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自分が優秀すぎて怖い─── 有能な仲間は俺の輝きを霞ませる不純物なので、活躍したら、即解雇します  作者: 燕尾
第4章:暗い過去と強さは必ずしも比例しないと知るまで ~真相編~
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第109話 同列に扱うな!!



 

 現在、この世界に片手の指で数えるほどしか存在していないと噂されている────伝説の『SSランク冒険者』であるとしたら……?



 刹那。



 オルテの脳内で、巨大な歯車が、音を立てて完璧に噛み合った。


 そうなのだ。もしアロンが、世界に数人しかいない最高峰の『SSランク』なのだとしたら、これまでのすべての出来事の辻ざるが、完璧に、綺麗に合ってしまう。



 冒険者ギルドが誇る、世界に数人しかいない最高戦力、SSランク。


 そんな生ける伝説の姿は誰も見たことがない。



 なぜなら、そのあまりにも強大すぎる力が他国への脅威やパワーバランスの崩壊を招くため、ギルド本部の上層部が国を挙げて彼らの身元と存在を『完璧に黒塗りで隠蔽しているから』────


 国家を容易く更地へ変えかねない超常の質量がもたらす、世界のパワーバランスの瓦解。


 その破滅への手順を未然に防ぐため、組織の最中枢が構築した冷徹極まりない秘匿権のシステム。



 いつだったか、そんな不気味な噂を耳にしたことがあった。



 ギルド長権限すらもエラーを吐いて弾いた、アロンのあの黒塗りのカードデータ。


 本部の上層部が、国家機密として彼の存在を隠し通そうとしているのではないかという予感。


 そして何より、誰も生きて帰さなかった不可能な迷宮『無明の層』を、あまつさえかすり傷一つ負わずに攻略して見せた怪物的力。



 もはや疑う余地すらない…カードが出そろいすぎている……



 この男が……


 ただの名声欲の塊に見えるこの男が、まさか……生ける伝説(SSランク)』の一角、とでも言うのか……!?


 















































「なんだ? さっきからこっちを見て」



 アロンは首を傾げ、心底不思議そうにオルテの冷や汗まみれの顔を覗き込んだ。


 オルテの考えていることなど知る由もない男の瞳は、どこまでも澄み切っており、その弛みきった、緊張感とは完全に無縁の脱力しきった表情がある。



「………いや」



 オルテは乾いた喉を鳴らし、ひび割れた声帯からかろうじてそれだけの声を絞り出した。


 押し寄せる冷たい汗が顎のラインを伝い、荒野の乾燥した突風にさらされて急速に体温を奪っていく。



 ここでこの男を深く問いただしたところで、どうせいつものように「俺はSSSランクだ」だの何だのと煙に巻かれ、はぐらかされるだけに決まっている。


 さらに仮に俺の予想が当たっていたとして、ギルド本部の最上層部が国家機密として隠蔽している事実を、地方の一ギルド長が暴こうなどと、無駄なこと。



 最初から聞くだけ無駄なことなのだ……とオルテは冷徹に結論づけた。


 肺の奥底に残った熱い焦燥をすべて諦めの溜息とともに吐き出し、彼の思考を正常に戻していく。



「なんでもない」



 胸の内で膨れ上がった戦慄を、一握りの理性で無理やり押し込み、オルテは酷く無機質なトーンで遮った。



「騒いだと思ったら、急に黙って……お前はリンカか」



 アロンはやれやねと肩をすくめ、隣に立つ相棒へと指をさしながらあきれる。


 しかし、その失礼極まりない指先を突きつけられた瞬間、リンカの眉がぴくりと不機嫌そうに跳ね上がった。



「おい、こいつと私を一緒にするな」


「お前っていつもこんなんだぞ?」


「私のほうが可愛げがある」



 リンカはふん、と美しい鼻を鳴らすと、組んだ腕の隙間からアロンをジロリと睨みつけ、そう言い放った。


 乾燥した突風に長い髪をなびかせ、その気だるげなポーカーフェイスの奥で、リンカの冷静沈着なトーンはアロンの言葉によって容赦なく剥がれ落ちていく。



 客観的に見れば、ただの軽口だ……そんなに怒るほどのことか?と周囲が呆れ果てるような内容ではあるが、彼女の胸の内にとっては、これは誇りそのものを懸けた極めて重要なことなのだ。



 なにせセイドウ街のギルド長というステータス以外に特にこれといった魅力も語ることがない男と、この自分が同列であるなどとあきれ顔で指をさされたのだ。



 よく周囲の人間から絶世の美女と称されている、この自分が……!



 こんな、隣で冷たい汗を流して固まっているよくわからないおっさんと同じ扱いにされたなどと、到底受け入れられるはずがない。




 ふざけるな!!!




 ────と、表向きは無表情を保ちながらも、秘められた心の中は、烈火のごとき激しい怒りの炎で真っ赤に燃え上がっているのだった。



 しかしアロンの次の言葉が、そんなリンカの心内に満遍なく散りばめられていた地雷を、何の躊躇もなく真正面から爆発させる。



「可愛い………げ?」



 アロンはまじまじとリンカの冷淡な顔を見つめる。


 















































「………ふ、……ふふふ……なるほどなるほど………ミカ、こいつを殴れ」


「なんでこっちに飛んでくるんです!?」



 アロンたちの背後で、ミカは、突如として自分に向けられた理不尽な飛び火に、驚愕する。



 なぜイチャついている夫婦もどきのくだらない喧嘩のために自分が動かなければいけないのか……



「自分でやれ───ないですね! そうでしたね! だからそのドヤ顔やめてください」



 リンカの無茶ぶりにももう慣れている様子だった。





第110話の更新時間を【 19時10分 】に変更いたします。


もしよろしければ、ページ下部より【ブックマーク】や【評価(☆☆☆☆☆)】をいただけますと、大変励みになります。


それでは、次の更新でお会いしましょう。

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