攻防×瀬戸際=決着の時
~side晴翔~
副審が突然笛を吹いた。(えっ?何かあったかな)。僕と龍太郎君は突然のことに固まる。
審判のコールを待っていると、「すいません、オーバーラインだったのですが、キャッチできると思ってなくて、ビハインドをせずに吹いてしまいました」とポツリ。主審も苦笑いでしょうがないといった雰囲気で「1番オーバーライン」とコールして、「庚午3番ボールで試合を再開します」と言った。
僕はボールを頭上に掲げて待機する。主審のホイッスルが鳴り、試合が再開され、僕は健太にパスを出して、定位置に戻っていった。
~side龍太郎~
(なんだ?何なんだよアイツは!?)
俺は内心、かなりイライラして動揺していた。カウントを切るためのアタックはわかる。あれは開成や琉惺でもできることだから納得できる。オーバーラインだからアウトにはならないことはいい。だが、今のアタックは普通、取れないだろ!?なぜ顔を背けない?なぜキャッチできる!?俺は混乱の中にいたが、試合は続く。(とにかくもう一度、しっかりキャッチして、流れをこちらに戻す)。まだ人数は勝っている。ここで庚午に流れは渡さない!俺はそう決心してカットに戻るのだった。
~side開成~
(はぁ!?あの距離の球を取った!?)
僕は驚いた。サイドに移動してのキャッチも安定してできていたので、彼は本当にキャッチが上手いんだな、と認識は改めていたが、まさかあの距離の球もキャッチするとなると、相当な能力だ。(僕はあの距離のキャッチはできないな)。素直にそう思う。
そして同時に、どうやったら彼をアウトにできるかを頭の中でシミュレーションし始める。(開き?クロスかな?チェンジペースかな?クイック?)。自分にできることで彼をアウトにしてみたいなと真剣に思う。(確か……晴翔君だったかな?)。琉惺がそう言っていた。
僕は蓮と豪に「ねぇ、彼をアウトにするなら二人はどうする?」と聞いてみることにした。この試合が終わったら試合できるのか。楽しみだな、晴翔君。僕はワクワクした気持ちを抑えつつ、二人の元に行くのだった。
~side晴翔~
健太は僕から受けたパスをしっかりと受け取り、カットの龍太郎君を外しつつ琉惺君にパスを出す。琉惺君もしっかり走り込みながらアタックを打ち込むが、キャッチされてしまった。己斐の選手も僕たちと一緒で必死なのだろう。キャッチした選手を「ナイスキャッチ!」と盛り上げている。
お互いに一進一退の攻防が続く。スコアは5-6のままだ。時間も1分と少しのところまで来た。おそらく次の攻防が最後の展開になる。僕はそう思いながら守備に集中する。
己斐の選手が虎太郎君にパスを出す。そして虎太郎君はサイドに走り込み、僕たちのラインを動かしていく。そしてそのままアタックを打ってきた。ボールは美桜に向かって行く。美桜もキャッチしようとチャレンジするが当たってしまった。スコア4-6。
落ちたボールを僕はすぐに拾った。残り時間は40秒ほど。すぐに健太にパスをするが、力んでしまってパスが逸れる。何とか健太が手で触ることはできたが、ボールは後ろに逸れる。ワンタッチのジャッジで外野ボールから再開となる判定だ。
残り25秒。すぐに健太はボールを拾い、上に掲げる。主審の笛が鳴る。己斐の選手たちは外野からのアタックを警戒して、ラインを内野側に下げている。健太はすぐに琉惺君にパスを出す。残り10秒。繋がったパスで、琉惺君は無回転アタックを打って己斐の選手を一人アウトにする。スコア4-5。
ボールが外に出てボールデッドとなり、すぐに琉惺君が取りに向かい、内野でボールを上に掲げる。主審の再開の笛とほぼ同時に、無情にもタイマーのブザーが鳴り、主審の笛が鳴り響いた。
前日投稿分までを又一括で読んで下さった方々が居るようで、拙い作品にも関わらずPVが結構付いていました、感謝です。文字数も少なく乱れも多いですが、お付き合い頂ければ幸いです。




