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自分が優秀すぎて怖い─── 有能な仲間は俺の輝きを霞ませる不純物なので、活躍したら、即解雇します  作者: 燕尾
第4章:暗い過去と強さは必ずしも比例しないと知るまで ~許可編~
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第24話 チェロスをお食べ




 ジリジリと肌を容赦なく焼き焦がすような、日差しのひどく強い午後のことだった。


 拠点都市セイドウの白く乾いた街路には、熱を孕んだ緩やかな風が静かに流れ、照りつける地面を歩く二人の影が、ふたり分だけ長く長く前方に伸びていた。



「……ついにだな」



 アロンが、いつも通りに傲慢に胸を張って言った。



「ずっと待ち望んでいた……“入った誰一人として生きて帰還しないダンジョン”……この俺に相応しいね」


「何が……面白いだ……お前の……その自殺願望に……私をいちいち……巻き込むな」



 その隣をぴったりと並んで歩くリンカは、正面の白い道を向いたまま、抑揚のない気だるげな声で淡々と返す。

 だが、その足取りは羽毛のようにどこまでも軽く、アロンのその物騒な言葉に対する焦りや恐怖の色は一微塵もなかった。



「じゃあ、お前は今回のダンジョンには行かないの?」


「……行かないとは……一言も……言ってない」



 アロンは進む歩みを止めることなく、ちらりと横目で隣のリンカの様子を見やった。

 リンカは表情を一切変えることなく、アロンの耳元にだけ届くような、小さな声で呟く。



「私が、お前の隣を離れるわけがないと……誰よりも分かっている……くせに……わざわざそんな分かりきったことを口に出して聞くな、バカ」



 しばらくの間、お互いの足音だけが響く、心地のよい緊迫した静寂の沈黙が二人の間に続く。

 だが、その美しい静けさを、アロンがこれまた自分のマイペースさで容赦なく破る。



「……で、お前はさっきから俺の横で、何をもぐもぐと美味そうに食べているの?」


「ん? ああ、これか。チュロスだ。外側がサクサク…さらにシナモンが効いていて美味いぞ」


「いや、見ればそれくらい分かる…俺が今ここで聞いているのは、そのお前が美味そうに齧っているチュロスは、“元々は俺が俺のために買ったやつ”じゃないかっていう話だ」


「菓子ひとつくらいでいちいち子供みたいに怒るな……ふ、ほら……そんなに食べたいというなら、私の食べかけだ。光栄だと思いながら受け取るがいい」


「いらん。俺は食べ物を手に入れるなら“全部丸ごと俺の手で食べたい派”なんだ。誰かの食いかけは、俺の辞書では食ったうちに入らん」




 つまり『いらない』…『食べない』…『欲しくない』









































「な……!?」









































 その言葉を聞いたとき、リンカは信じられないといったような顔をする…

 先ほどまで羽毛のように軽かった足取りが今度は鉄球でも繋がれているかのように重くなり…ついにリンカは止まった。



「私のせっかくの親切を無下に断る……だと……? 世間一般の男たちからすれば、私との間接キスなど金銀財宝の山をも遥かに下回らない、莫大な価値があるというのに」


「なら、今日からでもその間接キスとやらで、商売でも始めたらどうだ? 大儲けできるんじゃないか」


「断る。私はこれでも身も心も清らかな乙女だ。そんな“尻の軽い真似”は逆立ちしても絶対にしない」


「……なるほどな。確かにお前のその尻はデ───」



 言葉を最後まで言い終えるよりも前にリンカの手袋をはめた細い掌が、アロンの頭頂部に向けてぱしんと容赦なく叩き落とされた。

 そんなくだらないいつものバカ話を交わしながら、ふたりは沈黙の漂うセイドウの街の、重厚な石造りで作られた大きなギルドの門の前に辿り着いた。




なんかイチャイチャしてる……


第21話は、明日の【 12時40分 】に投稿いたします。


もしよろしければ、ページ下部より【ブックマーク】や【評価(☆☆☆☆☆)】をいただけますと、大変励みになります。


それでは、明日の更新でお会いしましょう。

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