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自分が優秀すぎて怖い─── 有能な仲間は俺の輝きを霞ませる不純物なので、活躍したら、即解雇します  作者: 燕尾
第4章:暗い過去と強さは必ずしも比例しないと知るまで ~終幕編~
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第113話 なるわけないだろ




 ───ああ、ようやく、あの傲慢な勘違いパーティーが無様に死んだのね



 手遅れになった死体の処理の後始末にでも向かったのだろう。


 本当に、どうしてこうも馬鹿な奴ばかりが溢れているのだろう───この、冒険者という人種には。



 何が楽しくて、自ら進んでそんな血生臭い冒険者なんかをやっているのか、私には死ぬまで理解できるはずもなかった。


 冷たい石床を傷だらけのブーツで歩き回り、泥と返り血にまみれて悦に浸る蛮族の思考回路など、冷暖房の効いた快適なオフィスで数字を処理する私とは根本から人種の格が違う。


 己の実力を都合よく過信し、名誉や金に目を眩ませ、分不相応な高難度のダンジョンへと向かって無様に死んでいく。



 それは私のような管理側の人間から見れば、ただただ合理的ではなく、救いようのないほどに馬鹿げた自殺志願者の蛮行に過ぎない。


 死ぬのは勝手だが、ギルドに無駄な事務処理の手間を増やすな────



 そう冷酷に吐き捨て、私は自分の目の前の仕事に冷淡に集中する。


 身の丈に合った安全なダンジョンか、あるいは絶対に死なない格下のダンジョンだけで大人しく過ごしていればいいのに、なぜこの人種はそれをしないのか。



 ギルドの窓口にいれば、たまに「今度飯でもどう?」などと調子に乗ってナンパを仕掛けてくる男もいるが、冒険者風情がこの私をナンパするなど、一体何の冗談で言っているのか。



 錆びた鉄の臭いと垢じみた汗をプンプン染み付かせた不潔な男が、傷だらけの汚い手で神聖な受付カウンターをベタベタ叩きながら、ニチャついた薄汚い笑みを浮かべてくるだけで、反吐が出そうになるほど不快で胃の奥がひっくり返る。



 そのニヤついた汚らしい顔面を今すぐ裏のゴミ箱に叩き込んでやりたい衝動を、私はプロの完璧な営業スマイルという最高級の鉄面皮で覆い隠し、内心では「二度と話しかけるな、このドブネズミが」と冷酷に呪い殺していた。



 こっちは国が直接運営する組織に所属している、いわば、格式高き国家公務員なのだ。


 泥水を啜ってその日暮らしの獲物を奪い合うような底辺の野蛮人どもとは、生きている次元が違う。




 そんな優秀で安定した人間が?


 なぜ?


 冒険者とかいう?


 その日暮らしで?


 給料も可変する?


 安定もクソもありはしないフリーターのような人間のことを?


 好きになるとでも本気で思うのだろうか?




 窓口のガラス越しに彼らの小汚い身なりや安物の防具を見つめるたび、私は自分の人生がどれほど合理的で気高く、彼らの人生がいかに使い捨ての家畜のように無価値なものであるかを冷徹に再確認する。


 いつ死んでどこの溝に転がるかもわからないゴミ虫のようなフリーター風情が、私の輝かしいエリート人生の領域に、その汚い足で土足で踏み込んでこられると本気で思っているのか。



 ───なるわけがないだろ、馬鹿じゃないの?



 お前らが顔をして得意げに話す、そのくだらない武勇伝の、一体何がそんなに凄いというのか。




「今回のクエストをクリアした」


「あの難度のダンジョンをクリアした」


「獰猛な魔物をこの手で倒した」




 はいはい、凄い凄い……で? それが一体どうかしたというの。



 お前らがクエストをクリアしたところで、この私の人生に何か一つでも得があるというのだろうか。


 目の前で手柄を鼻にかけ、汗臭い顔をこれ見よがしに近づけてくるだけで、私の美しいオフィスの空気が汚染されて不快感しか残らない。



 得があるのは、その依頼を出した主だけであって、私にはただの書類仕事が増えるだけだ。


 お前らがどれほど必死に泥を啜ろうが、こちらの固定給は変わりはしないし、残業の手間が増える分だけただのマイナス査定でしかない。



 ダンジョンをクリアしたところで、私に何の得があるというのか。


 暗い迷宮の底で宝箱を見つけたとかいう薄汚い金貨の山なんて、冷暖房の効いた快適なデスクで羽ペンを動かす私の気高き生活の前には、ただの不潔な金属の塊に過ぎない。


 それはただのお前たちのくだらない自己満足か、あるいは武器や防具の強化が目的の、極めて利己的な行動に過ぎない。



 己の承認欲求を満たすためだけに必死に武器を振り回すその姿は、私のような管理側の人間から見れば、ただただ合理的ではなく救いようのない野生動物の習性にしか見えない。



 魔物を退治したところで、私に何の得があるというのか。


 その魔物とやらは、どうせここから遥か遠く離れた、険しい山脈の断崖や深い森の奥深くに生息しているだけでしょう。



 そんな危険な辺境のドブネズミを何匹間引いたところで、私の安全で優雅なエリート人生の領域には、最初から影響も与えやしない。


 私はそんな危険な場所には一生行かないから、そこで何が死のうが生きようが、本当にどうでもいい。



 お前らドブネズミどもがいくら命を懸けて武勇伝を喚き散らそうが、それは私の人生にとっては、明日のゴミ収集の予定以下のどうでもいい欠陥データなのだ。


 そんな私の人生に関係のない無意味な自慢話を窓口で延々とされて、一体こちらがどう答えればいいというのだろうか。





第114話は、明日の【 12時40分 】に投稿いたします。


もしよろしければ、ページ下部より【ブックマーク】や【評価(☆☆☆☆☆)】をいただけますと、大変励みになります。


それでは、明日の更新でお会いしましょう。

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