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鋼鉄英雄譚  作者: Negi
裏社会編
11/15

宝石の輝きは何を導くのか?

「おぅ、おはよう。」

「おはよう。昨日はありがとね。覚えてないけど。」

「二日酔いってのは大丈夫なのか?」

「うん。無いみたい。まぁ、私は成長しても下戸みたいね。」

「あんな強い酒、16杯ショットで飲んだら常人は救急搬送されるよ。その程度で済んでるのがおかしいんだ。」

「能力で体を弄っても、もとの体質を打ち消せるかというとそうじゃ無いみたいね。」

「今日は夜まで暇だし、模擬戦でもしないか?大人の体で戦いたい。」

「戻すのも面倒くさいし、そうしよっか。シャワー浴びてくるね。」

「そうか。体育館の鍵取ってくる。」

「一応聞くけど…いや別に疑ってるわけじゃないんだけどね!?」

「なんだよ。」

「えっと…何もしてないよね?」

「してねぇよ!お前の部屋に放り込んだだけだ!」

「……そう。ありがと。」


なんとも心外だ。まぁ琴葉は美人だしそのくらいの警戒はしたほうが良いのだろう。


……俺今すごい恥ずかしいこと思った気がする。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆



「オッケー、颯真。いつでもいけるわ。」

「ヨシ。『レガリア・グリッター』アーマー展開。」

「フレッチ・ダージェント!」


『レガリア・グリッター』はシリーズ屈指の人気機体で、機体から射出される複数の『ガーネット・ニードル』という無人ドローンを操り、視界の外からの攻撃、通称『ゴーストライン攻撃』を使用する。

こいつは攻撃のタネが割れても対処が困難なため、能力にモデルがある俺にとっては重要な機体だ。

ただ、ゴーストライン攻撃には非常に高度な空間認識能力とマルチタスク能力が求められるため、今の俺には使いこなせない。だから訓練が必要な訳だ。


「散れ!ガーネット!」


琴葉は『フレッチ(Flèche)ダージェント(d'Argent)』…トチ狂った高速飛行能力を持ったオーラだ。今まで俺のゴーストライン兵装はこれに一度も攻撃を当てられていない。


──何で俺はレガリア・グリッターを選んだんだっけ?いつもは別の機体でゴーストライン攻撃を訓練するのに。


デコレッジ(離陸)!」


琴葉が飛翔を開始し、体育館を縦横無尽に奔る。

ガーネット4機に追わせ、斜め上後方から偏差撃ち。

…やっぱり当たらねぇ!こっちも離陸、挟み撃ちにする!


「させない!」


琴葉が拳銃発射。だが腕部の小型シールドで受けてそのまま前進、シールド裏のレーザー砲を撃ち返す。


「ここだぁ!」


完全に挟んだ!両サイドに追加でガーネット展開、腕部シールド裏レーザー砲のモード切替。レーザーエッジに変更、今度こそ!


「っ…まだよ!」


琴葉が上に逃げ…しまった、フェイント!?

もうガーネットも俺も上に向かってバーニアを吹かしている。クソ、見事に引っ掛かった。


「動かすのに夢中で駆け引き出来てないんじゃない?」

「チクショウ、ガーネット!」


下から背後に回り込まれた。ガーネットを滑り込ませて銃弾の直撃は避けたが、この体勢ではマズイ!


ボヒュッ


バーニア全開で反転、レーザーエッジで銃を払う、同時にガーネットで射撃!


「当たれェ!」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「頭いてぇ…琴葉ー、治してー。」

「ただの打撲でしょ?それと脳みその使いすぎ。ちょっと寝たら?」

「ちぇー。」


確かに俺は外さなかった。

ガーネットのレーザーは琴葉の左肩と右足に当たった。

だが、狙いに集中しすぎて後ろから来た、挟み撃ちに使った4機のガーネットと激突、実質的な引き分けとなった。


「やっぱりまだ実戦では使えないな…」

「露払いに先行させるくらいにはできるんじゃない?」

「あんまり離れると負荷がかかりすぎるんだ。まだ訓練しないと…」

「まぁこの後は休んで、夜に備えよう。」

「あぁ。だが…なんか嫌な予感がするんだよなぁ……。」



☆☆☆☆☆☆☆☆☆



「来たな、遥正、嬢ちゃん。」

「あんだけ苦労してもぎ取った仕事です。意地でも来ますよ。」


昨日と同じ、ワインレッドのスーツの男がテーブルで待っていた。向かいの席に座る。


「お前達には、このガキをつけて家を特定して貰いたい。」


そういって差し出された写真には非常に見覚えのある人物が写っていた。


「このガキがどうしたって?」


ポーカーフェイスを崩さないよう問いかける。動揺がバレるとマズい。


「そんなことは知らなくていい。名前は高石雪矢。●●高校の1年生だ。明後日、下校のタイミングでバレないように後をつけろ。住所がわかったらこの携帯で連絡しろ。」

「報酬は?」

「成功したら15万だ。もし失敗したら…わかってるよな?」


ゲス野郎が。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆



「まさか雪矢君も狙われてるなんて…」

「俺達の交友関係まで漏れてるってのか?」

「とりあえず雪矢君に連絡して、明日にでも話す時間を作ろう。」

「あぁ。体を元に戻してくれ。パジャマが着れない。」

「昨日どうやって寝たのさ」

「バスローブだよ。てか今それ聞く?」

「だって気になっちゃったんだもん。」


ピコン♪


「雪矢からの返信!?はっや!」


<俺も話したいことがある。明日の14時、今から送る場所に来てくれ。>


送られて来たのは、近くの山奥の座標。ここには何も無いはずなんだが…

何だろう、やっぱりものすごく嫌な予感がする。


「琴葉は明日、ミコさんのところへ行ってくれ。俺達の周辺情報が漏れているなら、ミコさんも危ない。怪しい人物がいたら写真を撮って、泳がせよう。雪矢のところへは俺一人で行く。」

「…オーケー、私もその方が良いと思う。」



☆☆☆☆☆☆☆☆☆



翌日13時45分。


「ここは…廃神社か?飛んで来て正解だったな…」


倒れて苔むした鳥居に朽ちた手水舎。今にも崩れそうな本殿。

──待てよ。なんだこれは。どういうことだ?


「よう颯真。こんなとこに呼びつけて悪かったな。まぁ飛べばすぐなのか?」


本殿の扉を開け、雪矢がにこやかに語りかける。


「おい雪矢、これは一体どういうことだ?」

「はは、なんのことだよ。」

「とぼけるな。俺は二人で話したいと言ったはずだ。それなのに…

───何故周辺が包囲されている?」


レーダーを起動すれば一発だ。周辺に大人がいて、こっちを見ていること、そいつらが銃を持っていること。


「俺を銃なんて物騒なもん抱えて包囲するってことは…それ相応の理由があるってことだよな?」


雪矢は口を開かない。ただ微笑みを浮かべている。


「答えろ、雪矢。俺を包囲する目的と、お前が言った”話”を。」





──雪矢はゆっくりと口を開いた。微笑みを浮かべたまま。


「取引しよう、颯真。俺がチェルンボーグと裏社会の繋がりを断ち切ってやるよ。」

『フレッチ・ダージェント』(Flèche d'Argent)


フランスのオーラで、名前の由来はフランス語の「銀の矢」を英語読みしたもの。

オーラの主本体から生えるように生成され、腰部に銀の飛行機が貫通したような見た目となる。

超高速飛行とそのGに耐えられるような肉体強化が可能だが、オーラ自体に攻撃力は無い。

そのため作中人物や琴葉は拳銃を用いて攻撃するか、速度を活かした轢き逃げもとい打突攻撃を行う。

「デコレッジ」はフランス語で「離陸」を表す「décollage」の英語読み。


模擬戦なので琴葉は実弾ではなくゴム弾を使い、颯真も訓練用出力で戦っています。



ガーネット。それは真実、永遠、友愛を司り、ノアの方舟を導いた光。

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