試合×開始前=それぞれの決意
~side晴翔~
タイマーのブザーが鳴り、主審が試合終了を告げる。結局、庚午と己斐の試合は8-3で庚午が勝った。やっぱりD1の人たちは強いな、と思いつつ、帰ってきた選手たちを出迎えて、入れ替わりでコートに入っていく。
反対側のコートには開成君、蓮君、そして外野には剛君が入っている。コートに入った僕たちに、木村コーチが「みんな、さっきの試合と一緒だよ、楽しんで!」と声をかけてくれた。初めての試合とはまた違った緊張感だけど、そこで僕は開成君の方を見る。たまたま目が合ってお互いに笑う。(うん、やっぱり楽しみだ)。僕は早く試合始まらないかなとソワソワしながら、人数確認を待つのだった。
~side開成~
D1の試合も終わり、いよいよ琉惺たち庚午との試合だ。僕はワクワクしながらコートに入っていく。蓮に「開成、少し落ち着け。楽しみなのはわかるけど」と言われる。仕方ないじゃないか、あのゼロ距離キャッチを見せられた時から楽しみにしてたんだから。
僕は晴翔君の方を見る。晴翔君もこちらを見ていたようで、目が合いお互いに笑う。(さあ、晴翔君、勝負だ!)。僕は試合を楽しみに待ちつつ、頭の中でシミュレーションを開始した。
~side健太~
外野で改めて開成を見る。やはりデカい。それは縦だけに限らず、身体自体がデカく見える。(同級生でこんな奴が本当にいるんだな)。俺はまだ少し現実を受け入れられていない。美桜曰く、「全国で見ても多分トップ5に入るくらい大きいと思う。間違いなく、広島の同学年では一番ね」と言っていた。そんな奴とドッジボールをすることになるなんて、四年生になったばかりの時は思いもしなかったな。
晴翔がいて、美桜がいて、俺がいて、変わらず三人で遊んだり宿題したりして過ごすんだと思ってた。そこに公式ドッジボールが加わり、俺たちの日常は一気に慌ただしくなった。二人が入部を決めた時、本当に嬉しかった。そして密かに自分に約束事を設けた。それは、(例え二人が辞めても、必ず俺は最後までドッジボールを続けること)。晴翔も美桜も大切な親友だ。けど、あいつらが辞めたからって俺も辞めるっていうのは、なんか違う気がした。
(まあ、そんな心配いらないくらいに二人ともハマってるけどな)。フッと笑う。そして今日の練習試合。一回目は勝てなかった。二回目のこの試合は、広島県NO.1とか、大町の怪物とか、物騒な呼び名がついている同級生。相手に不足はない。(それじゃあ、怪物狩りと行きますか!)。俺は外野で気合を入れ直すのだった。
~side美桜~
さあ、二試合目。午前中最後の試合だ。私は改めて気合を入れ直す。昼からはトーナメント方式でやると書いてあったが、それは昼から考える。今は目の前の試合に集中だ。
先ほどの大町のD2の試合で、確かに開成君のアタックやパスカットはすごかった。単純な身体能力を競う競技なら、千回やっても勝てないだろう。それくらいの差だ。しかし、ドッジボールはそれには当てはまらない。
だけど、琉惺君が言っていた通り、高村兄弟の兄、蓮君が見事にチームをコントロールして開成君を活かしきっている。しかし、本当にすごいのはそこじゃないと私は先ほどの試合で認識を改めた。彼のすごいところは、開成君頼りの作戦に固執していないところだ。普通、あれだけの選手がいたら、そこにばかり球を集めてアタックをするのが定石だ。しかし、パスが読まれやすくなるなどデメリットもある。そのデメリットを考慮しても開成君に集めた方が良いくらい、彼のアタックはすごいのだが……蓮君はそれをしていない。時には自分がアタックを打ったり、フェイントを入れたりしていた。だからこそ、開成君が活きるし、開成君がいなくても勝てる道筋を立てられる。そんな風に見えた。
(でも、だからこそ勝ちたい!)。私はそう強く思う。それぞれ持っているカードは違う。けど、うちのチームだって強みがたくさんある。大町にだって負けていない。(さあ、知恵比べだ)。私は決意を新たに待機するのだった。
何とか出来ました、短い&文字の乱れはご容赦ください。それではどうぞ。




