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カラーコート  作者: 真紗
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試合×才能=大町の怪物

いよいよこの小説を書き始めて初めての試合、いつも以上に文字数が多くなってしまいましたが、お付き合い頂ければ幸いです。文字の乱れはご容赦ください。

アップも終わり、いよいよ全チームが並んで、今回の練習試合に先駆けての挨拶が始まる。複数のチームが参加する時は、こうして全員で挨拶をするのが慣例らしい。

大町の監督が話を終え、「では始めましょうか」と言うと、練習試合が始まった。試合の組み合わせ表は、僕たちの待機場所に貼ってあったので確認する。

練習試合 組み合わせ表

* 庚午 vs. 大町 D1

* 己斐 vs. 大町 D1

* 庚午 vs. 己斐 D2

* 己斐 vs. 大町 D2

* 己斐 vs. 庚午 D1

* 庚午 vs. 大町 D2

昼休憩

トーナメント方式

僕たちのD2の試合は3試合目か。

そんなことを思っていると、早速第1試合が開始となりそうだった。(昨日も見たけど、審判6人でコートを見るのはまだ慣れないな)美桜から教えてもらい、前日の紅白戦でも確認していたけど、改めて見るとやはり他の競技より多く感じる。だけど、琉惺や美桜曰く「普通の事だ」そうだ。むしろ一人で審判をする競技の方が珍しいとも教えてくれた。

人数チェックのため、両チームの選手たちはコート内で座って待機している。その中には、開成くんの姿もあった。

「やっぱり開成くんはD1なんだね」

僕がそう言うと、琉惺が答えた。

「今日はD2の試合にも出てくるって、本人が言ってたぞ。しっかり見ておくといい」

みんなが「広島県ナンバーワンプレーヤー」と口を揃えて言う開成くんのプレーが、この目で見られる。僕はワクワクしながら試合を見ることにした。

準備が終わり、主審の「ジャンプボール!」という大きな声が体育館に響く。うちのチームのジャンパーは、開成くんにも負けないくらい体格のいいタケシくんだった。(タケシくんは、豚玉W同盟を組んだ時に「タケシでいい」と言われたけど、先輩だから「くん」付けしている)僕は「タケシくん、行けるよー!」と声をかけた。タケシくんをはじめ、D1の選手たちはみんな、集中した表情で構えている。

大町のジャンパーは、開成くんかと思っていたけど、開成くんに次いで大きい選手だった。(開成くんじゃないんだ)そんなことを思っていたが、主審のホイッスルが鳴り、ボールがトスされた。二人ともしっかりと跳んで、ボールを自チームのものにしようとする。

今回はタケシくんに軍配が上がった。自陣に落ちたボールをハヤトさんが手早く拾い上げ、すぐに速攻を仕掛ける。見事に大町の選手に当てて、一人をアウトにした。

大町の選手も、アウトになった選手が落としたボールを別の選手がすぐに拾い、自陣のボールにして外野にパスをする。(アウトになった選手は、コート内のボールに触るとファールになる)

庚午の選手たちはすぐに守備のフォーメーションを取り、大町の攻撃に備える。内野のサイドに、開成くんがスタンバイした。

「来るぞ……怪物が」

隣にいた琉惺がそう呟くと、外野から開成くんにパスが繋がった。

まるで吸い付くようにハンドキャッチでボールを取ったと思ったら、彼はもうアタックの準備に入っていた。

(速い!)

驚いている僕の目の前で、開成くんの手からボールが消えた。


~side 琉惺~

(相変わらず、とんでもない反応速度だな……)

俺はそんなことを思った。開成はボールをキャッチしたと思ったら、その流れのままアタックに移行する。サイドへワンバウンドのパスで高速アタックを決めてくる己斐ペイサーズが得意とする戦術だ。開成はそれを「見て真似している」と言っていたが、見て真似できるほど簡単な技術ではない。俺も健太と今練習しているが、なかなかうまくいかない。それほど難しいことなのに、開成はいとも簡単に、しかもノーバウンドの速いパスの中でそれを実行してくる。

(動画サイトの全国大会の映像でしか見たことないようなことを、あいつはやってくるな……)

というか、開成はおそらく一通りのことは、少し練習すればできてしまうのだろう。現にクイックアタックは完全に自分のものにしている。

そして放たれたアタックは、開成が見ていた方向とは真逆にいるマナブさんに直撃した。マナブさんもなんとか準備しようとしていたが、投げるまでの速度と、フェイントの入ったアタックに全く反応できずにアウトとなる。

横で晴翔が「ボールが消えたと思った……真逆に投げたのか」と驚いている。

そう、俺が思う開成最大の武器は、この肩周りの柔軟性を活かしたアタックだ。逆サイド、センター、クロス。すべての場所にあの威力の球を投げ込んでくる。はっきり言って、脅威以外の何物でもない。

(やはり開成を何とかしないと、勝ち筋は見えないな……)

勝ち負けだけではない、と山本監督に教えられたし、気付きも得た。だが、やはり開成に、ひいては大町に勝ちたい。しかし、どうやって勝てばいい?

俺が一人で考えていると、横から「ねえ、琉惺くん? 開成くんはD2の試合の時もサイドなの?」と晴翔が聞いてきた。

「いや、開成はおそらくセンターアタッカーのはずだ」

俺がそう答えると、「そっか、教えてくれてありがとう」と晴翔は隣の美桜に話しかけ始めた。

「ねえ美桜、開成くんのアタックは癖ありそう?」

美桜も「さすがにまだ分からないかな」と言っている。

「そっか。でも楽しみだな〜、キャッチできるかな〜」

心底楽しそうに晴翔は言っている。その姿を見て、俺はハッとした。

そうだ。勝ち負けもあるが、まずは楽しまないと。

また晴翔に気付かされる。開成、確かに、お前はすごい。だけど、晴翔だって負けていない。そんな二人がぶつかるんだ。

俺はできることをやって、全力で楽しむ!

心が先ほどよりも随分と軽くなった俺は、D1のみんなを全力で応援するのだった。

減量中小腹を満たすのはカニカマや竹輪がオススメです。異論は認める。

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