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自分が優秀すぎて怖い─── 有能な仲間は俺の輝きを霞ませる不純物なので、活躍したら、即解雇します  作者: 燕尾
第4章:暗い過去と強さは必ずしも比例しないと知るまで ~真相編~
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第65話 回想① ミカという女 ~ミカ視点~

ミカは偽名なのに、回想でもミカ呼びは不自然だと思い修正。

まぁミカ視点なので、ミカでもいいんだけど……




 私は、冒険者だった……

 同じ郷里の小さな街で生まれ育った、幼馴染のアミとノイン、そして私の三人。


 昔からずっと、どんな小さなことでも一緒になって笑い合い、三人で過ごす時間は本当に温かな仲の良さに満ち溢れていたんだ。


 いつか大人になったら、この固く手を握り合った幼馴染の三人で、誰もが名前を知っているような一流の冒険者になるんだって、子供の頃に荒野の夕日を見つめていたあの時からずっと、未来としてそう決めていたんだ。



 でも、私はその真っ直ぐに私を信じてくれる二人を、最初からずっと騙し続けていた。



 私の持っている、『固有魔法』の、本当の無様で惨めな姿について。

 心理魔法……他人の精神の波長に干渉して、その思考を読み取ることができるとされる、非常に珍しい、希少なはずの特殊な魔法……



 その響きだけは物語の主人公のようで本当にいいけれど、実戦におけるその中身は、最前線に立つ者から見れば最低の欠陥品だった。

 対象となる相手の生身の肉体に直接触れ、その体内を巡る魔力の細かなベクトルを直接読み取らない限り、記憶の一片も、微かな感情の残熱を探ることすらできない。



 武器を携えて本物の冒険者になんて、到底向くはずのない魔法。

 直接触らなきゃ何一つ意味がないなんて、戦場においては圧倒的に不利。


 どんなに珍しかろうが、実戦のコンマ数秒の死線において機能しない魔法なんて、何の価値も存在しないんだ。




 だから、私は二人の前で惨めに置いていかれるのが怖くて、最悪な嘘をついた。




 “相手に触れなくても、離れた場所からでも相手の考えが解る完璧な遠隔魔法”なんだ、って。




「えぇ〜! 本当に凄いよメレナ! なんでそんなことまで、分かっちゃうの!?」



 違う……

 これは魔法なんかじゃない。これは、事前に街の酒場で、情報を徹底的に調べて、頭に叩き込んでおいただけ。



「魔物の次の動きを完璧に先読みして罠を回避できるなんて、メレナは本当に私たちの誇りだよ!!」



 違う……

 これも魔法の先読みなんかじゃない。これはただの事前の生態資料や古いダンジョンマップを、二人が寝静まった夜中に必死になって下調べしていただけの成果だ。



 でも、真っ直ぐなアミとノインの二人は、私の吐いたその言葉を心の底から信じ切って、パーティーの絶対の頭脳として私を誰よりも重宝してくれた。


 ただ都合よく嘘を積み重ねているだけの不純な私を、二人はいつもキラキラとした眩しい憧れの目で「凄い」と言ってくれたんだ。



「あはは、こんなの私にとっては大したことないよ!」









































 (そっか、私、本当に特別で、凄いんだ)









































 …………これがいけなかったんだ。


 自分は他の有象無象とは違う、選ばれた特別な人間なんだって。

 私たちはどこまでも、世界のどんな絶望の果てへでも行けるんだって。



 そんな、二人の本当の優しさに甘えきった、取り返しのつかないおめでたい勘違いをしてしまった。





 ---





 冒険者になってから、私たちはそれなりに順調な成果を出してきた。


 お互いの短所を補い合い、私の下調べによる『完璧な先読み魔法』のおかげで、一度だって致命的な死線に直面することなんてなかったんだ。



 そんなある日のこと、偶然別の依頼の道中で立ち寄った拠点都市セイドウの街において、新しい未知のダンジョンが突如として発生したという、噂の情報を耳にした。



「未踏の新しいダンジョンだって? どうする、アミ、ノイン……潜ってみる?」


「もちろん! メレナの完璧な先読み魔法があれば、どんなダンジョンだって私たちの敵じゃないよ!」


「うん、行こう、今すぐ行こう!!」



 私たちは自らのポテンシャルを疑うことなく、まるで散歩にでも出かけるかのような軽い足取りで、その新しいダンジョンの入り口へと足を踏み入れた。


 けれど、その不気味な場所の内部構造は、これまでに私たちが踏み潰してきたどんな迷宮とも、決定的に違う特殊な呪縛が満ちていたんだ。



 明かりが、全く効かない……



 放ったはずの光魔法が、濁った沼のように吸い込まれ、一瞬で霧散して消えてしまう。


 地下第一階層の通路までは、かろうじて背後の入り口のアーチから差し込む地上の淡い陽の光で、なんとか足元の乾いた土が見えていた。


 けれど、その先の地下第二階層へと冷たく続く下り階段の正面へ辿り着いたその瞬間、眼前に広がったのは、世界の色彩のすべてを貪り食う本物の、完全な暗黒だった……



 どうしよう? 私の先読みじゃ、視界のすべてを奪われたこの本物の闇を前にしては、何もできない……




 その時だった。




「良かったら、暗闇に慣れていない若き冒険者さんたち。俺たちと一緒に、この新しいダンジョンの合同探索でもしましょうか?」



 私たちの背後から、優しく温かな声をかけてきたのは────男三人、女一人の計四人組で構成された、ひどく洗練された風格を持つ見慣れない凄腕のパーティーだった。



 彼らは私たちに向けて優しい大人の笑みを浮かべ、このダンジョンの中では魔法の明かりが効かないからこそ、松明の物理燃焼を使えば安全に進めるんだと、親切にその世界の真理を教えてくれた。



 なんて、神様のように温かくて親切な大人の冒険者たちなんだろう、と。



 ……私たちは心の底から、本気でそう信じ切っていた。









































 最悪の瞬間を迎えるまでは。





第66話は、明日の【 12時40分 】に投稿いたします。


もしよろしければ、ページ下部より【ブックマーク】や【評価(☆☆☆☆☆)】をいただけますと、大変励みになります。


それでは、明日の更新でお会いしましょう。

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