143 温泉シート
かなえはスミス夫妻の家の庭にやって来ると、大きなテーブルにウオッシュを掛ける。そして、ついでに庭の周辺にもウオッシュしておく。
「シロン、みんなはいつ頃戻って来れそう?」
「メラニーさんとリリララ姉妹は、もうすぐこちらへ戻って来ます。そして、ジミーさんは仕事場からこちらへ歩いて来ます」
「ジョンさんはどう?」
「ジョンさんは、まだジョーさんの所ですが、もうすぐ戻って来れるでしょう」
ジョンさんは毎日頑張るなぁー。
近いうちにどんな感じか見に行ってみよう。
かなえは庭の灯りを調節していると、ジミーさんが庭に入って来た。
「ジミーさん、もう戻っていたんですね」
「ああ、そうなんだ……今日は久しぶりに友人に会って来たんだが、私が元気そうだと驚いていたよ」
「そうですか、毎日お会いしていると変化に気が付きにくいですけど……」
言われてみればジミーさんは、ここに来たばかりの時はガリガリにやせていたが、今では随分と健康そうに見える。
「私も自覚はあまりなかったが、普段来ている服が少し小さくなったような気はしていたんだ」
「最近、体調の方はどうですか?」
「全く問題無いよ。食事もうまいし、まだまだ働けそうだ」
「そうですね、ジミーさんには元気でいてもらわないと!」
ジミーさんと話していると、メラニーさんとリリララ姉妹がドームシティーから戻って来た。
「お帰りなさーい!」
「ララねーメラニーさんにピンクの温泉見せていい?」と、元気いっぱいにかなえにたずねるララちゃん。
「えっ、もちろんいいよ。あのお風呂はリリちゃんとララちゃんの物なんだから、2人で決めればいいよ」
「うん、わかったー! じゃーメラニーさん。今から行こ―」
ララちゃんは思いつくと、すぐに行動に移したくなるようだ。
「そう? かなえちょっと見て来てもいいかしら?」とメラニーさんが苦笑しながらかなえに聞く。
「はい、もちろんですよ。ジョンさんはもう少しで戻って来るみたいですから、食事の前にみんなで見に行きましょうか?」
「ああ、私も是非見てみたいな」と、ジミーさん。
結局メラニーさんとジミーさんも一緒に、今いる全員でリリララ姉妹のピンクの温泉に行く事になった。
リリララ姉妹の家の前まで移動して来ると、正面玄関から入って行く。
「あらー、内装も家とは随分違って可愛らしいのねー」と、メラニーさん。
女の子が喜びそうな、ピンクや花柄のパステルな雰囲気いっぱいだ。
「ハハッ、ほんとに可愛らしい部屋だなー」と、ジミーさん。
「ここがララとお姉ちゃんのベットだよー」と、ララちゃんは部屋の隅々までみんなに見せたい様だ。
真っ直ぐ奥に行き裏口の扉を開けると、裏庭に行く扉と、温泉に通じる脱衣所の扉がある。
「この辺りはそんなに私の家と変わらないけど……」と、メラニーさん。
ララちゃんが脱衣所の扉を開けて「はい、どうぞ! ピンクの温泉です」と、嬉しそうに案内してくれる。
「あらっ! 可愛らしいわねー」
「そうだなー」
お花の形の足拭きマットや、ピンク色の家具などが置いてあり、バスローブが掛けてある。
「ここから温泉に入ります」リリちゃんはトンネルシャワーのスイッチが切れているのを確認し、先に中に入って行く。
「まー、ここは想像以上にメルヘンな世界ねー」
「うーん、これなら女の子は喜ぶなー」と、メラニーさんもジミーさんも納得したようだ。
「あのーですから、メラニーさんとジミーさんの温泉もどこか変更したいところがあればいつでも言って下さいね」
「ありがとう、かなえ。でも何処をどう変えればいいかなんて、私には思い付かないわ」
「そうだな。これ以上贅沢は出来ないよ」と、大人二人は遠慮深い。
「ララねー、お風呂で遊ぶオモチャがいい!」
フフ、ララちゃんからはオモチャの催促だ。
チョッとぐらいおねだりしてくれた方が嬉しいな。
「オモチャ? どんなものが良いの?」
「うーんとねー、ララ泳ぐ練習出来るのがいい!」
「えっ、ここで泳ぐの?」
ここは直径3メートルの丸い浴槽なので、お風呂に入るには十分だが泳ぐにはちょっと狭そうだ。
「そうだよー。ララ、足でバシャバシャできるよー」
「もー、ララは水しぶきをまき散らすんですよー!」と、リリちゃんは大変そうだ。
「シロン、何かお風呂で静かに遊べるものはある?」
「はい、それでしたらこれが良いでしょう」
かなえはポーチを開けると……ピンク色のヨガマットの様なシートが丸まって出て来た。
「わぁー、それなーに?」と、興味深そうにたずねるララちゃん。
えーと、これは……。
「温泉シートです。お湯の上で広げるとその上で寝転がる事が出来ますし、二つに畳んで座ったり、丸めて浮き輪代わりにも出来ます」
へー、こんな便利な物があるんだ。
「でもこれ、浮くの?」
「はい、薄い素材ですが浮力を強くしてありますので、深くは沈みません」
「ねー、これなあにー?」
もう一度ララちゃんに聞かれたので、
「えーと、これは温泉シートって言います」と、シロンに言われたようにみんなに説明する。
「まぁー、面白そうね。かなえ、私も使ってみたいわ」
「そうだな」と、さっきは遠慮していた大人達だが、実物を見て試してみたくなったようだ。
「シロン、お願い」
かなえはシロンに頼むと、パッと目の前に4つの温泉シートが現れた。
ピンク色のはリリララ姉妹用で良いだろう。
あとの、3つの水色の温泉シートをメラニーさんに2つ、ジミーさんに1つ渡す。
「では、これで試して見て下さい」
「ありがとう、かなえ。早速今晩使ってみるわ」
「私も、試してみるよ」と、メラニーさんもジミーさんも、リリララ姉妹に負けない位、嬉しそうだ。
「そろそろ、行きましょうか?」
夕食が遅くなるので、みんなに声を掛けてスミス夫妻の庭に戻って来る。
「シロン、ジョンさんはまだ遅くなりそう?」
「いえ、南門の温泉に着きましたからもうすぐでしょう」
「そう、ありがとう」
かなえは先にサラダなどの冷たい物をテーブルに並べる。
飲み物を準備していると、ジョンさんが戻って来た。
「お帰りなさーい!」
「おかえり」
「ごくろうさまでーす」
「はは、出迎えてくれてありがとう。なんだかすごく歓迎されている気がするよ」と、照れくさそうに笑うジョンさん。
話を聞きたかったが、先に全ての料理を並べて食事を始める。
ジョンさんは喉が渇いていたのか、エールを美味しそうに飲み干している。
かなえが用意したのは、まかない亭のプロの実のチリソースと、野菜のテンプラ盛り合わせにご飯とコーンクリ―ムスープだ。
それにサラダと、デザートはテラスカフェで買ったアップルシュトゥルーデルにした。
飲物はリリララ姉妹とかなえはマンゴジュースに食後にハーブティー。大人達はエールと、食後にやはりハーブティーにするそうだ。
「このまかない亭のは料理は量がが多くて美味しいので人気があるんですよ。無理して食べないで、余ったらコンテナにしまい、また他の日にでも食べてくださいね」
「ああ、ありがとう。旨そうだ。今日は腹が減っているから私は完食できそうだ」と、ジョンさん。
「ララも、全部食べられるよー」と、対抗心を燃やしている。
「ララ、お腹が痛くなるから無理したらダメだよ」と、リリちゃんは心配する。
「あなた、今日もお昼抜きだったの?」と、メラニーさん。
「いや、ちゃんと食べたよ。だが体を動かしていると、腹が減るんだよ」と、ジョンさん。
「ジョンさん、無理していませんか?」と、かなえが心配になって聞くと、
「いや、大丈夫だよ。あのジョーさんは取っ付きにくい所はあるが、根は良い男だ。じゃないとあんな温かみのある家具は作れないだろう」とジョンさん。
良かった……。
ジョーさんもジョンさんがいて、きっと助かっているんだろうな。
「ララねー、ピンクのシートで泳ぐんだよー」と、ララちゃん。
それでメラニーさんが、リリララ姉妹の温泉を見学して来たと説明する。
「へー、それで、あそこに置いてある水色ので、もっと温泉を楽しめるんだな」
「そうだよー、ララ泳ぐ練習するんだー!」
美味しい食事をしながら、みんなで大声で話したり笑ったりと忙しい。
「メラニーさんの屋台のお店は何処まで進んでいるんですか?」と、かなえが聞くと、
「それが、今日行ってビックリしたんだけど、温泉の売店に設置されていた屋台の場所が移動されていたのよ」と、メラニーさん。
「それで、なぜか売店のある建物の隣に、独立した店を任されることになったの」と、メラニーさん。
「えっ? 屋台じゃなくてお店ですか?」
お店を開けるのは凄い事だが、急に変更されては大変だ。
また女神さまの仕業かな……?
「でも、何とかなりそうよ。リリちゃんが料理教室のお友達を何人か連れて来てくれるらしいの」
「はい、メラニーさんのパイの話をしたら『是非手伝いたい』って友達に言われたんです」と、リリちゃん。
「ララも手伝うから大丈夫だよー!」と、ララちゃんはやる気だ。
みんな、目標に向かってどんどん進んで行く。
かなえは食事が終わるとアップルシュトゥルーデルを切り分ける。
6人で分けると丁度良い大きさになる。
「あら、この生地はパイとはちょっと違うのね」
「はい、もう少しサッパリしていて、食べやすいってお店の人が行っていました」
「そうなの……」
メラニーさんの頭の中では、また新しいパイのアイディアでも浮かんでいるんだろう。
「メラニーさん、何か私に手伝えることがあれば声を掛けて下さいね」と、かなえはもう一度伝える。
「ええ、ありがとう。とても心強いわ。今のところは大丈夫だけど、何か助けてもらうかもしれないわ。その時は宜しくね」
「はい、わかりました」
そろそろ帰ろうという事になり、テーブルを片付ける。
家へ帰って行くスミス夫妻や、リリララ姉妹とジミーさんを見送り、かなえも自分の家へ戻って行く。
はー、終わったー。
家に帰って来ると、緊張感が抜けて眠くなって来る。
かなえはなんとかシャワーを浴びると、寝る支度をしてベットに潜り込む。
今日もいろいろあったな。
みんな楽しそうだった……。
明日も頑張ろう。
かなえは灯りを消して、眠りに就いた。
――――――――――――――――
ポイント
プラス
マイナス 1200 ピザランチセット、テラスカフェ
2000 シュトゥルーデル×2 ピーチ、アップル
残り 217万8200
パワー 498
――――――――――――――――
予定 動物達を連れてお出掛け
――――――――――――――――
給料30日目 牧場の従業員見習い 15万
動物ギルド長 20万ー6万(リリララ姉妹の残業代)=14万
アニマルドーム管理人 30万




