微笑ましい光景
大きな商会、名前考えてなーい!
ミサレイは、ヒルク君と、すっかり仲良くなったようだ。
それでも家庭教師は休まないから、合間を縫ってだが。
「ヒル君!早くー」
ちょっと寂しい。
娘を取られたようで。
私の視線に気が付いたのか、私の方へ投げキスをしてきた。
思わず、にやにやとにやけて、手を振る。
かわいい。天使だ。
本当は、女の子に来て欲しかったけれど、ちょうど同じ年で、お友達がいなくて探しているというヒルク君のお爺様と意気投合して。
お爺様は、王都でも指折りのかなり大きな商会の会長を務めていらっしゃる。
今は、主にヒルク君の両親が実務を担っているようだが、現在でも王都にはよく呼ばれているらしい。
我が商会とは比べ物にならない位の大物からのお声かけに、思わず飛びついてしまった。
でも、本人同士が気が合わなければ、それまでとお互いに了承していた。
しかし
「ヒル君と遊ぶと楽しいわ!体力もついて、走るのが速くなったもの」
ミサレイは、ヒルク君と遊ぶのを喜んでいる。
これを利用しようとは思わないが、縁はあって悪いものではない。
特に、商談において。
「今日もお越し頂いてありがとうございます」
会長は、優しく孫とミサレイを見守っている。
「ヒルクは、なかなか他の子とは仲良くなれなくてね。少し変わっているから打ち解ける前に、仲間はずれにされてしまうようで。私もリアンナも心配していたんだが、、、」
視線をこちらに移すと、笑った。
「ミサレイ嬢とは、すっかり打ち解けたようで。家でも、ずっとミサレイ嬢の話ばかりだ。両親が王都での仕事が忙しくて、一緒に居られる時間も短い。あんな風に子供らしく笑うヒルクを見るのは、いつぶりか」
その目には、涙が滲む。
「いえ、うちも同じです。ミサレイは少し変わっていて、心配だったんです。こうしてヒルク君と遊べて、私達も安心しています」
慌ててそう言うと、ゆったり頷いて
「ありがとう。感謝してもしきれない。これで、わしも一安心だ」
優しい祖父の顔に、私達夫婦は、すっかり意気投合していた。
「大きくなって、お互いに気持ちが向けば、いつか結婚するということも、あるかもしれませんね」
軽い冗談。
「ほっほっほっ、それも一理あるな」
ただの笑い話。
「いやですわ、あなたったら。まだ5歳の子供のそんな先のこと」
ほほほ、と妻が笑う。
のどかで、温かい空気の中、子供たちの笑い声が響いていた。
あれ?どこに住んでるんだっけ?




