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寂しい

純粋なヒルク君

最近、ミサは忙しいんだって。


寂しい。


すごく寂しい。


毎日がつまらない。


お爺様に言われて、毎日手紙を書いてる。


ミサも返事をくれるから、しょっちゅう郵便受けに行ってる。


週に1回しか会えないのに、最近はその1回も、ジョセフに取られる。


ミサの弟のジョセフは、ミサととっても仲良しで、いつもくっついて来る。



ミサも、ジョセフと遊んであげるから、結局、僕とジョセフとミサの3人で遊ぶことになる。


僕の話は、ジョセフにはつまらないから、全然ミサと好きな話が出来ないんだ。


「ミサ、二人で遊べないかな」


そう頼んでも、ミサは笑うだけだ。


「三人で遊ぶのも楽しいわよ。ねぇ、ジョセフ?」



僕はずっと我慢してた。


けど、遂に僕は、我慢出来なくなった。


「お爺様、ミサを家に呼んでいい?」


お爺様は喜んでくれた。


特別な料理も用意してくれるって。


そうして、ミサのお父様に招待の手紙を出してくれた。


ミサの9歳の誕生日まで、あと1週間だった。



「ミサ!」


やっと、ミサと2人で会えた。


ミサは、苦笑いしてる。


「珍しいわね。私、ヒルクのお家に呼ばれたの初めてよ」


ミサは、この頃は他にも友達が出来たみたい。


同じ商家の子供たちと仲良くなったって手紙にも書いてあった。


なんだか悔しい。


僕はミサだけなのに。


「うん、たまには、ね」


そう言って、ヘラヘラ笑う。


あれ、なんか緊張してきちゃった。


「お爺様、こんにちは。今日は、ご招待ありがとうございます」


きれいにカーテシーをするミサ。


今日のドレスも、すごくかわいい。


「わざわざ来させて、すまないな。ヒルクが見て欲しい物があるようで」


お爺様が、僕にウインクしてくる。


僕は、はっと気が付いた。


「ミサにね、僕の部屋に作った物を見に来て欲しいんだ」


「何かしら、楽しみだわ」


ミサを家の中を案内しながら歩く。


ミサが、にこやかに僕の後を着いて来る。


それだけで、すごく嬉しくて、僕は有頂天だった。


「ほら、これだよ」


僕の部屋は、まるで夜空を映し出したような星々の光に包まれていた。


「これ、、、は、プラネタリウム?」


「え?なに?」


ぼーっとしたミサが、何かを呟いた。


「何でもないわ。それより、すごいわねぇ、これ。一体どうやったの?」


僕は、得意気に作り方を説明した。


これは、家庭教師の先生が教えてくれたもの。


部屋を暗くして、木の板に小さな穴をたくさん開けて、下からランタンで照らしただけだ。


それでも、色んな工夫が必要だったから、作るのも1ヶ月くらいはかかった。


「まあ、すごいわ!ヒルク!よくここまで頑張って作ったわね。私、感心しちゃう」


ミサが、笑って褒めてくれた。


「ヒルクには、きっと新しい物を作る才能があるんだわ。これからも期待してるからね」


嬉しい。すごく嬉しい。


「ミサ、これからも、たくさん家に来てくれる?」


ミサは困った顔になる。


「そうねぇ、来たいけど、、、ほら、私もいろいろ予定があって、すごく忙しいの。ヒルクだって家庭教師もあって忙しいでしょ?」


「僕は全然忙しくないよ。ミサとなら、毎日だって遊べる」


うーん、とミサが考えてる。


困らせてるのは分かるけど。


僕はワガママなのかな。


「でも、ほら、ヒルクもお仕事の見学とか、、、はしないか。御両親は王都だものね」


「うん、、、そうだね。この前までは居たんだけど。急な仕事が入って、またすぐに行っちゃったんだ」


僕は、また寂しくなった。


誰も僕なんていらないんだ。


「それは寂しいわね、、、あ、ねぇ、今度うちに泊まりに来たら?」


「泊まり?」


その響きは、とても刺激的だった。


「そう!うちに泊まれば、たくさん話せるでしょう?一緒にシェフの料理を食べましょう?」


「うん!僕、泊まりに行きたい!」


お爺様に、すぐ二人で話をした。


お爺様は、やけに乗り気で、ミサの帰りに一緒にミサのお家まで着いて来た。


「ミサレイ嬢から、今度、ヒルクに泊まりがけで遊びに来ても良いとお誘いを頂いたんだが、どうだろうか」


お爺様が、ミサのお父様とお母様に聞いてくれてる。


「はぁ、泊まりがけですか、、、いや、しかし、なぁ」


「そうねぇ、まだ幼いとはいえ、未婚の、、、」


御両親は、あんまり喜んではないみたい。


「ごめんなさい。私、ヒルクともっと話したいと思って、つい、お泊まりしたらいいんじゃないって言ってしまったの。軽はずみだったわ」


ミサが謝ってる。


「まあ、良いではないですか。ただの子供同士のこと。ヒルクは、、、両親がまた王都へ戻ってしまって、寂しくて寂しくて、な?」


僕は、なんだか涙が出てきちゃった。


ミサの御両親には、僕は受け入れてもらえないんだ。


「僕、僕、、、ミサと二人で話したいんだっそれだけでっ」


泣きながら必死にそれだけ言えた。


ミサのお父様もお母様も、慰めてくれた。


「それは辛いわね、ヒルク君。ねぇ、あなた?二人であなたの仕事の見学なんてどうかしら」


「え?仕事の?」


ミサのお母様が提案してくれた。


「そうよ、前にミサが仕事場に来てくれないって寂しがってたでしょう?せっかくだから、ヒルク君と二人で行けば、遊びながら見学も出来ていいと思ったの」


「いっ行きたいです!」


僕は、すぐに飛び付いた。


ミサと二人で居られるなら、何でも良かった。


「そうだねぇ、じゃあ、そうしようか」


お父様も、にっこりと約束してくれた。


お爺様も、ふむふむと納得している。


「良かったじゃないか、ヒルク。ご迷惑をおかけしないようにな」


僕は、益々、勉強しなきゃ!

まだ、9歳ですから。

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