舞踏会
王子様ー
なんと、この世界には、舞踏会なんてものが存在する。
私は、ダンスは得意でも不得意でもない。
普通。
リズム感は、そこそこ。
前世でも少しは踊ったこともあるから、下手ではない。
しかし、ここに、絶望的な子がいる。
ヒルクだ。
「いたっ!ちょっと、ヒルク!何回足踏んでるわけ?」
私の足を踏みっぱなしだ。
アクセルじゃねーんだよ。
「ごめんね、ミサ。僕、ダンスが苦手で」
そりゃそうだ。家にこもりっきりで、私以外にお友達もいなかったんだから。
ダンスなんて、遊びでもやらなかっただろう。
「はいはい、いいから、顔上げて。王城のダンスパーティまであと1週間しかないんだから、仕上げるしかないでしょ?!」
グダグダ言ってるヒルクを引っ張って続ける。
しっかり前を見ればいいのに、俯いたりするから、失敗するんだ。
「ほら、下向かない!」
ビシビシと指導する。
もはや鬼教官。
顔を赤くする儚い王子様のようなヒルクと鬼教官。
なんだ、これ。
「ずいぶんと、楽しそうだな」
ドレイン王子が現れた。
こいつも、王子の癖に、なかなか暇だな。
「ヒルクとダンスレッスンをしてましたの。今度のダンスパーティに向けて」
ああ、とヒルクを見て、ドレイン王子は納得したのか、クスリと笑う。
ヒルクのダンスは、ある意味有名だ。
「そうそう、これを君に」
それは、小さなカード
ドレイン王子のパートナーとして、私の名前が書かれている。
「えと、、、これは?」
「あとで、君の部屋にドレスが届く。当日は、俺と一緒に馬車で会場へ入るから、寄宿舎で待機していてくれ」
「はあ」
「え?!ミサ、待ってよ、当日は僕と」
ヒルクが口を挟んで来た。
「先約があったのかい?だが、もう俺から君へのドレスは、部屋に届いている。それに、君をエスコートすることは、国王の了承も得ている」
有無を言わさぬ強引さ。
これも、商人には、時には必要よね。
なかなか良い商人気質だわ、この王子。
「わかりました。お引き受けしますわ」
丁寧にカーテシーをして受ける。
「ミサ、、、そんな、、、なんで、、、」
ヒルクは、呆然としている。
約束はしていなかったけれど、当然、私と行くものと思っていたのだろう。
「ごめんなさいね、ヒルク。私のお友達と一緒に行けるようお願いしておくわ」
ヒルクは、泣いて走り去ってしまった。
ヒルク様ー




