぁ、僕達も中に入れば解るんだろうけどね、どうなっているか気になるよね?」


 ん? 今、コイツ俺の剣を見たような……?

 そうは感じたが、ここで見た? とか、何か言うのも自意識過剰な反応ぽいので、ノエルの話に合わせて、会話を続けた。


 そんな感じで、話を数分していると。闘技場の入り口から人影が見えた。暫くすると、先ほど俺の試験官をしていた、騎士の姿だとわかった。

 鎧には、いたる所に焦げ後や傷が付き、騎士自体もボロボロと言わんばかりの状態だった。

 その為か知らないが。別の騎士が、ボロボロの騎士を押しのける様に前に出てきて。


「次、ノエル・エイジス。付いて来い」


 その騎士は、いかにも上級騎士という風貌で、試験官の鎧よりも、上質な造りの純白な鎧を着ていた。


「ヒルト君、先に失礼するね。また後で話そうか」


 そういい残し、騎士と共に闘技場へ姿を消していった。

 俺はそれを、一応見送っておいた。


 俺は、ノエルの事を見送り終わり。グランが出て来ない事を気にしていると。


「君はグラン君の友達だよね?」


 ボロボロの騎士が、俺を見つけたのか話しかけてきた。


「彼は今、医療室に居るから心配要らないよ。彼の事を心配していたのだろう?」


「ありがとうございます。でも、何か有ったんですか? 騎士さんも、ボロボロの様ですけど?」


 俺が、礼を言ってから質問をすると。

 騎士は、どこか清々しいというか、憑き物が取れた様に微笑んで


「いや……彼なら大丈夫だよ。しかし、本当に強くなったね彼は……ああっと、すまないけど、試験途中なので、私は行くよ。これからも彼と仲良くしてやってくれ」


 そういい残し騎士は、フラフラと闘技場へと消えていった。


「本当に律儀な人だな、あの騎士さん」


 俺は独り言をつぶやいた。



 そうこうしていると、次々に試験官とボロボロの受験者が闘技場から出てきた。その中に、フランの姿も有ったので。


「フラン、大丈夫か?」


 と声を掛けたのは、良いものの。フランより、試験官の方がボロボロだった。


 俺の声に気が付いて。小走りに俺の前へ、フランが来た時だった。

 闘技場から光の柱が上がり、爆発音が辺り一面に響き渡った。


「きゃぁぁっ。えっ? 何? ヒルト君が何かしたの?」


「お前な……俺を、何だと思ってんだよ」


 本当に、俺を何だと思ってんだコイツは。それにしても、俺の周りには天然ボケに色ボケとか、○ボケしか居ないのか?

 そんな考えをする位、フランの御蔭で冷静になってしまった。しかし、周りの試験官や受験者は、動揺して騒がしく動き回っていた。


 騒ぎの中、一つの影が闘技場の暗闇から出てきた。その影は、俺を発見したのか。


「あはは、ちょっとやり過ぎちゃった。それにしても、僕ってそんなに強いのかな?」


 頭を掻きながら、お気楽に言うノエルが姿を現し、その後ろに純白の騎士も居た。しかし、何やら憔悴しきったように、肩を落としている。


「もしかして、この騒ぎ、もしかしてノエル……お前が原因って事は……最初の、試験場で壁を壊したのも、まさか……な」


「そうだけど? 普通に、言われた通りに、したつもりなんだけどね。変だったかな?」


 俺の周りには、ボケしか集まらない事が証明されてしまったらしい。正直、頭が痛くなる。

 そして、フランは、俺とノエルのやり取りを見ていて。


「えっと、ヒルト君この人は?」


「ああ、ノエル・エイジスて言って。壁を壊したり、闘技場でも騒動を起す原因だな」


 俺の説明を華麗に笑い流し、フランに近づいて。


「自己紹介が遅れたね、僕の事はノエルって呼んでね。それにしても、凄かったね君の魔法。試験官の魔術師を、終始押して凄かったよ。ああそうだ、君の名前を教えてもらっても良いかな?」


「ええっと、フランシス・ネロ・セレンスです。皆は、僕の事をフランって呼んでいます」


 なにやら小声で、ノエルが僕っ子だとか言っていた気がするが、しっかり聞き取れない。その後直、何も無かったかのように、俺と出会った時の笑顔で。


「そっか、じゃあフランさんよろしくね。もう少し君と、話して居たいんだけど、結果の発表までに用事を、済まさないといけなくてね。ゴメンね、それじゃまた発表の時に会えたら良いね」


 ヒラヒラと手を振りながらどこかへと歩いていってしまった。


 変な奴だな、あと可笑しな事を言ってなかったか? ……まるで、見ていた様な言い振りだったけど? まさかな……


 そう思っていると、背後から影が伸びてくる。


「すまんがさっきの騒動で、君の試験を出来る者が、私しか居なくなってしまってな。君で最後の様だから、許して欲しい。ヒルト・レーヴァ」


 スラン・サーバーだったか? 最初に壇上で挨拶をした、騎士団長が俺の後ろから声を掛けてきた。

 はぁ? 騎士団長様が、試験相手とか無理だろ……本当に、俺の周りの奴は、要らない事しかしない。

 そうは思っても、どうしようもない俺は、渋々騎士団長と共に闘技場へと向う。


 途中で騎士団長が唐突に。


「すまんな、こんな事になってしまって。だが君は、タング・レーヴァの息子だろう?」


 突如、親父の名前を、口にする騎士団長に戸惑っていると。俺の方に振り返って。


「やはりな……何処と無く、クリスの面影も感じるわけだ……」


 母さんの事も知っている? それになんだろう、この感じは……温かく感じる。

 俺は、色々尋ねたかったけど、言葉にできないで居た。すると


「尚の事、他の者には任せられんな……スマンが俺は、本気で君と死合いをする……本気で来なければ、本当に死ぬと思って欲しい」


 一瞬で雰囲気が変わる、先ほどまでの顔はそこには無く。純粋な殺気を俺にぶつけてくる。その殺気は、ソーンスコルと同じ性質の物だ。


 闘技場の中には、巨大な円形をした舞台が有り。不自然に、4分の1だけがボロボロになっていた。その周りで忙しなく、一部の、騎士や魔法師が修理作業を行なってた。


「すまんが皆、そこから退いてくれないか? 闘技場を全面使用して試験を行なう」


 唐突な発言で、作業をしていた全員が手を止め、こちらを凝視していたが。そんな空気を何とも思わないのか。


「申し訳ありませんがスラン殿、全面使用と仰いましたか? たった一人の試験に、到底必要だと思えないのですがね? それに、先ほどのS等級者ならわかりますが、彼はA等級でそれに……尚の事、必要ないのでは?」


 なにやら俺の事を見て、嫌味な顔をする騎士が観客席から声をだした。格好と言葉からすると、同じ若しくは、それ以上の地位に位置する騎士のようだ。それに対し


「これはこれは、ヘイロス騎士団長の、ニル・ゼスト・ネグローリ卿、ではありませんか? なぜこの様な所へ?」


「なに、君達エインスの者たちが、我、部下や受験者に対して、無礼を行なっていないか、監視に来たまでだが…………まさか、土木作業や、それの後片付けまでさせる気なのですかな?」


 舞台のボロボロになった部分を指差しながら、逆の手で口をハンカチで覆い指図している。


 険悪な雰囲気だな……でも、なんだ、この格差を感じる言い方は? それに、よく見ると装備の格差が、異様に有る。


 ヘイロス騎士団長の言葉に対し、スラン騎士団長が、何かを言おうとするが、その言葉を遮るように。


「申し訳ないがこれ以上、我、騎士団を此のまま貸し出しするわけには行きませんね。後の事は、其方の騎士団で行なってください。我ら、ヘイロス騎士団は、優秀者のクラス編成で、人手が足りていないのでね」


 そう言いながら合図すると、上等な装備をした騎士や魔法師だけが、その場から離れていく。

 そして、ヘイロス騎士団長の、ニル・ゼスト・ネグローリと共に、どこかへと消えていった。


 暫く俺は、呆気に取られてしまい呆けていたら。


「すまないな。この様な、身内の不仲に付き合わせてしまって」


 何となく察しは付くので。


「いえ、問題有りません。それに、父から、大体の事を聞いておりますので」


 俺がそう言うと、複雑そうな顔をしてから


「そうか……それなら良いのだがな」


 不思議な人だ。過去に親父と何が有ったんだ?

 そう考えながら、スラン・サーバーという男を見ていると。


「うっうん……では、仕切り直しになるが。試験だからと言って、俺は手を抜く気は無い。本気で来なければ、死ぬと思ってくれよ」


 咳払いをしてから、親父に似た顔を向けて来た。

 この人も、律儀な人だな……でもまぁ、気になる事を聞き出すチャンスかもしれない。


「分かっています。ただ、俺がアンタに勝ったら。一つ質問に答えて欲しい」


 予想外だったのだろう、少し驚いた表情を浮かべ。


「ふっ……良いだろう。どんな質問にも答えてやる。だが、勝てればの話だがな」


 言い終わると。どこか楽しげに笑みを浮かべながら、舞台に上がり手招きをしてきた。

 その招待に応え、俺は、スラン・サーバーと舞台の上で向き合った。


 舞台に俺達が上がると、舞台の周囲を魔法師が囲む。そして、


「「ウル・ニイド・ヤラ・アルジズ・ユル・オセル・ベルカナ・イングズ・」」

         「「スヴェル・レージングル」」


 魔法詠唱が終わると。次の瞬間、舞台全体を、七色で透けた膜が覆った。


「準備が出来たみたいだな。逃げ場の無い、一対一の牢獄だ」


 ロングソードを構えると、同時に強い殺気が放たれ。俺は、


 この人……本気だ……本気で命を取り合う気だ。

 ソーンスコルの時より、強い殺気を感じ取り。俺は、そう確信した。


 確信と同時に結界から、高い金属音が開始の合図の様に鳴る。


「まるっきり親父と同じだな。大人気ないぜェェェ」


 俺は、掛け声代わりに、そう叫びながら。フィジカルブーストを展開して、全力で相手に対して飛び込み。


              「オッサン!!」


 抜刀と同時に剣を、喉元目掛けて放つ。スランは、読んでいたとばかりに、その一撃を剣で軽く受け流した。


「ふんっ、騎士団長の俺を、オッサン呼ばわりか。良いだろう」


 スランは、剣で反撃するのでは無く、俺目掛けて蹴りを放つ。俺は、蹴りを鞘で受けながら、


 こいつ、親父と同じ動きをするな。

 そんな考えをしながら、蹴りの反動を利用して後ろへ下がる。


「ほう、鞘で受けたか。それに、俺の蹴りまで利用するか。これは楽しめそうだな!」


 一瞬、姿が揺らめいて消えた。そして、俺の前に姿を現し、真上からの斬撃を打ち込んできた。


「重っっ………………」


 想像以上に重い一撃。剣で受け流したが、又蹴りを入れに来る。俺は蹴りに対して、足を合わせ。


「ウッザいな」


 そんな、感想を言いながら、合わせた足を軸にして回り、顔面目掛けて蹴りを入れる。

 回りながら、剣が落ちた先を見ると、舞台が砕け剣が刺さっている。


「器用な奴だな」


 そんな事を言いながら、上体を反らして俺の蹴りを避ける。

 掛かった……俺の狙いは蹴りじゃない。本命は。

 左手に火球を造り、刺さっている剣に押し当てる。


「武器破壊狙いか…………本気で来いって、言わなかったかぁぁ!」


 合わせて有る、俺の足を蹴り抜いて、俺を蹴り飛ばす。


 俺は飛ばされたが、舞台を手で突き飛ばして、体勢を立て直すが。


「っ!? チッッ」


 クラウチングスタートのような、体勢で着地した直後。スランの剣が、既に目の前まで迫っていて、咄嗟に剣でガードする。


「甘めェェェェ」


「ゲハッッッァ」


 受けた剣ごと、身体を浮かされ腹に蹴りが入り、後方へと弾かれた。


「マジで……オッサンよ、足癖悪すぎんよ」


 俺は、蹴りと腹の間に左手を入れて、衝撃を緩和させてダメージを緩和させ、悪態を吐く。それを見て、ホウと、感心したという顔をしてから、次の技を出しに来る。


「何時までその軽口が続くか見物だな」


 俺はスランが、本気殺しに来ている様には感じられないでいた。どちらかと言うと…………


「うをっ!」


「チッ……かわすか……」


 腕だけの横薙ぎのフェイント。続けて、逆手で首を狙った斬撃。それを間一髪でかわすけど、髪の毛が斬閃で散った。

 訂正だ……確実に殺りに来てる……


 その後、幾度の斬撃を流し、体勢を立て直せるまで持って行けた。

 この先、正直防戦だと削られて負けるな……攻めるしか……


 その考えから……


「ようやく本気か」


 [迅雷]を発動して。


「シッッ」


 迅雷特有の突進から、[電磁加速抜刀]を繰り出す。

 しかし、


「速いだけで、軽過ぎるわぁぁぁ」


 剣の腹で受けながら、力技で後方に弾かれる。

 でも、これで良いんだ。

 俺はそのまま連続で、突進からの横薙ぎ、距離を取る、これを繰り返し続ける。

 その度剣の腹で受けるスラン。だが、それに苛立ったのか。


「洒落臭いわぁぁ。真空剛裂波斬」


 剣圧が無数の鎌鼬となり、襲い掛かって来る。そんな状況にも関わらず、俺はその言葉と動作で顔がニヤケてしまう。


 やっぱり、親父の技と同じだな。余裕!


 見えない刃だけど。結局は、直線的な攻撃でしかない。反射神経や動体視力も加速されている、[迅雷]状態なら余裕で避けれる。

 鎌鼬を避けきり。スランに肉薄した時、口角が上がるのが見えた。


「甘すぎだ。ガイアル・ソーン」


「はぁ? チッ……マジでウザイ」


 剣を舞台に突き刺す。すると、スランを囲うように、舞台と同じ素材の刃が出現する。

 俺は、スランの口角が上がった事で、回避行動を取れたけど。


 あのまま突っ込んでたら、串刺しだったぞ。オイオイ、マジであのオッサン、ヤべぇな。


 そう思いながら、一旦距離を置いた。だが俺の真上に影が……


「チェェェェストォォォォォ」


 上空からの振り下ろしの一閃。


「甘いのはオッサンの方だよ」


 影の御蔭で、その一撃を流せた。

 迅雷を解いていたら確実に死んでるって……マジ……でもチャンスだ。


「マジで砕けやがれェェェ」


 舞台に突き刺さる剣に対して、足裏に白い火球を溜め、蹴り抜く。乾いた金属音、砕けた金属片が紅くなりながら散る。


 音で破壊できた事が確認出来た。だが、俺の剣が、スランの喉元に突き立てるより速く。


「武器破壊で勝ったと、思うなァァァ」


 一閃が剣を弾いた。


「折れた剣で弾くのかよ、いい加減に……しろって……」


 [迅雷]のせいで、肉体の限界が近い。


 次でマジで決める。


 弾いた勢いのまま殴りに来るスラン。俺は剣を捨て、その拳を利用して回転しながら、太腿のベルトに有る、予備のソーンスコルナイフを左手で掴み。喉元に突き付けた。


「何で殺さん?」


「よく言うよ、はなから殺す気なんてなかったくせに」


 俺の言葉を聞いて、呆気に取られた顔をしてから。両手を上げ


「ぶぁはははっ……これは参った、降参だ」


 なんだこのオッサン……でも、もしも本気で、尚且つ、親父の鍛えた剣だったら、負けてたな。

 そう思って頭を掻くと、


「それにしても、武器破壊を狙ったのは、俺に殺す気が無かったからか?」


 真剣な目をしている。


「違うよ。正直、武器位しか弱点が無いし、普通にやり合ったら負けてるよ。それにオッサン。本来は、親父以上に強いよね?」


 すると、また笑い出してから。

 俺の剣を見て


「武器が弱点とは、これは傑作だな。確かに、その黒剣から比べれば弱点だな。あははは……」


 よく笑うオッサンだ。でも、親父の事にはノーコメントか?

 そう思って見ていたら、いきなり黙り、なにやら照れて、


「後、すまんがオッサンはやめてくれ? 俺の事は……お爺ちゃんと、呼んでくれないか?」


 突拍子も無い言葉で、俺の思考が完全に停止した。


 結界が解け、ガラスが砕けたような音がした。音により、思考が再起動して出た言葉は、


「はぁぁぁぁぁ?」


 このオッサン、頭沸いてんのか? お爺ちゃんて……親父の方は、亡くなってる筈だしな。

 あと、外見が、3~40代にしか見えない。家の、親父と母さんが、35歳のはずだから、計算も合わない。


 そんな考えをしていると。駄目か? なんて聞きながら、オロオロしていた。


「ヒルトー、お前凄いな。騎士団長に勝ったんだっ………あっ、ヒルトのお爺さんじゃん」


「おお、グラン君じゃないか。君も、内の騎士と引き分けたそうだな。凄い事だぞ」


 グランは、何時の間にか舞台に上がり。親しげに、スラン・サーバーと会話していた。

 途中何か暗い雰囲気を察したが。


「オイ、グラン」


 俺は剣を拾い上げてから。グランに切りかかった。


「そぉぉぉい!! ……なんの……つもりだ?」


 おおっ、真剣白刃取り。すげェな……いや、違う違う。そこじゃない。


「どういう事だ? 説明して貰おうか? 何を知っているかについてな」


 俺は、剣に力を込める。


「ちょっ、待てって。いやマジで止め」


 その言葉で俺は、剣を納めた。

 なにやら、怒っているが知らんな。

 その後、自称『お爺ちゃん』を放置して、グランと話した。

 話をまとめると。


 しょっちゅう家の店の前で、ウロウロしていたらしく。不審者という事で、グランが、ヴェードさんに突き出したらしい。その時以来、よくグランの家に居たり、グランの剣の稽古に付き合ったりしていたらしい。その度、ヴェードさんが恐縮しきりだったそうだ。


「で? それと、これに、なんの繋がりが有るんだ?」


「いや……稽古の時に、貴方は誰ですか? って質問したら。お前の、爺ちゃんだって、言ってたんだよ」


 まぁ、騎士団長がグランのオジサンの所に行くのは、まぁまぁ、理解できる。でも、なんでそこから、俺の爺さんになるんだよ。謎過ぎだ。

 俺は、自称『お爺ちゃん』事、スラン・サーバーを見る。まだかまだかと、落ち着かないようだ。


 仕方ない……本人に聞くか。


「スラン騎士団長、俺との約束を先に果たしてください。お爺ちゃんと呼ぶのは、それから考える……ます……」


 おっ、なんて反応してから。ワクワクして、キラキラした顔を向けてくる。

 内心、この上なく聞きたくない。そして、話如何では、『殺す』。そう俺は、心に決めた。


次回は、2週間ほど空きます。リアルが忙しくなりそうなんです。

でも確実に遅くとも3週間以内には、アップします。


撤回します予定より早く仕事をかたずけられたので、12日の17時にアップできそうです。

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