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アニマルレスキュー  作者: コトリコトリ
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138 屋台のギロピタ 

 かなえは山の頂上までウオッシュを掛けると、山の上の温泉へ移動して来る。


「あっ、マリー、リキさん。ここに居たんだー」

『ええ、かなえ。今日はゆっくり温泉に入る事にしたの』


「そうなの……リキさん、その後足の調子はどう?」

『足は何ともないぞ。ついこの間まで歩くのも面倒だったのに、もう走る事に慣れてしまったよ』


「そう、それは良かった。ところで、そろそろマリーを森のドームから連れ戻しに行こうかと思うんだけど……」


『えっ? でももう自由に行き来しているから、このままで良いんじゃない?』

「うーん、でも今は森のドームの人にずっとマリーを面倒見てもらっている状態なのよ」


『ああ、そうだな。親父達は何も知らないからな』

『ふーん、それならあたしを迎えに来てリキはどうするの?』


「リキさんは今まで通りここと森のドームを行き来して、マリーはしばらく向こうに行かなければいいのよ」


『フーン、人間てなんだか面倒なのね』


『あのミラーの存在を隠しておきたいんだろう。まぁー、ワシがここへ来ればいいだけだから今とたいして変わらないさ』


「ごめんね……じゃぁー何時がいいかな?」

『そうね、向こうにしばらく行かれなくなるのよね……それなら明日にしてくれない?』


「うん、いいよ。そうしたら明日の午後に森のドームへ迎えに行くからマリーもあっちに行っていてくれる?」


『ええ、わかったわ』


 

 かなえは予定を決めると、シャワードームへ移動して行く。 


 

 今日は、キングス達のシャワードームだけが起動している。

 ルークス達は昨日の首輪の機能を使って遊んでいるのかな……。


 かなえは全体にウオッシュを掛けて移動しようとするが、ふと思いとどまる。

 

 マリー達もジジさん達も他のドームと行き来しているが、キングス達はずっとここのシャワードームにいる。


 退屈にならないかな……。

 かなえはちょっと聞いて見ることにした。

 キングス達のドームの前まで来ると大きな声で、


「ねぇー、キングス、クイーン、何処か他に行きたいところがあれば連れて行くけど?」と聞くと、


 キングスとクイーンが、動きを止めて外に出て来る。

『なにー? カナカナ。急にどうしたの?』と、クイーン。


 かなえはキングスとクイーンに、もう一度行きたいところはないか質問する。


『うーん、そうだな……クイーンはどうしたい?』

『そうね、特に行きたいところは思いつかないけど……』


「そう? たまにはドームシティーの馬達に会いに行ったりしたくない?」


『ああ、そうね。行っても良いわ』

『うーん、クイーンが行きたければ行くとするか』


 キングスは、ここでクイーンと一緒にいられる方が嬉しいみたいだ。

「それなら、いつでも行きたい時に連れて行くから言ってね」



『やっぱり、今から行きましょうよ。最近ドームシティーのみんなにも会っていないし』

『ああ、そうか……いいぞ』


「わかったわ。それならちょっと待ってね」

 かなえはシロンに頼んでルークス達と同じ首輪を2つ出してもらう。


「これなんだけど、行く前にこの首輪を着けてみる?」

『いいけど、何のため?』


 かなえはお互いが離れていても、どの方角にいるかがわかる首輪だと説明すると、


『それは良いじゃないか。わしに着けてくれ』と、キングス。

『えー、それって私達に必要かしら?』と、クイーン。


『ああ、あった方がいいだろう。広い場所でクイーンを探す時に便利だ』

『そう、まぁーいいけど』


 かなえはあまり気の進まないクイーンと乗り気のキングスに、ピンクとグリーンの光沢のある首輪を着ける。


『えっ? 別に何も変化が無いけど?』

『そうだな、何処が違うんだ?』


「その首輪は、お互いが離れている時に作用するの。今みたいに側に居れば何も感じません」


『おおそうか、クイーン、向こうの端まで行ってくれないか? わしは反対側に移動するから』


 キングスとクイーンは小走りで離れて行き、シャワードームのある敷地の端と端に分かれる。



 しばらくすると、キングスがクイーンの所へ走って近づいて行く。

『おお、わかるぞ。本当にクイーンの居場所を教えてくれるんだな』


 かなえもキングス達の所へジャンプして様子を聞きに行く。

『クイーンはどんな感じだった?』


『ええ、なんとなく首輪がキングスの居る位置を示してくれたわ。でもキングスがすぐに近寄って来たから、わからなくなったけど』


『ああ、これはいいなぁー……朝、クイーンが先に起きてどこかへ行っているんだが、これがあれば探しに行けるな』


 あらー、クイーンなんだか嫌そうだな……どうしよう。


「キングス、そんなにしつこくしたら嫌われるよ。この首輪は外へ出掛ける時だけにしようね」


『えーっ! なんでだ。こんな便利な物わしは外さないぞ!』

 フフ、キングスったらいい年をして子供みたいだな。


 クイーンは困った顔をしている。


「それより、今から向こうへ移動していいですか?」


『ええ、お願いできる?』

「はい、わかりました。キングスも行くよ?」

『ああ、いいぞ』


 

 かなえは首輪をしたキングスとクイーンを連れて、西の温泉の横の放牧地の角へ移動して来る。


「ここでいい?」

『ええ、いいわ』

 クイーンは仲間の馬がいたようで走って行く。


「キングス、夕方に迎えに来るね」

『ああ、頼むよ……』


 キングスはクイーンの事を本当に好きなんだな。

 でもクイーンはどうなんだろ。

 アニマルドームではいつも一緒にいるけど……。


 まー、なるようになるか。


 キングスを応援したいけどね。



「シロン、今何時?」

「はい、もう12時過ぎました」

 

 どうしよう……ジミーさんは今日は温泉に行くって言ってたからな。

 かなえが考えていると、



「かなえさーん!」と、かなえを呼ぶ声が聞こえた。

 あっ、アンディーだ。


 乗馬教室のアンディーがかなえのいる放牧地に近寄って来た。

「かなえさん、こんなところでどうしたんですか?」


「えーと……クイーンがこっちに来たいって言うから、キングスと一緒に連れて来たのよ」


「えっ、クイーンが来たいって言ったんですか?!」

 あらっ、まずい。



「いやー、まさかー。そうじゃなくて、クイーンが来たそうに見えたのよ」

「そうですよね。ア、ハッ、ハッ!」


「それで、アンディーは何処へ行くの?」

「えーと、ぼくはランチを買いに行くところなんです」


 アンディー、もう自分の事私って言わないんだ……。


「へー、この辺でお勧めのお店は何処?」


「えーと、ぼくが一番好きなのはスブラキの屋台です。プロの実の串焼きが最高なんですよー!」


「ふーん、そんなに言うなら私も食べてみようかな?」

「ええ、是非!」


 偶然アンディーに会ったので、かなえはお勧めのスブラキを食べてみることにした。


 アンディーに連れられて、温泉の売店の先の屋台が並んでいる広場にやって来た。

 

 アンディーは10人位列が出来ている一番人気の屋台に並ぶ。


「へー、このお店、人気があるのねー」


「はい、この温泉が出来てから、屋台がどんどん増えて来て毎日お昼が楽しみになりました」


 そうかー。温泉が出来る前はこの辺りは、静かだったものねー。


「それなら、温泉にも入ってみた?」

「はい、ぼくは仕事が終わった後、ここの温泉によく来ますよ」


 仕事が終わった後なら、リリララ姉妹とは会っていないかー。

 


 やっとかなえ達の番が回って来た。

 かなえは少ないメニューを見ながら迷っていると、


「ぼくはこのスブラキにしますが、こっちのギロピタもお勧めなんですよ」と、アンディー。


 アンディーのもう一つのお勧めは、串焼きでは無く大きな回転するプロの実の塊を細くて長いナイフで薄くそぎ切りにして、ピタパンに巻いて食べる料理だ。


 ふーん、これも美味しそうだな。


 アンディーは予定通りスブラキにして、それにフレンチフライ、サラダとソーダを頼んだ。

 

 かなえはギロピタで、中に全種類の野菜を入れてもらい、フレンチフライとソーダも頼んだ。


 かなえは自分の分は払おうと思ったが、アンディーがご馳走してくれるそうだ。


「ありがとう、アンディー」

 今度お返しに、島のフルーツでも届けよう。


 広場の空いているベンチに腰を掛けると、食べ始める。

 

 具の周りにピタパンがぐるっと巻かれていて、その上に紙で包んであるので、大きなソフトクリームのような形で、食べ易い。


「ああー、おいしー!」

 

 スパイスの効いたプロの実と、トマトやレタスに玉ねぎを一緒に食べると互いの良さが引き立つようだ。


「そうでしょー、ここのは一番人気ですからねー」

 アンディーは自分が褒められたみたいに嬉しそうだ。


 アンディーのはピタパンの上に2本のプロの実の串焼きや野菜が乗っている。



「そういえば、アンディーは森のドーム出身なんですって?」


「えっ? あー、リンジーから聞いたんですね。そうです。リンジーと他の兄弟達とも一緒に育った家族みたいなもんです」


 かなえはアンディーにリキさんの足の件で、何度か森のドームに行ったと話した。


「そうでしたかー。でもリキの足は残念です。リンジーはずっと自分を責めていましたよ」


「でも、もう治ったから大丈夫よ?」

「えっ!? リキの足が治ったんですか?」


「ええ、そうよ。でも毎日マッサージしたりして、少しづつ治って行ったの」

「でも、もう治らないって言われていたのに……」


「今度森のドームに行ったら見に行けばいいよ。リキさん、もう走り回っているから」

「信じられない……」


 アンディーは自分の目で見ないと信じられないようだ。


 かなえは食べ終わると、


「アンディー、私そろそろ行くね。おいしい屋台を教えてくれてありがとう」と言い、人混みを抜けて歩いて行く。


 そして、木の影からアニマルドームの砂浜へジャンプして行く。

 


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