2話 水浴び
すっかり忘れていた。
このヒト、ゴブリンの血頭から被っていたではないか。
そして一緒に寝てしまった…
俺も水浴びをしないといけないんだなんて。俺には屈辱的だ!
「起きて。水浴びに行こう。」
〔んあ。まだ寝る…。〕
このヒトたまに自分の立場わかってない時あるよな。
それにしても臭い。
強制的に起こすために立ち上がった。
〔痛い〕
僕の体から転げ落ちたヒトが言う。
そう言われても君が臭いのがいけないんだ。
「行くよ。」
〔はあい。〕
渋々、僕についてくるが僕だって水浴び嫌いだよ?したくないよ?でも臭いには敵わないよ。
君より鼻が良いんだから。
〔ワンちゃん臭い。〕
君のせいだよ?と言いたかったが言わないで黙って進む。
このヒトはどんな教育をされているんだ。モンスターに言いたい放題じゃないか。
…僕はモンスターではないけどね。
その後も言いたい放題のヒトを無視しながら歩き川についた。
〔えー。本当に入るの?冷たいよ。〕
「入るよ。入って。」
絶対入れさせるという目でヒトを見る。
〔わかったよ…冷たっ。〕と言っても無視。
全部に反応していたら疲れるからな。
「しっかり洗ってね。」
少しでもゴブリン臭かったら許さないからな。
〔…。名前なんて言うの?〕
水の温度に慣れたのか質問をしてくる。
「名前はない。」と軽く流す。
名前とかそんな誰かと関わることなんてないから必要ない。
〔じゃあ、私がつけても良い?〕
まじか。このヒト。本当に俺を犬扱いしてくるじゃないか。
「どっちでも良い」
否定はいけないと思ったがそれがいけなかった。
〔ユキ。ワンちゃんは今日からユキ。〕
今、秋だよな?俺の体毛も白というより灰色だぜ?
名前をつけたことより名前の由来が気になって仕様がない。
「…君は?」
〔私の名前はライラ。〕
へー。そうなんだ。苗字は言わないのか?前にも思ったが君は良いところの子だろ?
「ララ。」
あっ。ラに挟まれたイが言えなかった。まだ話すことは慣れてはいないらしい。
〔ふふっ。ララでも良いよ!〕小さなヒトに空気を読まれてしまった。流石に恥ずかしい。
でも、今更変更するのもおかしな話だからそのままにしておく。これ以上恥はかきたくないからな。
「ララ。一回戻るぞ。」といってもララを拭くものがない。濡れたままだといけない。けどどうしよう。
そうだ。ある方法を思いついた。
まずは僕の体を乾かすために風の魔法で水を乾かす。
次にララを僕の体毛で拭く。そしてまた風の魔法で乾かす。完璧だ。
〔やっぱりフカフカだね!〕と僕よりも誇らしげな顔をして毛を触る。
グーーーー。
ララの腹の虫が鳴いた。
〔お腹空いちゃった。〕
「野菜でも良い?」
肉を調理するには時間がないから絶対野菜なのだが一応聞いてみる。
〔うん。ありがとう。〕
お礼を言えるのは良い子だからかもしれない。
そこらへんにある食べれる植物を鼻で指しながらララに摘ませる。
ララも自分の食事のためなのか綺麗に摘み取る。
「それを洗って食べてね。」
〔生?〕
目をまんまるにして僕に問いかけてきた。
そうだよ。と小さく頷く。
お嬢様には早かったか美味しいという感想はなく食べている。不味いと言われなかったのが幸いだ。
「さあ。戻るよ。」 飯を食べ終わったララに話しかける。
〔うん〕 まだ草の味がするのか不機嫌そうに返事をする。
(そんなに不味いの?)




