試合×再開=怪物たる所以
~side晴翔~
しばらく休憩して、己斐の選手たちも十分に休めたようで、休憩時間が終わる。大町の選手たちと己斐の選手たちがコートに一礼して入っていく。己斐は人数が足りていないが、庚午と同じように、自分たちだけで試合に挑むようだ。
そうこうしていると、琉惺君が僕たちのところに来て「健太、美桜、大町の外野の3番の選手と開成の隣にいる2番の選手をよく見ておいた方がいい」と言った。その二人を見ると、そっくりな顔立ちの二人だなと思った。双子かな?そんな風に思っていると、琉惺君が「あの二人は高村兄弟。見ての通り双子で、内野にいるのが兄の蓮、外野にいるのが弟の剛だ」と教えてくれた。
続けて、「健太は剛を見ておくといい。あいつは君ができることはほぼ全てできると思っていい。美桜は蓮の方だな。開成が自由に動き回るのを、あいつがコントロールしつつゲームメイクするのは見ていて驚くと思う」と言った。そして僕の方を向いて「晴翔は開成の動きとアタックを見ておくといい。D1の時とは違う動きをするはずだから」と言った。
そうなのか。楽しみだな。そんな風に思って待っていたら、主審のジャンプボールのコールが響いた。試合が開始されるのを、僕たちは黙って見守るのだった。
~side開成~
主審のジャンプボールのコールを受けて、僕は中央のサークルに向かう。相手はいつも通り龍太郎君だった。主審のコールも終わり、ボールが上に投げられる。試合開始だ。それと同時にジャンプして、僕は蓮のいる方にボールを落とす。蓮もすぐに拾い、剛にパスを出す。(本当は単発狙ってたんだろうな)。蓮は下で待機していたのではなく、落下点を予想して助走を取っていたし、きっとそうだろう。だけど己斐の人たちは、ジャンプボールはさすがに難しいと思っていたのか、守備のラインを即座に作っていた。(まあ正直、ジャンプボールで負ける気はしないな)。靴が脱げるとか、そういったトラブルが起こらない限りは負けないだろう。それくらいの自信はある。
そんなことを思いながらも試合に集中する。蓮からパスされたボールは、剛がしっかりと取り、サイドに移動して己斐のラインを動かしていく。その際、僕の方をちらりと見た。(了解)。僕は軽く手を挙げて後ろに少し下がる。剛はサイドに動いたラインめがけてアタックを打つように見せて、僕にノーバウンドでパスを出してくる。(相変わらず取りやすい位置に投げてくれるな)。剛のパスに感心しつつ、キャッチした勢いのまま僕はアタックを打ち込んだ。
さあ……全員アウトにしてやる。僕は試合に入り込んでいった。
~side晴翔~
試合が始まって2分ほど経った頃、僕たちは目の前の光景に絶句していた。己斐の内野選手は龍太郎君とあと二人。既に6人がアウトになっていた。そして、6人をアウトにしたのは開成君、たった一人だ。
蓮君や剛君もアタックを打ってはいたが、己斐の選手たちもしっかりキャッチする。龍太郎君と虎太郎君の高速アタックも何度か決まっており、大町も8人までは減っている。だが、一人アウトにすれば一人アウトにし返す開成君の前に、為す術が徐々になくなっているようだった。
剛君から受けたパスでアタックを打ち込み、さらに人数を減らす。隣で健太が「あの剛って子、めちゃくちゃ上手いな。んで、開成は、参考にならないな」と匙を投げていた。美桜は「蓮君、本当に上手だ。開成君が当てやすくなるようにラインを動かしつつ、自分たちの位置取りも考えているのか」と感心しているようだった。健太の横に座っている琉惺君は、本当に嬉しそうに「そうだよな。開成はやっぱこうでなくちゃな」とワクワクした様子で呟いていた。
僕は僕で、開成君のアタックを見ていて気づいたことがある。まだ確証はないが、次の試合で試してみようと決意し、さらに開成君の動きを注視するのだった。
結局、龍太郎君以外は全員アウトになり、7-1で大町が勝って試合が終わった。次はD1の試合だけど、開成君はそのままコートに残っている。次の試合も出るのだろう。体力もすごくあるんだな、と僕は感心する。
これからこう言った機会が増えていくのに太っていて体力ありませんではダメかもな、なんて僕は思った。
「僕も少しは痩せないとな」
小さな声で呟いたはずだったのに、隣にいる二人が即座にこちらを向き、信じられないといった表情で見ている。
「は、晴翔?どうした、何か嫌なことでもあったか?」と健太が心配そうに見てくる。「晴翔?大丈夫?熱はなさそうね、どこか痛いとかない?」と美桜も真剣に心配している。
二人のあまりの扱いに、僕は思わず体育館の天井を見上げた。
……泣いてないやい。
来週久しぶりにお好み焼きを食べに行くので豚玉W食べて来ようと思います、最近は米も3合食べれなくなって来ているので気合い入れ直して来ます、異論は認める。




