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食料調達と大百足

本日は2話投稿します。

次は20時更新予定ですので、よければご確認ください。

もっと沢山の読者様に読んで頂きたいので、宜しければ★を押して評価をお願いします。


「あーうめえ!」


「うん。そうだね」


 幼児二人が喉の乾きを癒している。頭ごと小川に突っ込む様にして水を飲むパルと、手で水を掬って飲むアーチェが非常に対照的だった。

 飲み水として利用できるかは、前回同様に水質検査をクムトが行っているので問題はない。


「これで何とかなりそうですね」


 自身の水分補給を終えたクムトが声をかけてくる。

 それを横目で見ながらシュウも両手で水を掬って飲み喉を潤す。


「遠目から見て何か食べ物になりそうな物はありました?」


 シュウは頷いて森の奥を指差した。

 見たことの無い果実だったが木に実っているのは発見している。食べられるかは不明だったが。

 見た感じだと小川も森の中へと続いているようだ。勾配も以前よりある。

 つまりは水源も森の中にあると考えられるのだ。


「じゃあ全員で森に向かいますか?」


 その事にクムトも気付いたのだろう。確認を取る様にシュウに問いかけてくる。

 だがその質問にシュウは即座に反応を返せなかった。その事についてはさっきから考えていたのだ。

 森に入るには藪を抜けていく必要がある。

 全員で藪を掻き分けて進むとなると視界が悪くなるため危険が伴う。背の低い野獣が藪から急に飛び出して来る可能性も低くないのだ。

 だが近くに居ると言う事はフォローもしやすい。

 ではクムト達を残して一人で森に向かったらどうだろうか。移動に関しては飛行すれば問題ない。

 但し単独行動となるからクムト達の様子が確認出来なくなる。

 もし森の中に居る際に襲撃があったら即座に救援に向かうのは困難だろう。



(どっちも一長一短だな……最近こんな事ばっかだよなぁ……。で、問題は全員と単独どちらにするか……)



 クムトはそんなシュウの様子を黙って見ている。



(よし! 地形確認して森が広かったら全員で行こう!)



 一度決めたらシュウの対応は素早い。

 クムトにジェスチャーで後ろに下がる様に伝えると、そのまま上空へと舞い上がって行く。

 この閉ざされた空間の高さは凡そ一五メートルといった所か。直ぐにその高度に達したシュウはホバリングに移行、そのまま森を眺める。

 やはり思った通り森を囲む様に藪が作られていた。



(森は結構広い……逆に藪はそんなに広くはない……と。ん? 森の中央が動いてるだと?)



 シュウは動いて見える森をしっかりと観察する。



(違う……ありゃ虫……巨大な百足が蜷局を巻いてやがんだ……。ありゃあヤベェ……)



 巨大な百足が光る森の中央に座している。その大きさは二十メートルはあるだろう。

 シュウは即座に反応し、見付からないよう高度を落として地面に着地する。


「どうでした?」


 降りてきたシュウにクムトが問いかける。

 だがシュウはそれに答えるどころではなかった。



(ありゃマズイわ。デカ過ぎる。けど、小川はあっちから流れてやがる。恐らく森の中には何かある。どうであれ食べ物を探すには森に入らなきゃならねぇ。だとすると一戦交えなきゃならねぇ可能性があるか……)



 シュウの様子が違う事に気づいたのだろう、クムトが固い表情のままシュウに触れながら問いかける。


「何かあったんですね」


 漸くクムトに気づいたのかシュウが肯定の意味で頷く。

 クムトの側に戻っていた幼児二人も心配そうな表情でシュウ達を見つめている。



(取り敢えず今は大丈夫だろ。結構距離空いてるし……。今日の所は森の手前側にあった果実を取る迄にして、明日また百足の様子を見るしかねぇな)



 シュウが出した結論は様子見。

 森の浅い所まで皆で進んで食糧の確保、その後安全地帯を確保して休む事。

 今日は皆体調的にも精神的にも余裕がないのだ。こんな時は無理に動かず体力の回復に勤めた方が賢明だ。



(寝床は見晴らしのいいこの辺りで大丈夫だろ。火でもあれば焚き火でもして暖かくして眠れるし、野獣対策にもなるだろ。問題は火元をどうやって確保するかだな……)



 取り敢えずは食糧の確保だ。

 そう考えたシュウはクムトに向けて、前腕で地面から森を指す。

 その意図が伝わったのだろう、クムトが頷いて答える。


「わかりました。二人とも行くよ」


「「はーい」」


 一行はシュウを先頭にして森に向け歩き出した。

 藪をシュウが掻き分けて進む。高い草は鎌で切り払い低い草は体重で押し潰して道を作る。


「あっ薬草が生えてる!」


 アーチェはそう言うと一際小さな草を丁寧に引っ張り抜く。同じ草を幾つか抜いてクムトの元に戻って来た。


「アーチェ、勝手に動き回ると危ないよ?」


「ごめんなさい。あの……でも……これ……」


 アーチェは叱られてばつの悪い表情を見せながらも、手に持っていた草をクムトに差し出す。


「これは……薬草かい?」


「うん。村でお婆ちゃんに教わったんだよ。怪我したらこれを磨り潰して痛い所に塗るんだって」


「へえ。凄いじゃないか。よく見つけたね」


「えへへ……草花は大好きなんだ」


 アーチェは誉められて照れた様子でありながらも嬉しそうに話す。


「クムト兄ちゃん! 俺も見つけたぜ!」


 アーチェに負けじとパルも何かを見せる。手に持っていたのは平たい小さな石だ。


「何だいこの石?」


「パチパチ石!」


 自信満々に答えるパル。


「? ……へえ。何に使うんだい?」


「なんだよ。兄ちゃん知らないのか?」


「ああうん。使った事は無いかな」


「何だ知らないのかよ。しょうがないなぁ、なら教えてやるよ。これを打ち合わせると……」


 実演する様にパルは手慣れた様子で微かに石同士を擦り会わせる。

 パチパチ……と、少しの火花と一寸大きな音が聞こえる。


「な! だからパチパチ石!」


「ああ。火打石か………って凄いじゃないかパル君!」


「お、おう!?」


「あれだけの火花が出るなら焚き火も作れるはず……大金星だよ!」


 珍しく興奮気味にパルを誉めるクムト。

 そんなクムトに驚きながらも、誉められて嬉しそうに誇らしげな表情を浮かべるパル。


「むー。パルの……バカ」


 そんなパルを見てアーチェが拗ねてしまい、後でパルが謝っていたのは別の話である。




 後ろで三人が盛り上がってる頃、シュウは後に続く三人の為に黙々と森まで続く道を作っていた。

 三人が立ち止まって会話をしていたのは知ってはいたが、シュウはシュウで思考に没頭していた。

 考えていたのは勿論大百足の事だった。

 恐らく近い内に相対する可能性が高いと思われる。だが今一勝ち筋が見えないのだ。

 一番の問題はあの質量である。恐らく一発でも直撃を貰えばこちらは動けなくなるだろう。

 硬化した合成獣たるシュウでも防げるかどうか分からない。となるとクムト達では言わずと知れるだろう。

 他にもどんな能力を持っているか判断が出来ないのも痛い。

 百足という事は毒を持ってる可能性が非常に高いが、この合成獣の身体が毒に対してどれ程の耐久性が有るのかも不明である。

 攻撃面でも問題がある。

 恐らく咆哮は効かないだろう。収束すればダメージは通るかも知れないが、どれだけ収束させる必要があるか分からないし、収束させ過ぎては範囲的に考えて有効的なダメージは見込めない。

 そうなると攻撃手段が高熱の鎌と可能性が有るとすれば斬糸の2種類しかない。

 だが斬糸は基本的に罠として用いるものだ。罠を仕掛けるには糸を張り巡らす必要があり、あの大百足となるとどれだけの大きさの罠を仕掛ける羽目になるか分からない。

 となると残るは鎌の攻撃だけだが、そもそもあの分厚そうな外皮に攻撃が通るのかが問題だ。もし攻撃が通らなければ……



(そうなると、もう手の施しようがねぇ)



 そう。攻撃の手段自体が無くなるのだ。そうなると逃げるしかなくなる。

 一番いいのは戦わない事だが、1度見つかったら逃げきるのは非常に困難だと思われる。



(とにかく情報が足んねぇ)



 後ろから追いついてきたクムト達と合流するまでの間、シュウは終わりの見えない大百足の対策法を考え続けていた。


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これからも楽しんで戴ける作品を作り続けられる様努力していきますので、ご声援よろしくお願いします<m(__)m>

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