表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自分が優秀すぎて怖い─── 有能な仲間は俺の輝きを霞ませる不純物なので、活躍したら、即解雇します  作者: 燕尾
第4章:暗い過去と強さは必ずしも比例しないと知るまで ~探索編~
54/104

第47話 破壊




「お前が見つけたのか、それは失礼したな。で……実際のところ、どうなんだ?」


「うん? どうなんだとは、何がだ?」


「いや……そこまで明確に怪しい場所の目星がついているのなら、当然何かしらの突入アクションをしたんだろう? その壁の奥を調べて、一体何があったんだ?」



 リンカの放ったその言葉は至って常識的、かつ当然すぎる質問だった。



「…………」



 しかし────質問を真っ正面から喰らったオルテは、なぜか急に気まずそうに視線を泳がせ、ピタリと口を閉ざして黙り込んだ。



「おい、何故そんな、子供が隠し事をした時みたいな顔をして、急にそこで黙るんだ?」


「…………」


「まさか……お前」



 リンカの美しい両の目が冷酷に細くなる。

 不穏すぎる沈黙が室内に流れる中、アロンがそんな気まずいオルテへ助け舟のフォローを入れるように口を開いた。



「おいおい、副リーダー? 君の今目の前にいるこの男は、セイドウの街の全冒険者を束ねるギルド長オルテ殿だぞ? 組織の『おさ(長)』だぞ? そんな要らぬ心配をするなんて、彼に対してあまりにも失礼だ」


「お前が失礼という言葉を知っていることが驚きだ」


 細い目を大きくしてアロンを見るリンカ。









































 だが、それはそれとしてアロンのフォローを受けてもなお、オルテの深く刻まれた口元は沈黙を続けるだけだった。



「え?……アロンさんの言う通りですよね? まさか、ですよね?」



 二人の間に挟まれていたミカも、あまりの不穏な空気に耐えかねて、不安げにその小さな口を開いた。



「…………え? まさかだよな?まさか“怪しいとこ見つけておいて、何もしませんでした”な訳ないだろう?ちゃんと詳しく調べてる筈だ」


「……まぁ調べてないんだがな」









































「……どうして(何言ってんだ、こいつ)?」




 アロンの、純粋すぎるが故にどこまでも冷酷で残酷な疑問の言葉が、最高会議室の凍りついた空気の中に静かに落ちていく。



「おい、なんだお前らのその、哀れな無能な生き物でも見るかのような冷たい目は……! 言っとくがな、俺たちギルドだって怪しい目星をつけてから何も調べてない訳じゃないんだぞ! 一応、その第七階層の現場に赴いて、壁の表面を手のひらでコンコンと叩いたりして、空洞が無いかどうかの確認くらいは念入りにしたんだ!」



 その必死な組織の弁明の言葉のあと、会議室の全体に、先ほどよりもさらに冷ややかな絶対の沈黙が再び下りた。

 アロンと、その隣に立つリンカ、そしてミカの三人の視線が、同時にオルテへと向けられる。



「………………で?」


「で?……とは何だ、で? とは」


「…………え、今ので終わり?」


「終わりだが何か文句あるか? 壁に異常が無かったんだから調査終了だろうが」



 正面のリンカからの容赦のない冷淡な問いに対して、オルテは精悍な顔色ひとつ変えずに答えた。



 そのあまりにも堂々とした宣言────



 並んで立つ三人の頭に、同じ一文の言葉が浮かび上がった。




(……本当に街のすべての冒険者を束ねるギルド長なのか……?)




 会議室の張り詰めていた空気が、戦索のシリアスとはまた全く別の意味で、重苦しく変質していく。

 アロンは右手で額を深く押さえながら、心底呆れ果てたようにゆっくりと低い口を開いた。



「……昨日からずっと思っていたことけど……入ったら誰も帰ってこない“無明の層”より、お前のその頭の方が、よっぽど『無明』に満ち満ちているんじゃないのかい?」


「誰の頭の中身が救いようのない無明だ!!!」



 オルテは我慢の限界だとばかりに激しく長机を叩き、顔を真っ赤にして立ち上がる。



「これじゃあ無明の層ではなく『無能の長』だな」


「二人まとめて、ブッ飛ばされたいのか?」



 リンカの言葉に、オルテは即座に噛みついた。

 その反応速度は、もはやギルド長ではなくただのベテランのツッコミ。


 会議室の空気が、妙な方向へざらつく。



「冗談はさておき……純粋な疑問をひとついいか?その壁は…………なんだ……硬かったのか?あれだ………未発見の金属でできていたとか?」



 リンカが真面目に尋ねた。



「神殿じゃない、ただのダンジョンの内部を構成している壁なんてものは、どこの階層だろうがほぼ100%普通の岩とか、湿った土の塊でできているに決まっているだろう」



 オルテはそんなことも分からないのかと、呆れ果てた口調で大声で言い放つ。

 その裏には、“そんなの冒険者の常識だろ”という強烈な大人の圧が堂々と乗っかっていた。



「お前の言うその、岩とか土の塊というと…………あれか? あのお前が言っているのは………なんというか……世界のどこにでもある普通の…私たちが日頃からよく知っている……あの?」


「そうだが…………なんだお前ら? ダンジョンに行った事がある普通の冒険者なら、当然の常識としてわかる話だが」



 オルテは完全に“一体こいつらはさっきから何の中身のない会話をしているんだ”という怪訝な顔になり、理解不能だと言わんばかりにリンカの瞳を真っ正面から見つめる。




 対するリンカは、しばしの間沈黙し───

 やがて、静かに、深くため息を吐き出した。



「……分かった……では、もう回りくどい質問は一切抜きにして、単刀直入に訊かせてもらう。



 “何故”その怪しい“壁を破壊しない”」





第48話は、【 17時10分 】に投稿いたします。


もしよろしければ、ページ下部より【ブックマーク】や【評価(☆☆☆☆☆)】をいただけますと、大変励みになります。


それでは、次の更新でお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ