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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
145/229

145 空の散歩に行こう


 かなえは再びメラニーさんの仕事場へやって来ると、扉を開けて中へ入って行く。

 メラニーさんは、手際良くパイ生地の中にキレイに切ったりんごを詰めている所だった。

 

「ミルクを運んで来ましたけど、どうしましょうか?」

「あら、ありがとう。ちょっとこのパイを仕上げちゃうから待っていてくれる?」


 メラニーさんはそう言うと、集中して最後の仕上げをする。

 幾つもの丸いパイが成形されて行く。


 パイを全てオーブンに入れて、メラニーさんはやっと一息を付く。

 あと15分もすれば、美味しそうなパイの香りが漂って来るのだろう。


「お待たせー、かなえ。ミルクを持って来てくれたのね?」

「はい、そうなんですが。今、必要でなければ私が預かっておくことも出来ますが?」


「あらそう? それだと助かるわ。そこのコンテナに入れておけば劣化はしないだろけど、なるべく出来上がったパイ用にスペースを空けておきたいの」


「わかりました。それではミルクが必要になったら声を掛けて下さいね」

「ええ、ありがとう」



 かなえは話が終わると、動物達の小屋の掃除に行く。

 クイーンのところからリキさんの小屋までウオッシュを掛けて、次の牧草地に向かう。


 大きな鏡にウオッシュを掛けて、ピカピカにする。

「シロン、バニーちゃん達は問題無いかしら?」


「はい、今はパオちゃんも荷車に乗り込み、クーちゃんが引いているようです」

「えっ? クーちゃんが!? 大丈夫かしら?」


「はい、体力的には問題ありません。子供達と一緒に遊び同じように楽しんでいるようです」


「へーっ、そうなんだ」

 クーちゃん、子供たちに刺激されて気分が若返っていたりして。

 掃除が終わったら様子を見に行ってみよう……。


 

 プロの実畑にウオッシュを掛けて、牧場の1合目の温泉に向かう。

 温泉には、グレ、シシーとマルが一緒にいた。


「みなさん、おはようございまーす」

『ああ、あんたかい』と、シシー。


「お湯の温度は問題無いですかー?」と、かなえが猫達に聞くと、


『問題無いぞ』と、グレ。

『そうね、この泡が気持ちいいわー』と、マル。


「それではまた来ますねー」と、かなえがウオッシュして、次に行こうとすると、


『ちょっと、カナカナ待っておくれ。トラが言ってたけどあんた空を案内したんだって?』と、シシー。

 

「え? あー、そうですね。ちょっとこの近くを案内しました」


『へー! あいつが言ってたのは本当だったのか。それなら俺も連れて行ってくれ!』と、グレ。


「えーと、いいですけど今は掃除をして来たいので、後でもいいですか?」と、かなえが言うと、


『ええ、いいわよ。あたしも連れて行って』と、マル。



 かなえは猫達に空を案内する約束をし、先に掃除を済ませて行く。

 3合目の温泉と、頂上にウオッシュを掛けて、山の上の温泉へジャンプして行く。


「マリー、リキさん。ここに居たのー」

 マリーとリキさんが仲良くは泡風呂の中に入っていた。


『ええ、なんだかここが落ち着くのよね』とマリー。


「リキさん、森のドームでは問題無い?」

『まあな。だが親父やリンジーがやたらかまって来るんだ』


 フフッ、きっと森のドームのみんなはもうマリーが帰ってしまって、リキさんが寂しがっていると思っているんだろう……。


「みんなリキさんが好きなのよー」

『ハハッ、そうかもな』


 かなえはウオッシュを掛けながら、猫達と空の散歩に行く事を思い出す。


「ねぇー、後で猫達を空の散歩に連れて行くんだけど、マリーとリキさんも一緒に来る?」と、かなえが聞くと、


『フーン、そうなんだ。あたしはどっちでもいいけどリキは?』

『そうだなー、連れて行ってもらおうか』


 リキさんが行きたそうなので、マリーも行く事にしたようだ。

 かなえは掃除が終わったら、マリー達を迎えに来ることにする。



 シャワードームに移動して来ると、キングス達とルークス達が元気に飛び跳ねている。


 休憩場やその周辺に軽くウオッシュを掛けて、行こうとするが思い付いて、空の散歩にキングス達も誘う。


「ねー、キングス、クイーン、これから空の散歩に猫達とマリー達を連れて行くけど、あなた達も一緒に行く?」


 かなえがキングス達のシャワードームの前で言うと、キングスとクイーンが跳ぶのを止めて外に出て来る。


『なにー? 何処か行くのー?』

『空って言ったか?』


「うん、そうよ。猫達が行きたいって言っているから、行く事にしたんだけど、マリ達も行くって言いうから、キングスとクイーンもどうかなっと思って」


『あたし、行きたいわ! 連れてってカナカナ』

『そうか、それならわしも行こう』


 もうキングスはクイーンが行くなら、どこでも付いて行きそうだ。


「じゃー、みんなを連れて来るから、山の頂上で待ち合わせでいい?」

『ああいいぞ』


 

 かなえはマリー達の所へ戻り、山の頂上で集合と伝え、猫達の居る1合目の温泉へ移動して行く。


「ハーイ、お待たせしましたー。他の動物達も誘ったので、頂上で待ち合わせです」

『そうかい、それならトラもその辺にいると思うから、呼んで来てもらえないかい?』と、シシー。


えっ? いいけど……。

「シロン、トラは何処にいるかしら?」

「花畑の木の横で眠っています」


 あら、どうしよう……。

「あのー、トラは花畑で寝ているみたいですけど」


『そうかい、いいよ。連れてきておくれ。あたし達だけで行ったって知ったら後で煩いから』

「わかりました」


 

 シシーがそう言うので、かなえは花畑にジャンプして行くと、木陰で気持ち良さそうに眠っているトラを見つける。


 なんか起こしたら可哀想な気もするな……。

 かなえはそっとトラを抱き上げると、再び1合目の温泉に戻って来る。


「はい、トラも連れて来ましたよー。それではこのまま頂上まで移動します」と、待っていた猫達を連れて頂上へ移動していく。


「みんなお待たせー」と、既に来ていたマリー達とキングス達に声を掛ける。

 

 猫達は大型のキングスやクイーンもいたのでちょっと驚いているようだ。

「えーと、みんな初めて会うのかな?」


 かなえはみんなの名前を順に言っていき、自己紹介を簡単にしてもらう。


「シロン、この人数だとカーペット中でも大丈夫かな?」

「そうですね、大丈夫だと思います」


 かなえはポーチからカーペット中を取り出して、準備しているといつの間にかすぐ横に、モモちゃんがいた。


「あら? モモちゃんどうしたの?」かなえがたずねると、

『モモちゃんも空のさんぽいくー!』とモモちゃん。


「えっ? モモちゃん。空の散歩なら自分で行けるのにみんなと一緒に行きたいの?」

『うん、モモちゃん、みんなと一緒に行きたいのー!』


 モモちゃん達は誘って居なかったが、モモちゃんの聴力ならかなえの声は丸聞こえだっただろう。


 まぁー、行きたいならいいか。

「それで、ルークスはどうしたの?」

『ルークはすぐに来るよ』と、モモちゃん。


 モモちゃんの言う通り、ルークスが慌てたように空中階段で近づいて来た。

『もー、モモちゃん! 急にまた居なくならないでよー』


『ルークはモモちゃん、何処にいるかわかるでしょ?』

『そうだけどー……急に消えると、ぼくおどろくでしょー!』


 まぁー、いつもの事だから放っておこう。

 ルークスとモモちゃんの首輪が可愛らしくて似合っている。



 猫達は初めてルークス達を見たようなので名前だけ教えておく。


 かなえはカーペットのサイズを中では無く大に変更し、上にクッションを敷き詰める。

「はぁーい、それではみんな、好きな所でくつろいでくださーい!」


 かなえはトラちゃんを、シシーの居る隣にそっと寝かせると、運転席に座る。

「シロン、空中階段機能の無い動物達に付けておいてくれる?」


「はい、わかりました」



 かなえは飛び立つ前に、モモちゃんに注意しておく。


「モモちゃん、飛んでいる時に急に外に飛び出そうとしたらダメだよ」

『うん、わかったー』と、いつも返事だけは良いモモちゃん。


 まだ色々注意したいが、他の動物達が退屈してしまうので、出発することにする。


 まず、カーペットにシールドをしインビジブルにする。

 

 そして、カーペットに初めて乗るシシー達に向かって「もし、途中で気分が悪くなったり、降りたくなったらすぐに教えてね」と、言っておく。



「それでは出発しまーす」と、かなえはゆっくりとカーペットを上昇させる。


 そして、アニマルドームの島のまで移動して来て、上空からの景色を見てもらう。


『へー、この島は広かったんだねー』と、シシー。


『何だ、あれは?』と、グレが言う方を見るとクーちゃんがまだみんなを乗せて荷車を引いていた。


『ハハッ、クーがあんなに面倒見が良いとは知らなかったよ』と、シシーは驚いたようだ。


 他の動物達も、猫が引く荷車が珍しいようでジックリ眺めている。


 荷車に子猫達にパオちゃん、バニーちゃんまで乗っているので、細身のクーちゃんが楽々と引いているのが不思議に見える。


『フフッ、あの子達楽しそうね』と、マリーも目を細めて子猫達の様子を見ている』


 カーペットはインビジブルにしているので見えないはずだが、パオちゃんがしきりにこちらを気にしているようだ。


 へー、パオちゃんは他の子達より感覚が鋭いのね……。



 島を一周したので、カーペットの高度を上げて行き、アニマルドームから飛び立って行く。


 せっかくなので、猫さん達にもドームシティーを見てもらった方が良いな。


 かなえはスピードを上げて行く前に、少しづつカーペットや上に乗せたクッションを透過させていく。


「下が見えるようになりますけど、落ちないから大丈夫ですよー!」

 一応声を掛けるが、猫達は下が丸見えになって驚いて縮こまっている。


『大丈夫だよー! 落ちたらモモちゃんが拾ってあげるよー!』と、モモちゃん。

 うーん、それはもっと怖いかも。


 それでも他の動物達が普通にしているので、シシー達猫もだんだんと慣れて来たようだ。


『はー、驚いたよ。空の旅って言ってたけど、床が消えるなんて聞いてなかったからね』と、シシー。


『ほら、何時まで寝てるんだ』と、グレがまだ眠っているトラに声を掛ける。


『ふわぁー、えっ? 何?』

 トラが目を覚ましたようだ。


『ほら、空の散歩に行くって言うから、あんたも連れて来てやったんだよ』とシシー。

『ワーッ! ヤッター』


 トラは早速ブレスレットをこすって、スイッチオンにして良く見えるようにしたようだ。


 

 みんな、もう問題無さそうなので、かなえはカーペットを一気に加速させて、ドームシティーに向かって行く。



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