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自分が優秀すぎて怖い─── 有能な仲間は俺の輝きを霞ませる不純物なので、活躍したら、即解雇します  作者: 燕尾
第4章:暗い過去と強さは必ずしも比例しないと知るまで ~真相編~
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第67話 回想③ 友達を騙す悪い女 ~ミカ視点~




 でも……、私には、本当に何もできない。



「心理魔法? ちょっと、何言ってるのよ。占い師か、あるいは酒場のダイス勝負のイカサマでしか見たことのないようなそんな魔法で、この状況をどうにかできるとでも本気で思っているの?」



 男たちに交じっていたあの女が、馬乗りになって私たちの衣服を剥ぎ取ろうとする男たちのすぐ横から、冷たく言い放つ。


 松明の橙色の明かりが不気味に揺れる中、男たちのハァハァという荒い息遣いと、防具の革紐がブチブチと引き裂かれる嫌な音が私のすぐ耳元で響いていた。


 肌に触れる男の手の生温かい感触に全身が拒絶の鳥肌を立てる。



 けれど、私を信じ切っているアミは、男の暴力的な力によって冷たい床に顔を擦り付けられ、髪を乱暴に掴み上げられながらも、激しい涙と共にかすれる喉で必死に大声を上げて言い返した。



「ミカの心理魔法は、他の人たちのものとは決定的に違うのよ!! わざわざ相手に直接触れなくても、遠く離れた場所からでも相手の考えてることがすべて分かったり、次の魔物の動きの予知だって完璧にできるんだから!!! さぁ、ミカ!!!!」



 アミが、涙と悲鳴をまき散らしながら、引き裂かれた衣服の隙間から肌を晒されて必死に叫ぶ……けれど、男に重い体躯で完全にのしかかられ、乱暴に服を掴まれて身動きが取れない私には、本当に、何もできない。



 何一つ魔法を発動しようとしない……いや、したところで完全に無駄だった。



 もしここで私の心理魔法を発動したところで────私に分かるのは、今まさに私を組み伏せてニヤついているこの男が、私の身体をどんな風に蹂躙しようと考えているか、そのおぞましい思考だけだ。



 相手に直接触って心を覗き込んだところで、この圧倒的な怪力の暴力を止める手段になんて絶対にできっこない。



 ただ恐怖と無力さでガタガタと無様に震え、涙を流すことしかできない私の様子を冷徹に察したように、松明を掲げた女は口元に最高に厭な愉悦の笑みを浮かべて話し始めた。



「対象に触れずに発動? 魔物の動きの予知? ふふ……、あはははは!! そんな便利な魔法、王国の魔法体系のどこを探したって聞いたことないわね」






「あ……」









































 ……だ、だめ……それは……



 衣服を引き裂かれる肉体的な恐怖以上に、私が大好きな二人に嫌われるのが怖くて、ずっと必死に隠し続けてきたあの惨めな嘘が、これ以上剥がされるのが何よりも恐ろしかった。


 だが、松明を掲げた女は、私のその絶望に染まった表情を面白そうに眺め、口元に最高に厭な笑みを浮かべたままで話を続ける。



「お前ら、知らないのか? この姐さんはな、王都のあの最高峰の魔法学園に通っていたんだぜ。しかも、並み居るエリートたちを全員踏み潰して、主席合格でな!」


「……い、言わないで…… お願い……だから」



 引き攣っていた喉の奥から、ようやく絞り出すような掠れた拒絶の言葉が、私の唇から漏れ出た。


 男たちの下で必死に抵抗していたアミとノインの声が、一瞬、絶望的な静寂の中で信じられないという風に漏れる。



 衣服を強引に引っ張られているパニックの空間に、私の微かな制止の声をゴミのように踏み潰して、女の冷たい一言がさらに容赦なく鋭く突き刺さる。



「ちょっと、それ以上は昔の終わった話よ……それに、ちょっとした問題を起こして途中で退学になっちゃったしね。ま、それでも魔法の基礎理論の少しは覚えているわ……教えてあげる。心理魔法というものはね、対象の体内の魔力の流れを自分の手で直接読み取って───」


「だ、だめ!!やめ───」









































 ───初めて発動する魔法なの。いわゆる、魔法の絶対条件ってやつよ」



「…………あ……」



 叫ぶことすら、できなかった。

 頭が完全に真っ白に染まり、喉の奥がカラカラに張り付いて、ただ空気の抜けるような音しか唇から漏れ出ない。



 私の脳内を狂わせるような凄まじい絶望の静けさが、空間のすべてを完全に支配していく。


 私が声も出せずにただ涙を流して息を詰まらせているというのに、目の前で歪に笑う女は、その沈黙のすべてを冷酷に嘲笑い、言葉の刃で無慈悲に残酷に真実を暴ききっていった。



 男の手が私の剥き出しの肌を執拗にかすめる恐怖の真ん中で、私の心は音もなく、静かに完全に崩壊していった。



「あら? その絶望に染まった顔……どうやら自分でもその事実をよく知っているみたいね? 最初は声も出せなかったくせに、だんだん掠れた声で『言わないで』なんて必死に拒絶して……最後は言葉すら失って静かに泣くだけなんて。貴女、自分を凄いって信じてくれているその大切なお友達に対して、最初からずっと嘘を投き続けて騙していたってこと? とんだ悪い子ね」


「う……そ……? ミカ, あいつの言ってること、何かの間違いだよね……?」


「ミ……カ…………? 嘘、だよね……?」



 私のすぐ近くで同じように男たちに組み伏せられ、服を引き裂かれていたアミとノインの二人が、今まで一度も見たこともないような、激しい不信と懐疑の目を私へと向けてくる。


 衣服を剥ぎ取られ、男たちの手が肌を弄る、今まさに襲われそうになっている最悪の地獄の真ん中で。



 男たちの暴力以上に、私の絶望的な静黙を拒絶するように向けられた親友たちの冷たい視線が、私の心を完膚なきまでに突き刺して、粉々に破壊していくのだった。





第68話は、明日の【 12時40分 】に投稿いたします。


もしよろしければ、ページ下部より【ブックマーク】や【評価(☆☆☆☆☆)】をいただけますと、大変励みになります。


それでは、明日の更新でお会いしましょう。

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