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カラーコート  作者: 真紗
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練習試合×終わり=それぞれの目標

~side晴翔~

結局、午後からのトーナメント方式の練習試合は、僕たち庚午のD2だけでなく、己斐も大町のD2の選手たちのほとんどが限界だったようで、D1チームだけで行われることになった。(そりゃ、開成君の球も凄まじいけど、琉惺君や虎太郎君、龍太郎君の球だって速いから、そうなるか……)。僕は一人で納得していた。

もちろん、さっき名前の挙がった四人はピンピンしているし、D1の試合にも参加していた。そして、結果だけになるが、僕たちのチームは、見事に勝ち切った。

僕たちのD2チームは辞退したので、午後からの試合は見ているだけだったけれど、体育館に響き渡る声や、とてつもないD1チームのプレーは、午前中とは比べ物にならないくらいレベルが高く、僕もいつかあのコートに立ちたいと心から思った。

最後に、全チームで閉会式を行い、それぞれの監督が一言ずつ話をして、みんなで「ありがとうございました!」と挨拶をして、手早く荷物をまとめて帰る準備をする。

そして、体育館の入り口前で、今日の練習試合を企画してくれた大町の選手たちに改めて挨拶をするため並んでいたら、開成君が小走りに僕の方にきてくれた。

「晴翔!次はペイサーズ杯で会おう!」

開成君は、僕の目を真っ直ぐに見つめて、そう言ってくれた。あの怪物のような開成君が、僕にライバル意識を持ってくれていることが、素直に嬉しかった。

が、直後、大町の監督が「いや、お前、D1で登録してるから無理だぞ」と冷静に突っ込んだ。その時の開成君のしょんぼりした顔は、忘れられそうもない。僕も思わず笑ってしまった。

そんなこんなで、並んで挨拶も終え、解散となった。僕たちは車に乗り、家路に着く。

駐車場までの道程、美桜たちが口々に今日の感想を言い合っていた。

「今日は本当に楽しかったね!」と美桜。

「次はもっと戦略を立てて頑張ろうね、健太。追加で覚えるから」と、美桜は健太をからかうように言った。

「そんな!?」健太は少し困ったように笑っている。

「でも、本当にすごかったよ、健太。あのプレー、俺もびびったし」と琉惺君が健太を褒める。

「僕だってすごかったんだぞ!龍太郎さんのアタックも止められたしな!」と亮君が胸を張る。

「はいはい、すごかったよ。みんなすごかった」

僕たちは、今日の試合について色んな事を話しながら帰った。

(楽しかったなあ……)。

僕は、ふと空を見上げる、流れる雲を眺めながら、心の中でつぶやいた。

(明日から、いや、今日からまた頑張ろう)。

今日の試合で、僕はたくさんのことを学んだ。開成君の凄さ、チームワークの大切さ、そして、僕自身の可能性。

僕がボールをキャッチすれば、チームにチャンスが生まれる。僕のキャッチは、ただボールを止めるだけじゃない。みんなの気持ちを奮い立たせる力があるんだと、初めて知った。

これまでの僕は、運動神経が悪いことにコンプレックスを感じて、スポーツを心から楽しむことができなかった。でも、ドッジボールは違う。僕の得意なこと、僕にしかできないことで、チームに貢献できる。

「晴翔、次はもっとすごい球、キャッチしてやれよ!」

後ろを歩いていた健太が、僕の肩を叩く。

「うん!」

僕は力強く頷いた。

僕たちのドッジボールは、まだ始まったばかりだ。ペイサーズ杯で優勝して、もっともっと、たくさんのすごいプレーに出会いたい。そして、いつか、開成君と公式戦で戦って、今日の借りを返したい。

そんなことを考えながら、僕は家に着くまで、ずっとワクワクしていた。


~side健太~

帰り道、駐車場までの道程もみんなの楽しそうな声で賑やかだった。

「健太、お前、すげーな!開成をアウトにするとか、マジで予想外だったわ!」

琉惺の言葉に、俺は少し照れくさくなる。

「いや、偶然だよ。たまたま当たっただけ」

そう答えると、美桜がニヤリと笑った。

「嘘ばっかり。ちゃんと狙ってたんでしょ?私、見てたんだから」

美桜の言葉に、俺は観念したように笑う。

「まあ、ちょっとだけな。でも、木村コーチに言われた通り、あのアタックは通用しないと思ってたんだ。まさか、あんなに上手くいくとはな」

「健太は、頭がいいからね。開成君の弱点を見抜けるなんて、私には思いつかなかった」

美桜の言葉に、俺は嬉しくなった。

俺は、運動神経は悪くないが、晴翔のように特別な才能があるわけでも、琉惺のようにリーダーシップがあるわけでもない。だから、俺にできることは、チームの頭脳になること。美桜の言葉を聞いて、俺の役割が少しわかった気がした。

(よし、次はもっとすごい作戦を立ててやる!)

俺は、心の中で密かに決意する。

そして車に乗り、隣に座っている晴翔を見る。彼は窓の外を眺めながら、どこか遠い目をして、ぼーっとしている。

(こいつ、また飯のことでも考えてるのか?)

そう思った俺は、晴翔の肩を叩く。

「晴翔、次はもっとすごい球、キャッチしてやれよ!」

「うん!」

晴翔は、力強く頷いた。

俺たち庚午D2の物語は、まだ始まったばかりだ。

~side美桜~

車の中、2人が今日の試合について楽しそうに話している。

私は、そんな2人の姿を見て、嬉しくなった。今日の試合で、私たちは負けてしまったけれど、それ以上に大切なものを手に入れた気がする。

それは、チームが一つになること。

晴翔のキャッチは、私たちみんなの心を一つにした。健太の作戦も、琉惺君の諦めない気持ちも、みんなを奮い立たせた。

(本当に、すごいチームになったな……)

私は、今日、改めてこのチームの一員でいられることを誇りに思った。

そして、前に座っている晴翔を見る。彼は窓の外を眺めながら、静かに微笑んでいる。

「晴翔、次はもっと頑張ろうね」

私の言葉に、晴翔は「うん!」と答えた。

彼の笑顔を見て、私は心の中で密かに誓った。

(晴翔の才能を、チームの勝利に繋げる。それが、私の役目だ)。

私たちは、ペイサーズ杯で、必ず優勝する。

そう決意を新たに、私は帰路についた。

いつも読んでくださる皆様ありがとうございます、これからも宜しくお願いします。文字の乱れはご容赦ください。

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