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カラーコート  作者: 真紗
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過去×決意=太陽のような貴方と一緒に

~side詩穂~

私は身体が弱い。お医者さんからは「激しいスポーツはなるべくしないように」と言われるくらいには。そんな身体だったから、保育園の頃はいつも外遊びの時間、隅っこで座っていた。私だってみんなと遊びたい。鬼ごっこだってしてみたいのに。そうやって、一人で園の中で泣いたこともあった。

そんな、つまらない毎日を過ごしていた頃、琉ちゃんが転園してきた。あの頃から運動神経抜群だった琉ちゃんは、あっという間にみんなの人気者になっていた。

それからしばらくたった日の外遊びの時間。みんなが鬼ごっこをするのを羨ましそうに眺めていると、隣に琉ちゃんが来て座った。

「…何?」

私は琉ちゃんや、みんなが羨ましくて、そうやってぶっきらぼうに聞いた覚えがある。そんな私の言葉に、琉ちゃんはニカッと笑って言った。「先生から聞いた。あんまり走ったりできないんだろ?」。私はこくりと頷いた。

その後の言葉は、今でも忘れられない。

「じゃあさ、俺と一緒にチームになって鬼ごっこやろうぜ!安心しろ!お前が鬼になったら、すぐ俺が変わってやるから!」

そして、続けて言った。

「そんな寂しそうな顔するな!一緒に遊ぼう!」

そう言って、私の手を引いてみんなの元へ連れて行ってくれた。その日、私は保育園で初めて鬼ごっこを楽しんだ。途中、息が苦しくなった時は、琉ちゃんがすぐに気づいて座らせてくれたり、わざとタッチされて鬼を代わってくれたりもした。

その日以降、少しずつ、私でも一緒にできるルールをみんなが考えてくれて、色んな外遊びをみんなと楽しめるようになった。私を狭い、卑屈な場所から連れ出してくれた太陽みたいな人。それが琉ちゃんだ。

それからはずっと一緒に過ごしてきた。小学生に上がっても、変わらず一緒に登校して、一緒に勉強して、遊んでいたが、途中から琉ちゃんはサッカーを始めた。

一緒に遊ぶ時間は減ったけど、それでも、全力でサッカーに取り組む琉ちゃんを見るのが、私は大好きだった。けれど、途中からサッカーの試合から帰ってくるたびに、とても悲しそうな顔や辛そうな顔をしているのを度々見るようになり、ついにはサッカーを辞めてしまった。後から聞いた話では、勝敗にこだわりすぎるあまり、チームで浮いてしまっていたようだ。

サッカーを辞めてすぐ、琉ちゃんはドッジボールを始めた。何かを忘れるかのように没頭する彼の背中に、なんて声をかければいいか分からず、私は戸惑っていた。しかし、つい最近、山岡君たちがドッジボール部に入ってから、琉ちゃんは昔のような優しくて、太陽みたいな人に戻っていった。

宿題を一緒に終えて、家まで送ってくれている時、人数が足りない、と寂しそうに言う琉ちゃんの顔が、サッカーをしていた時の顔と重なって、ついあんなことを聞いてしまった。

(もうあんな琉ちゃんの姿を見るのは、絶対に嫌だ)。

私を救ってくれた、あの時琉ちゃんがくれた言葉。

「寂しそうな顔をするな!一緒に遊ぼう!」

(今度は、私が頑張る番だ)。

私は、小さな決意を胸に、お母さんの元に向かうのだった。


~side詩穂の母~

詩穂がリビングに戻ってくると、いつもとは違う、どこか決意に満ちた顔をしていた。

「詩穂、宿題ありがとうね。琉惺君、喜んでたでしょう?」

私がそう尋ねると、詩穂は「うん」と頷き、少し頬を赤らめた。

その後真剣な顔をして私の目を見て

「お母さん、私、ドッジボール、やってみたい」と言った

詩穂の突然の言葉に、私は驚きを隠せなかった。

「ドッジボール?でも、お医者さんに激しい運動は……」

「うん、分かってる。だけど……」

詩穂は、少し言い淀んでから、震える声で続けた。

「私、ドッジボール、やってみたい。琉ちゃんたち、人数が足りなくて困ってるみたいだから。それに、私も、みんなと一緒にドッジボール、楽しみたいの、無理はしないようにするから」

その目に宿る強い光を見て、私は何も言えなくなった。小さい頃の詩穂は、いつも自分の殻に閉じこもりがちで、自分の意見をはっきりと言える子ではなかった。それが、琉惺君と出会ってから、よく笑う子になってくれて親として本当に嬉しかったのを昨日の事のように覚えている、そして自分の意思でやってみたい事をはっきり私に言える位に変わった。

(琉惺君……あなたには、本当に感謝してもしきれないわ)。

私は、詩穂の頭を優しく撫でた。

「そうね。分かったわ。一度、お父さんと相談してみましょう。そして、ドッジボールチームの監督さんに、お話を聞いてみましょうね」。

「うん!」

詩穂は、満面の笑みを浮かべた。

その笑顔は、まるで、琉惺君がくれた太陽の光を、そのまま映し出しているようだった。

いつも読んでくださる皆様ありがとうございます、文字の乱れはご容赦ください。

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