149 オーシャンドーム
『カナ、カナ、パンちょーだい、オハヨー』
『カナカナ、黄いろパンちょーだい』
「あら……もう朝か―」
熟睡したからか、気が付いたらもう朝になっている。
「おはよう、リトくん、ピーちゃん。今日も元気そうね」
『うん、ぼく元気だよー』
『あたしも元気ー』
2羽は競って、元気な様子を伝えて来る。
「そう、よかったね」
ベットから出て、居間まで歩いて行くと、リトくんとピーちゃんはかなえを追い越して、スーッとひとっ跳びで、テーブルの上にとまる。
「はいどーぞ、どれにする? あー、ピーちゃんはまた黄色いパンがいいの?」
『うん、あたし黄いろパン好きなのー!』
『ぼくねー、ちゃいろパンがイイ!』
かなえはパンを契って、小鳥たちに与える。
『おいしいなー、黄いろパン』
『ぼくのパンもおいしいよー』と、2羽は羽をパタパタさせる。
ピーちゃんは最近黄色いコーンパンに凝っているようなので、別に買っておいた方が良さそうだ。
かなえはパンをついばむリトくん達を眺めながら、オーシャンドームの事を伝える事にした。
「リトくんピーちゃん、昨日新しいドームを造ったのよ。今度見に来てね」
『新しいドーム? おいしい木の実ある?』
「うん、あるよ。それに真ん中に大きな海を造ったのよ」
かなえは海とは何かをリトくんとピーちゃんに説明する。
「でも、水は凄くしょっぱいから飲まないように気を付けてね」
『へー、ショッパイ水? おもしろいねー』
『ショッパイのー?』
なぜかリトくん達はしょっぱい水に興味を持ったようだ。
『ぼく、ショッパイドームいくー!』
『ピーちゃんもー!』
特に危ないものは無いから大丈夫だろう。
「いいよ、じゃぁー、リトくんとピーちゃんが一番乗りね」
かなえはジャンプでリトくん達を連れて、オーシャンドームへ移動して行く。
『うわー、おみずいっぱーい』
『へんなにおーい』
リトくん達は、興味津々にサーっと飛び立って行く。
「あー、行っちゃったー。シロン、しばらくリトくん達の様子を見ていてね」
「はい、わかりました」
かなえは自分の部屋に戻り、出掛ける支度をする。
「シロン、ジジさん達はどうしてる?」
「丘の上にいます」
今日は、ジジさんはこっちに来るつもりなのね。
かなえはジャンプで牧場のジジさん達の所へ移動して行く。
「おはようございます」
『カナカナ、おはよう。今日は向こうに行きたくなったから、連れて行ってくれる?』
『たまには気分転換しないとな』と、ジジさんとババさんは仲良さそうに並んでいる。
「わかりました、実は……」と、かなえはジジさん達にもオーシャンドームの話をして誘うと、
『へー、ショッパイのかい? それはいいなー』と、ジジさん。
「でも、塩分が強すぎるので飲まないでくださいね。水は木の横に幾つも設置してありますから」と説明する。
『いいわ、行ってみましょうあなた。そこでも泳げるんでしょ?』と、ババさんも興味を持ったようだ。
「はい、泳げますよ。それでは移動します」と、かなえはジャンプでジジさん達を連れて行く。
目の前に広がる白い砂浜とエメラルドの海。中心の島のある辺りの海は深い青に煌めいている。
その先の向こう岸まではなんとなくぼんやり見える感じで、地平線か水平線の様に見える。
『まぁー、海って広いのねー。アハハッ』と、ババさんは嬉しそうに海の中に入って行く。
『コラコラ、急ぐと危ないぞ』と、ジジさんの足取りもいつもより軽い。
なんだか、かなえはお邪魔って雰囲気なので、もう行く事にする。
「あのー、私はもう行きますが、後で様子を見に来ますねー。あまり奥に行くと、深くなるから気を付けて下さい」
『ああ、わかったよ』
ジジさんとババさんは仲良く海の中へ足を勧めて行く。
まぁー、遠浅に造ったから奥まで行かなければ大丈夫だろう。
「シロン、ジジさん達の様子も見ていてね」
「はい、わかりました」
かなえはジミーさんの庭にジャンプで移動する。
「おはようございます」
ジミーさんは、もう庭のテラスに座っていた。
「ああ、おはよう。今日も朝風呂、気持ち良かったよ」と、ジミーさんの顔は少し赤くなっている。
「そうですか。それはよかったです」
「おかげで、朝もスッキリ目が覚めてねー、毎日楽しみだよ」と、ジミーさん。ますます健康そうに見える。
朝食の準備をしながら話していると、リリララ姉妹が庭に入って来た。
「おはようございます」
二人も、朝から温泉に入って来たようだ。
「ララねー、お姉ちゃんと競争したらね、ボチャって落ちたよー」と、ララちゃん。
「もー、ララったら、昨夜温泉に入らないで早く寝ちゃったから、朝からうるさくてー」と言いながらも、リリちゃんもほっぺを赤くして、可愛らしい。
みんなでテーブルを囲み、朝食を食べ始める。
今朝は、おから入りパンケーキのブルーベリーと、ホイップクリーム乗せ。
野菜たっぷりオクラ入りのガンボスープ。プロの実ソーセージ。それにトマトサラダだ。
飲み物はマンゴジュースにハーブティー。ジミーさんはハーブティーの代わりにカフェラテにした。
今日は土曜日なのでみんなの予定を聞くと、リリララ姉妹は明日お休みにしてもらったそうで、今日は一日お店の開店準備をするそうだ。
ジミーさんも準備の手伝いをするそうで、かなえも後で顔を出すことにする。
かなえは昨日、新しく隣にドームを造ったとみんなに報告し、夕食は向こうで食べようと誘う。
「えー、新しいドームですか? 楽しみだなー」
「うん、ララも早く見てみたい」
詳しくは話していないので後のお楽しみだ。
かなえは後片付けをすると、動物達の様子を見に行く。
子供達とクーちゃんは、砂浜で荷車に乗っていた。
前で引っ張っているのは、タイガとマーブルだ。さすがに子猫一匹では力が足りないのだろう。
「はーい、みんなおはよー。今朝も荷車で遊んでるんだ」
『あー、カナカナ』
『カナカナだー』
『ぼく、力持ちだよー』
みんな一斉に話し出す。クーちゃんも毎日子供達と一緒で楽しそうだ。
かなえはしばらく話して、みんなにウオッシュを掛けてからその場を後にする。
キングスやマリー達もオーシャンドームに誘おうと思い付いたので、かなえはシャワードームへ移動して来る。
キングス達はちょうどドームの中へ入って行くところだった。
「キングス、クイーン、おはよう。今日はあなた達を隣のドームへ案内しようと思うんだけどどうかな?」
かなえは詳しくオーシャンドームの説明をし、ジジさん達も行っていると伝える。
『そうか、それは面白そうだな。クイーンどうする?』と、キングスが聞くと、
『そうね、あたし、行ってみたいわ』と、クイーン。
行く事に決まったので少し待っていてもらい、かなえはマリー達の所へ誘いに行く。
雲の上の温泉に来てみると、マリーはいたが、リキさんがまだ森のドームに行っているようだ。かなえがオーシャンドームの説明をして誘うと、
『もうすぐリキが来ると思うから、また後で迎えに来て』とマリー。
かなえはキングス達だけ連れて行けばいいかと、シャワードームに戻って来ると、モモちゃんとルークスも一緒にいた。
「あらー、あなた達も来たのー?」
『うん、モモちゃんも行くー』
さっき、キングス達に声を掛けた時はモモちゃん達はシャワードームに居なかったのに、いったいどこからかなえ達の会話を聞いていたんだろう。
まぁー、モモちゃんだからしょうがない。
かなえは、良くわからずモモちゃんの後を追いかけて来たルークスも連れて、みんなでオーシャンドームの砂浜に移動して行く。
『わぁー、広ーい!』
『おー、気持ちいいなー』
みんなは目の前に広がる景色や海の風を感じているようだ。
かなえはみんなに、海に関する注意事項や水のある場所などの説明をする。
モモちゃんは待ちきれなくなったように、海の上を飛んで行き、ルークスも空中階段で追いかけて行く。
ジジさん達は遥か向こうの海の中を泳いでいるのが見える。
『私達も行きましょう!』と、クイーンが海に入って行くのでキングスも後に続く。
「シロン、ジジさん達はリトくん達は問題無い?」
「はい、牧場の流れる温泉で鍛えているようで、体力は問題無いようです。リトくん達も楽しんでいるようなので大丈夫でしょう」
よし、それならここはいいな。
かなえは牧場の牛舎へジャンプして行く。




