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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
140/229

140 ヤシの木シャワー


『カナ、カナ、アサですよー、パンですよー』

『カナカナ、おはよー、ピーちゃん来たよー』


「うーん……えっ? ピーちゃん! あー、おはよー」


『カナ、カナ、パンですよー、おきて―!』

『カナカナ、美味しいパン、ちょーだい!』


「フフ、あなた達仲が良いわねー」


『うん、ぼくピーちゃんと仲いいよー』

『そうだよー!』


 かなえは今朝も2羽に起こされ、ベットから出ると居間に歩いて来る。


「はい、どうぞ。どれがいい?」

 かなえはパンをポーチから取り出して尋ねる。


『うーんとねー、ぼくオレンジパンがイイ!』

『あたし、黄色パンにするー!』


「はいどうぞー!」


 リトくんが選んだのは、ニンジンのみじん切りが練り込まれているパンで、ピーちゃんのはコーンミールとコーンの粒が入ったパンだ。


『おいしいなー、オレンジパン。野菜のあじ―!』

『おいしいな、黄色パン。あーまいよー』


 リトくんもピーちゃんも、今朝のパンが気に入ったようで、一緒にテーブルの上で飛び跳ねている。


「あなた達、今日午後から森のドームへ行くけど一緒に行く?」

『うん、ぼく行きたい!』

『いいよー』


 リトくんとピーちゃんがかなえの肩に飛び乗って来たので、

「でも行くのは午後からだけど……そうか! 今から先に連れて行ってあげるね」


 

 かなえは起きたままの恰好で、リトくん達を連れて森のドームへ移動して行く。


「はい、着いたよー。私は午後からまた来るから迎えに行くね」

『うん、わかったー』

『ハーイ!』


 

 リトくんとピーちゃんは、森の中へスーッと飛んで行く。

 かなえは自分の部屋に戻って来て、出掛ける準備をする。


「シロン、ジジさん達は今日も温泉に居るの?」

「いいえ、丘の上で待っているようです」


 そうなんだ……今日はアニマルドームに行く事にしたんだな。

 かなえは牧場へジャンプして行く。



「おはようございます」

『おはよう』

『おはよう、カナカナ。たまには向こうのドームへも行って、気分転換しないとね』


「そうですね。それでは出発します!』

 かなえはジジさんババさんを連れて、アニマルドームの砂浜へ移動する。


「いってらっしゃーい!」

 かなえは、エスカ機能で空中を登って行く、ジジさんババさんを見送る。


 

 さー、次は朝食の時間ね。

 かなえはジミーさんの家の庭にジャンプして行く。


 ジミーさんはいつもより薄着のシャツ一枚で、テラスの椅子に坐っていた。


「おはようございます!」

「やぁー、おはよう」


 ジミーさんは、なんとなく顔が赤いような……。

「ジミーさん、大丈夫ですか?」


「えっ? 私は何も問題無いよ。ただ、あの温泉が気持ち良すぎてね……昨夜も入ったんだが、今も入って来たんだよ」


 フフッ、ジミーさん朝風呂に入ってまだ火照っているのね。


「それなら、いいんですが……あまり長湯をすると湯あたりを起こすので気を付けて下さいね」


「ああわかったよ。それにしても家に温泉があるとは贅沢な事だよ。ありがとう」

「いえ、どういたしまして」


 そんなに喜んでくれるなら、もっと早く温泉設置が出来ればよかった。


「おはようございます」

「おはようございまーす」


 リリララ姉妹が、庭の扉を開けて入って来る。

「おはよう、あれ? あなた達もちょっと顔が赤いけど……」


「はい、朝も温泉に入って来て、気持ち良かったです」

「ララねー、温泉で泳いだんだよー!」


 二人も朝風呂を楽しんだようだ。

 朝食の準備が出来たので、みんなで席に着く。


 献立は、プロの実ベーコンとレタスにトマトの雑穀パンのオープンサンド。

 上にアルファルファがこんもりと乗っている。


 それにチーズの乗ったベイクドポテトとレンズ豆のスープ。

 フルーツは大きなハニデュ―メロンを4等分にする。


 飲み物はオレンジジュースと、ホットアーモンドミルク。ジミーさんにはカフェラテにした。


「それでね、ピンクのお風呂でねー……」と、ララちゃんが昨日初めて入った家の温泉の話を始める。


「かなえさん、あんなに可愛く造ってくれてありがとうございます!」

「ララね、お湯の中に潜ったよー!」


 みんなに喜んでもらえて良かった。

「この二人の温泉は、ピンク色なのかい?」と、ジミーさん。


「はい、女の子っぽく浴槽と床を淡いピンク色にして、灯りをお花にしたんです」

「それに、マットもお花なんだよー!」と、ララちゃん。


「へー、そうかい。それは是非見てみたいな」

「いいよー、ララのお風呂みせてあげるー!」と、ララちゃんは朝から元気いっぱいだ。


「ジミーさんの所と、スミス夫妻の温泉はシンプルな内装なので、もし希望があれば言って下さいね」


「いやー、家に温泉があるだけでも凄いのに、それ以上贅沢は言えないよ」


「いいえ、細かく希望を言ってくれた方が、次への参考になりますから、是非お願いします」


 きっと、瀬戸物職人のジミーさんなら、面白いアイディアがあるかもしれないな……。


 かなえは食べ終わった食器を片付けて、リリララ姉妹を見送る。

 そして、動物達の様子を見に行く。



「シロン、バニーちゃんはどうしてる?」

「今はクーちゃんや、みんなと一緒にいますが……」


「あら? シロンが言いにくそうにしている」

 かなえはジャンプで、猫の温泉の前の砂浜へ移動して行く。



『あんた達、止めてよー! 汚れちゃったでしょー!』

 バニーちゃんが叫んでいる。


 あーあ。そう言う事かー。


 バニーちゃんは昨日、かなえが着せた服を今も来ているので、子猫達とパオちゃんにからかわれたようだ。首にはゴーグルも着けている。


『だってー、バニーちゃん面白いんだもん』

『バニーちゃん、人みたい』

『バニーちゃん、おこってるー!』


 クーちゃんは少し離れたところで、呆れているみたいだ。

「クーちゃん、おはよう。大体何があったかはわかったわ」


『ああ、そうだろう。あの子があんな格好をしているから、みんな面白がってるんだよ』


 かなえは子供達に近づいて行くと、

「はぁーい、みんな。意地悪しないでー。バニーちゃんは女の子だからオシャレもしたいのよ」


『オシャレ?』

『何?』

『おもしろいの?』


 あーあ、みんなにはピンと来ないだろうなー。

 かなえはバニーちゃんのピンクの服にウオッシュを掛けて、ゴーグルも目につける。


「バニーちゃん、汚れたらすぐきれいにしてあげるから大丈夫よ」

『あー、キレイになったー!』


 バニーちゃんは嬉しそうに、橋の方へピョンピョンと跳ねながら向かって行く。

 また牧草地の鏡の所へ行くのだろう。


 

 バニーちゃんの事は忘れて、またドロドロになって遊ぶ子猫達とパオちゃん。


 パオちゃんが鼻で湖の水を吸い込み、子猫達にシャワーの様に噴き出すのが面白いようだ。


 かなえはそれを見て閃いたので、砂浜に泥を落とすためのシャワーを設置する事にする。


 

 フォルダの中のシャワーを見ると、いつの間にか種類が幾つも増えている。

 かなえはその中からヤシの木シャワーを選択する。


 床を砂浜の砂と同じクリームがかった白にして、ヤシの木シャワーを4つ設置する。


 そしてその横に、温風ヤシの木も4つ付ける。

 湖の方から見ると、ヤシの木が8つ並んでいるように見える。


 自動浄化装置を付け、お湯の温度や強さも調節する。

 流れて行くお湯は、床に吸収されるので問題無い。


 これでいいかな。


『今度は何を造ったんだい?』と、クーちゃん。


「子供たちが、自分で体を洗えるようにシャワーを造ったの。温泉に入るにはドロドロ過ぎるでしょ?」


『ああ、そうかい。それは良かった』

 

 それに、クーちゃんがみんなの様子を眺めたり、昼寝が出来るように台を造ろう。


 いつもクーちゃんにはお世話になっているので、居心地良くしてもらいたい。

 かなえは大きなキャットタワーを取り出して、ヤシの木シャワーの並びに設置する。


 このキャットタワーも、パッと見は、背の高いヤシの木と低いヤシの木が並んでいるように見える。


 そして、下の方にはパオちゃんも寝られるように大き目の台を設置する。

「クーちゃん、昼寝をする時はここも使ってね」


『へー、これは登れるようになっているのかい?』

 クーちゃんはポンポンと、ヤシの木のキャットタワーに上手に登って行く。


 それを見ていた子供たちが、近寄って来るが、


「はぁーい、あなた達。そんなドロドロのままではダメよ。先にこっちでシャワーを浴びてね」


『えー、シャワー?』

『わー、お湯が出た!』

『きもちいいー』

『パオーン』


 説明しなくてもみんな並んでシャワーを浴び始める。


「はーい、きれいになったら、隣で体を乾かしてね」


『はぁーい』

『いいよー』

『あったかーい』

『パオーン!』


 まー、みんな気に入ったようだからいいか。


 クーちゃんはお婆ちゃん猫だが、まだまだ元気なのか、ヤシの木のキャットタワーの一番上の台まで行くと、丸くなり子供達の様子を眺めている。


「クーちゃん、そこからの眺めはどう?」

『悪くないよ。ここからだと悪ガキ共も良く見えるよ』と、クーちゃん。


 

 子猫達がトントンっと、温風ヤシの木からキャットタワーに上って行く。

 パオちゃんは子猫達の様にはいかないが、3段上まで上って行けた。


 子猫達はあっという間に、一番上のクーちゃんの所へ辿り着く。

『ちょっと、あんた達ここはあたしがいるんだから、隣に移りなさい』


『えー、だってクーバーのところが一番上だよ』

『遠くまで見えるよー』

『パオちゃん、おいで―!』


 なかなかクーちゃんが、ゆっくりできる場所は無いようだ。

 

 ……でも、クーちゃん、楽しそうだなー。



「クーちゃん、私はそろそろ行くねー」

『ああ、わかったよ』


 

 かなえは牧場へ移動して行く。




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