若き雪は語る
「乗っ取りぃ?」
「ああ。ゆくゆくは北海道全域の裏社会を俺の手中に収める。」
「裏社会と奴等の繋がりを断つってのは…」
「そう。俺がトップになれば、お前達にとって不利益が無いように立ち回れる。」
「だがお前はまだ16だ。そんなんで暴力団を乗っ取るなんてできるのか?」
「出来るさ。伯父貴は組内部にも敵が多いからな。反対派で次期後継者の俺に着いて来てくれる者は多い。ここにいる者はその一部だ。」
「なるほど。前々から組の転覆を目論んでいたが、俺が力を得たことに感づいて計画を変更した…そんなところか?」
やっぱりお前は感がいい、颯真。俺のモノローグを読んでるみたいだ。
本当にこいつを巻き込んで良かったんだろうか。
俺はこれからこいつに犯罪の片棒を担がせることになる。それで良いのか?
──いや、今更迷ってどうする。これはお互いのためだ。良いも悪いも無い。
俺は六花組次期組長、高石雪矢だ。ヒーローや騎士じゃなく、強大な裏社会のボスとして、日の当たらない場所で市民を守る。
「ああ。俺は運が良いんだと思ったさ。お陰で随分計画がいい方向に進んだからな。」
「さて。具体的に俺は何をすれば良いんだ?内容によっては取引は破棄する。」
「近々、六花組幹部会が開かれる。そこで伯父貴たち相手に大暴れしてくれ。」
「…その心は?」
「俺達新生六花組のバックに指輪の能力者…お前がいることを裏社会に知らしめる。」
「まさか襲撃しようってのか?」
「いいや。お前、あのクラブで受けた依頼、忘れたわけじゃねぇだろ。」
「お前をつけて家を特定しろってやつか。」
「ああ。あれは伯父貴の差し金だ。伯父貴は俺を殺したいのさ。」
「つまり、幹部会での護衛を俺にやれ、ついでに敵対勢力をボコってわからせろ、と。」
「ああ。六花組を乗っ取ったら、裏社会をまとめ上げ、暴力団絡みの犯罪を撲滅する。悪い話じゃないだろ。」
そう。悪い話じゃない。だから、頼む。YESと言ってくれ。
「──分かった。協力しよう。ただ、殺しはやらない。殺したきゃ自分たちで殺れ。」
「ありがとう。それと、この話、鈴野にだけは絶対にするなよ。」
「だろうな。俺も最近調べたけど、ありゃとんでもない厄ネタだ。この立場にある以上いつ琴葉があの件について知っても不思議じゃない。」
「すべてが終わったら、話さなきゃならん。」
その時は、俺は鈴野に撃たれるかもしれない。
でも、文句は言えない。復讐されるってのは、裏社会の人間にとって当たり前のことだ。




