150 メラニーさんのお店
かなえは牛舎と温泉の掃除を済ますと、アニマルドームへ戻り動物の小屋にウオッシュを掛けて行く。
牧草地とプロの実畑もきれいにし、山の1合目の温泉へ移動して来る。
温泉には、かなえを待ち構えたように昨日牧場の温泉に行った、猫達が泡風呂に浸かっていた。
「みなさん、おはよー。お元気ですかー?」と、声を掛けると、
『ああ、おれは特に問題無いよ』と、グレ。
『あたしはこの風呂に浸かったら、調子が戻って来たよ』とシシー。
『ぼく、今日も泳ぎたいなー』と元気いっぱいのトラ。
『あの、体が浮く感覚が面白かったわー』とマル。
この4匹の猫達は、始めの頃よりも仲良くなっているようだ。
「わかりました、またその内みんなで行きましょう」
かなえはウオッシュを掛けて、次に移動して行く。
一瞬、隣のオーシャンドームへ誘おう思ったが、初日からみんなを連れて行くのも大変なので次回にする。
頂上までウオッシュを掛けると、雲の上の温泉まで移動する。
リキさんが泡風呂に入っていて、マリーは泡風呂で横になっていた。
「お待たせ―、それでリキさんにドームの事、話してくれた?」とかなえはマリーに聞くと、
『ええ、リキも行きたいみたいよ』と、眠そうなマリー。
『良くわからんが、その新しい場所に行くのは面白そうだな』とリキさん。
説明するよりも見てもらった方が早いので、かなえはマリー達を連れて、オーシャンドームの砂浜へ移動して行く。
『おー、何だここは? へー』と、目の前に広がる海に固まっているリキさん。
『わぁー、凄いじゃない!』と、マリーも驚いている。
かなえは他の動物達に話したように、海で過ごす注意点や飲み水とプロの実の場所を伝える。
『へー、水がショッパイとはな―』と、リキさんも不思議がる。
マリーは早速波打ち際まで掛けて行き海の水を舐めてみると、
『ぎゃー、こんなショッパイ水の中に入って大丈夫なの?』と、飛び上がるように驚いている。
「フフッ、大丈夫よ。でも最初の内はたまに休憩してね」
『よーし行くぞー』と、リキさんが海の中まで走って行き、マリーも後を追いかける。
マリー達も空中階段機能が付けてあるから途中で泳ぎ疲れても、上がって休憩できるので安心だ。
かなえは無事、動物達を送り届けたので、再びアニマルドームに戻って行く。
お昼までまだ時間があるので、かなえはメラニーさんの仕事場に様子を見に行く事にした。
扉を開けて、中に入って行くとメラニーさんは焼き上がったパイを大きなコンテナの中にしまっている。
「メラニーさん、ご苦労さまです。準備は進んでますか?」
「あら、かなえ。ええ、一先ずこれで2、3日分のパイは出来上がったの。後はクッキーを何種類か作ればお終いよ」と、メラニーさんは頬を粉だらけにして、かなえに微笑む。
リリララ姉妹の様子を聞くと、2人にはお店の方の準備を頼んだそうだ。
特に、メラニーさんの所で手伝う事は無さそうと言うか、却って邪魔になりそうなので、かなえはお店の方へ様子を見に行く事にした。
かなえは西門の温泉のお店から近い場所に、ジャンプし歩いて来るとメラニーさんのお店を見つけた。
外から見ると、大きなガラスの窓からお店の様子が良くわかる。
リリちゃんが棚の上にカゴを置いて準備しているのが見えた。
「リリちゃん、ご苦労さまー。どう? 準備は間に合いそう?」
「あっ、かなえさん! はい、もう大体終わりました。あとは商品が出来たら並べて行くだけです」と、リリちゃんはこのお店で働ける事が嬉しそう。
可愛いギンガムチェックの赤いエプロンには「メラニーおば―さんのお菓子屋さん」と書かれたロゴが入っている。
「可愛いエプロンねー」と、かなえがリリちゃんと話していると、奥から同じエプロンをしたララちゃんもカゴを持って出て来た。
「あー、かなえさーん!」とさっき朝ご飯を一緒に食べたばかりなのに、ララちゃんは凄く久しぶりの様なリアクションだ。
「ララちゃんも、お仕事してえらいねー」
「うん、ララいっぱい働くよー」と、ララちゃんはお姉ちゃんと一緒に働けるのが嬉しそう。
大体、何処に何の商品を置くかは決まっているようで、壁際の一画にはお店のロゴが入った、キッチンマットや鍋掴み、ジミーさんのマグカップも飾られるそうだ。
午後にはアランさんの所で頼んだ看板が取り付けられるそうで、ますますお店の雰囲気が良くなるだろう。
お店の前にはベンチが二つ置いてあり、外で座って食べる事も出来るようだ。
始めは屋台の予定だったのに、本格的なお店になっていた。
「奥はどうなっているの?」と、かなえは中の様子を見に行く。
奥はお店と同じくらいの広さの倉庫のようになっていて壁際に大きな棚が置いてある。それに簡単なキッチンと作業台が取り付けてあった。
本当はここでメラニーさんがパイを造れたら、運ぶのが楽なんだろうけど……。
そうか! 何で気が付かなかったんだろう。
ジャンプミラーで、この倉庫とメラニーさんの仕事場をつなげば全てが解決する。
かなえは棚の角に行くと、扉サイズのジャンプミラーを取り出し、壁に設置する。
登録は島に住むみんなとかなえの名前にし、鏡のフレームの所にキッチンと表示する。
「えっ? もしかしてここから島と行き来出来るんですか?」と、側で様子を見ていたリリちゃん。
「うん、そうよ。島のみんなは使えるようにしておいたよ」
「すごーい! 助かります!」リリちゃんはとても嬉しそうだ。
かなえは倉庫の、空いている所にコンテナ大を設置しておく。
商品を入れて保存出来る場所は、この倉庫にもあった方がいいだろう……。
かなえは再びメラニーさんの仕事場の前にジャンプして来て、中に入って行く。
「いい香りですねー」
甘い焼き菓子の香りが漂っている。
「かなえ、お店の様子はどうだった?」
メラニーさんは、成形した大きなクッキーを天板に乗せていた。
「はい、リリちゃん達がしっかり準備していましたよ。素敵なお店になりそうですね」
「フフッ、そうでしょ?」メラニーさんは嬉しそうだ。
クッキーをオーブンに入れたところで、かなえはメラニーさんにジャンプミラーを設置して来たことを話す。
「まぁー、このキッチンと向こうのお店をつなげてくれるの!? 凄いわー!」と、メラニーさんは大喜びだ。
「はい、それでこっちはどの辺にジャンプミラーを設置しましょうか?」と聞くと、
「うーん、そうねー。それならあそこの扉の横はどうかしら?」と、メラニーさん。
かなえは言われた場所へ、お店のと対になるジャンプミラーを設置して島のみんなとかなえの名前を登録する。そしてミラーの所に「お店へ」と表示する。
「はい、出来ましたよ。試してみますか?」と、かなえが言うと、
「ええ、わかったわ」と、メラニーさんはジャンプミラーの中へ入って行き、かなえも後に続く。
「きゃー! メラニーさん!」と、メラニーさんがお店の倉庫に入って来たのを見つけてリリララ姉妹が大騒ぎになった。
「これならもう何も問題無いわ。ありがとうかなえ!」と、メラニーさんは感激したのか涙ぐんでいる。
メラニーさんはこの倉庫にキッチンを造る事も考えたそうだが、島のメラニーさんの仕事場のキッチンが気に入っているので、作ったお菓子は運ぶつもりだったそうだ。
その後も、倉庫に設置したコンテナを見つけたメラニーさんは大喜びする。
「メラニーさん、あの焼いていたクッキーは大丈夫ですか?」
「まぁー、大変! そうだわ!」と慌ててメラニーさんは自分のキッチンに戻って行く。
メラニーさんが暫らくして、お店の倉庫に戻って来たので倉庫内の棚などを配置換えをして、働きやすい環境にして行く。
「メラニーさん、ここにもテーブルがあった方がいいですか?」と聞くと、
「そうねー、物を置いたりちょっと休憩したりするのに便利かしら」とメラニーさん。
かなえはシンプルな長方形のテーブルを取り出し、重ねられる丸椅子を隅に置いておく。
「そろそろ、お昼だから何か食べに行きましょうか?」とメラニーさんが言うと、
「ララ、あの屋台のが食べたい!」と、ララちゃん。
どうやらあの、一番人気のスブラキ屋台の事の様だ。
なので、みんなで一緒に屋台に並ぶことにした。
メラニーさんのお店の隣はもう広場になっていて、屋台が並んでいるのでとても便利だ。
「ララねー、ギロピタがすきー」と、ララちゃんはもう何度もリリちゃんとここの屋台で食べているそう。
リリララ姉妹は教室が終わってから、この辺りでランチを食べることが多いそうだが、メラニーさんは初めてだそうだ。
みんな好きなものを注文し、空いているテーブル付きの椅子に坐る。
「あらー、なかなかおいしいわねー」と、メラニーさんはギロピタにかじりついている。
ララちゃんもギロピタで、かなえとリリちゃんはスブラキにした。
かなえは串焼きのスブラキを食べながら、付け合わせのフレンチフライやサラダも頬張る。
「ララねー、このギロピタ毎日でもいいよー」と、ララちゃんは相当好きな様だ。
「ララ、ちゃんとサラダも食べなきゃだめだよ」と、リリちゃん。
お店から直ぐなので、ララちゃんはこれか何度でも食べる機会があるだろう。
かなえは食べ終わると、みんなと別れてパン屋さんに向かう。




