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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
146/229

146 流れる温泉を体験 

 かなえはミルクドームがもうすぐなので、みんなに見てもらう事にする。


「この先に見えるのが、ミルクドームです。いつもアニマルドームに通っている牛のジジさんとババさんもここに住んで居るんですよー」と、かなえが初めてここに来る猫達に向かって説明する。


『あー、ジジババいるよー』と、前方を見ながら声を上げるモモちゃん。

「えっ、何処にいるの?」と、かなえが聞くと牧場のある方角を指している。


 かなえには全く見えないが、モモちゃんには遥か先の牧場のジジさんとババさんを見分けられる様だ。


「じゃー、モモちゃん、もう少し近づいたら何処にいるか教えて?」

『いいよー!』と、モモちゃん。

 カーペットのルークスの隣におとなしくちょこんと座っている。


「ミルクドームの牧場には温泉が二つありますが、一つは地下に流れる温泉を造ったんです」


『へー、地下に温泉があるのか?』と、グレが興味を示す。

「そうですよ。牧場を1周出来るので、牛達には良い運動になっています」


『モモちゃん、地下の温泉入りたい!』

『ボクもー!』と、モモちゃんとルークスが急に関心を示す。


 うーん、でもアニマルドームの川や貯水池でバシャバシャ泳いでいたモモちゃん達にはどうなんだろう……。


『わしも、入ってみたいな。ジジが良い運動になるって言っていたからな』と、キングス。


『そうね、私も入ってみたいわ』と、マリー。

 えーっ、みんながそんなに地下の流れる温泉に興味を持っているとは知らなかった。


「わかりました……では、ジジさん達に聞いて許可が出たらいいですよ」

 かなえは判断をジジさん達に任せることにした。



『ほらー、ジジとババだよー』と、モモちゃんが牧場の丘の上で、草を食んでいる2頭の黒い牛を指さしている。


 ああ、本当だ。あそこにいるのは間違いなくジジさん、ババさんだろう。

 かなえは高度を下げて行き、丘の上の少し離れた所にゆっくりとカーペットを着陸させる。


 シールドとインビジブルを解いて透過も解除する。

 すると『ジジババ―!』と、駆け寄って行くモモちゃんとルークス。


 猫達はどうしようかわからず、固まっている。

「ちょっと聞いて来るので待っていてくださいね」


 かなえはまだカーペットの上にいる動物達に言うと、ジジさん達の側へ歩いて行く。


『あらー、みんな揃ってどうしたの?』と、ババさん。

『どうしたんだ? 何かあったのかね?』と、ジジさん。


『ちがうよー、そらの散歩だよー』

『モモちゃん、温泉はいっていーい?』


「ジジさん、ババさん、突然すみません。ちょっとみんなを案内する事になって、ミルクドームが通り道だったので、寄ってみました」


 そして、みんなに牧場の温泉の話をしたら、地下の流れる温泉に興味を示したので、入らせてもらえないかと聞いてみると、


『まぁー、そうなの? いいわよね、あなた』

『そうだな。他の牛達を驚かさないでくれれば、大丈夫だろう』と、ジジさん。


 驚かせると言ったら、モモちゃんとルークスだな。

 マリー達もキングス達も問題無いだろうし……。


 かなえは様子を伺っているルークスとモモちゃんに、

「あなた達、いつもみたいにスピードを出したり、大声で叫んだりしないで静かに温泉に入れる?」と聞くと、


『モモちゃん、静かにゆーっくり出来るよー』

『ぼくもー、静かだよー』と、全く自覚が無い。

 

 まー、何とかなるだろう。

 

 かなえはカーペットの所へ戻って行くと、

「はい、ジジさん達に温泉に入る許可をもらいました。他の牛達を驚かさない様に入って下さいね」と、伝える。


『あたし達も行った方が良いのかい?』と、シシー。


「そうですね、この辺にいてもらってもいいですけど、せっかくですから温泉に入らなくても、地下まで様子を見に来たらどうでしょう?」と、かなえは一緒に来るように勧める。


『ふーん、わかったよ。地下の温泉に見学に行こうかね』と、シシーはカーペットを降りると、グレとマルも一緒に付いてくる。


『ぼく、温泉入りたい!』と、トラは好奇心で一杯だ。


「わかりましたー、それではこれから温泉に向かいますよー」

 かなえはカーペットをしまうと、ジジさん達と他の動物達を連れて、流れる温泉の入口にジャンプして行く。



「この奥に普通の温泉があり、この下に流れる温泉があります」

 かなえは温泉の説明をする。


『あー、ここから下が見えるよー』と、ルークスが下の流れる温泉の様子を眺めている。


「ではここの、トンネルシャワーから中へ入って行って下さい」

 

 大きめに造ったからキングス達でも大丈夫そうだ。


 かなえは水着に着替え、自分にウオッシュを掛ける。

 動物達が中に入って行くのを確認すると、かなえはジャンプで流れる温泉の歩道に移動して来る。


『わっ、あー、声が響くよー!』

『モモちゃんだよー、アハハハッ!』ルークス達は声が反響して、面白いらしい。


『ぼくはトラ―!』と、トラちゃんも負けじと声を上げる。


「はーい、それではここから、お湯の中に入って行ってください。体は沈まないようになっていますから大丈夫ですよー」と、みんなを誘導する。


 まず、モモちゃん達、キングス達の後に、マリーとリキさんが中に入って行き泳ぎ始める。


『へー、みんな上手に泳げるんだねー』と、シシー。

『ボクも泳いでみる―!』と、トラが行こうとするので、


「私もこれで一緒に行くから大丈夫よ」と、かなえがスクーターを取り出す。


『おれだって、泳ぐぞ!』と、グレ。

『それならあたしも、泳いでみようかしら』と、マル。


「シシーさんは、私の膝の上に乗って一緒に行きませんか?」と言うと、


『なんだね! あたしだって泳ぎぐらい出来るさ』と、シシーは先にポチャンとお湯の中へ入って泳いで行く。


『あー、僕もー!』と、トラが入って行き、グレとマルもシシーの後に続いて泳ぎ始める。


 かなえは様子を見ていたジジさん達に「いってきまーす」と声を掛け、スクーターに乗ってみんなを追いかける。


「シロン、みんなの様子はどう?」かなえは気にかかったので聞いて見ると、


「問題ありません。キングス達には少し深さが足りないようですが、上手く足を移動させながら泳いでいます」


「一番体力が持たなそうなのは、シシーかしら?」

「はい、そうですね。なるべく側で様子を見ていた方が良いでしょう」とシロン。


 

 かなえは、スクーターでシシーのすぐ横へジャンプして来て同じペースで走らせて行く。


「どう、シシーさん。疲れて来たら行ってね」

『ふん、まだまだ若い奴には負けないよ』と、シシーはムキになるので、そっとしておくことにする。


 

 

 しばらく様子を見ていると後ろからバシャバシャと音がして、モモちゃんとルークスがかなえ達を抜かして行った。


 もう1周して来たようだ。


「モモちゃーん、ルークス! 静かに泳いでねー!」と、もう一度かなえは念を押すと、


『モモちゃん、静かでゆーくりよー』

『ボクも静かー』と、揃って叫びながら前に進んで行く。


 まぁー、あれぐらいならモモちゃん達にはユックリなのは確かなのだろう。


 猫達は問題無さそうなので、前の動物達の様子を見に行く。


 

 かなえが移動した所には、キングスがクイーンの横にピッタリ付いて泳いでいる。


「どう? ここの温泉は?」

『あら、カナカナー。このお湯体が浮くのねー。たまに天井から外が見えるのも面白いわ!』と、クイーン。


 キングスは、クイーンが楽しそうにしているのが、嬉しいようだ。


 少し後ろにはマリーと、リキさんも一緒に泳いでいる。

「マリー、リキさん。どう? この温泉」と、かなえはたずねると。


『いいんじゃない。なんか普通の温泉と違って、地下にあるのがちょっとワクワクするわねー』

『そうだなー、浮かぶのは面白いなぁー』と、リキさん。


 動物達にはなかなか好評なようだ。



 かなえはもう一度、後方を泳ぐ猫達の元へ戻って来る。

「みんな、どんな調子ですかー」


『ぼく、およぐの好きー』と、トラは元気に足を動かして、方向転換が出来るようになっている。


『いいんじゃないか。ここでたまに泳ぐのもいいな』と、グレは気に入ったようだ。


『お湯の中でこんなに体が浮くのねー』と、意外そうなマル。

「このお湯には体が浮くように設定しているんです」と、かなえが答えると、


『やっぱり、そうよねー。おかしいと思ったのよー』と、マル。


 シシーは頑張ってみんなに付いて来ているが、少しづつ間隔が空いている。

 またシシーだけに何か言うと、嫌がりそうなので猫達に向かって、


「そろそろ、休憩してくださいねー。水中で泳ぐのは思ったより体力を消耗するんですよー」と言っておく。


 

 すぐ側を大きなグレーの牛が、慣れた泳ぎで猫達を抜かして行く。


「牛さん、すみませーん。今日は他のドームからの動物達も泳がせてもらってます」


『ああ、かまわんさ。ここをわしらだけで独占するわけにも行かないだろう』と、言いながらスイスイと先に進んで行く。


 体全体に筋肉が付いていたから、良くここで泳いでいるのかもしれない。


 他にも何頭か牛達が泳いでいるのを見かけたが、あのグレーの牛の泳ぎは特に力強く華麗な泳ぎだった。


「もうすぐ1周の地点に着きますから、休憩しましょう!」

 猫達は頑張って泳いでいたが、もう大分疲れて来ているようだ。


 かなえは先に行き、みんなを歩道の方へ誘導する。

「はい、ご苦労さまでしたー」


 かなえは猫達に温風トンネルで、体を乾かしてもらっている間に先に外に移動すると、広場に水と猫用のプロの実、そして大きなクッションを幾つか用意しておく。


 ついでなので、マリー達の犬用のプロの実と、キングス達用に牧草も植えておく。


 温風トンネルから出て来た猫達に「はーい、ここでに食べ物とお水もありますから、ゆっくりしていてください」と伝える。


 シシーが一番疲れていそうだが、プロの実に近寄って行きムシャムシャ食べているので、思ったより大丈夫そうだ。


 かなえは再び流れる温泉の中に入り、キングス達とマリー達の所へ向かう。

 

 みんなはもうすぐ2周目の地点にいた。

「そろそろ休憩にしませんかー? 外に出たところで休憩出来ますよー」


『おお、そうか。わしは少し腹が減ったなー』

『そうね、じゃぁーもう出ましょう』

 キングスとクイーンは休憩する事にした様だ。


『あたし達も休もう?』と、マリーが言うと『ああ、そうだな。いい運動になった』と、リキさん。


 かなえはスクーターでみんなを誘導し、出口を知らせる。


「シロン、ルークス達はどの辺に居るの?」

「もうすぐここを通ります」


 そうか、それならここで待っていよう。


 かなえは何頭か泳いで行く牛達を見ていると、バシャバシャと音がしてルークス達が泳いで来る。

 そしてその後ろをさっき見かけたグレーの牛が追いかけていた。


『こらー、よくも俺を抜かしたなー!』と、グレーの牛が興奮してルークス達の後を追っている。


 ルークス達は『キャッキャ―』『それー』と、楽しみながら泳いでいるのでそんな態度もグレーの牛は気に入らなかったようだ。


「ルークス、モモちゃん、もう帰るよー。そこから上がって来てー」と、かなえは声を掛けると、


『ハーイ!』

『わかったー』と、もう気が済んだのか歩道に上がって来る。


『そこのチビども―、今度来た時はオレとちゃんと勝負しろよー!』と、グレーの牛は叫ぶと先を泳いで行った。


 あの牛はルークスやモモちゃん達に泳ぎで抜かれて、相当悔しかったようだ。


「ちょっと、モモちゃんとルークス。あんまり牛さん達を刺激しない様に気を付けてね」


『ハーイ』

『わかったー』と、返事はするが全く気にしていないのだろう。


 ルークス達に温風トンネルから出るように言い、かなえもジャンプで外に出て来ると、動物達はお腹がいっぱいになったのか、横になっていた。


 先に来ていた猫達はもう熟睡しているようだ。

 あらー、これだと空の散歩の続きはまた今度ね……。


 かなえはジジさん達に帰ると知らせてから、動物達を一気にアニマルドームへ移動させて行く。

 




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