悩み×仲間=決断はいつもお好み焼きと共に
今日は夏の全国大会ですね、出場されるチーム選手の皆様は熱中症等にお気をつけて、精一杯頑張って下さい。という事で続きをどうぞ。文字の乱れはご容赦ください。
練習を終え、後片付けをして全員で挨拶をした後、僕達は外に出る。
体育館の外は、練習後の熱気とは違う、穏やかな空気に包まれていた。ついさっき話した山本監督の言葉が、頭の中で何度も繰り返される。「これからも続けることをオススメするよ」。
そして監督から投げ方の練習方法を詳しく聞かせてもらった。ボールを使わずにできるという、タオルを振る練習だ。琉惺君の投げ方と違い、まるで野球の投球フォームのようだと感じた。色々投げ方があるんだな、と思いながら、家の中で、尚且つ人目を気にせず練習が出来る。鏡の前で自分のフォームを確認する、というアドバイスも言われて見れば確かにと思った。
(まずは自分で調べて見るべきだった…)
普通に検索すればわかるような事を聞いてしまった事を少し反省し、(次からは調べてからにしよう)と固く決意する。
(これで、真っ直ぐボールを投げられるようになるといいな)
僕は心の中でそう呟き、改めて監督に深々と頭を下げた。監督は満足そうに微笑んでくれた。
帰り道、美桜と健太と合流し、僕たちはおばあちゃんのお好み焼き屋に向かった。店の扉を開けると、食欲をそそるソースの香りがふわりと鼻をくすぐる。
「ただいまー!おばあちゃん、豚玉ダブル3つ!」
元気いっぱいにそう告げると、健太と美桜が同時に僕の肩を叩いた。
「おい、晴翔!勝手に決めるなよ!いつもと同じに決まってるだろ!」
「そうだよ、健太と同じで、私はハーフサイズでいいからね!」
二人の呆れた視線に、僕は「えーっ」と不満げに声を上げた。
「だって、山本監督と話したらお腹減っちゃったんだもん……」
「知るか!ってか毎回それ言うなよ!毎回その度に僕たちに止められるのに、懲りないな!」
「あはは、ほんとだね、晴翔は毎回同じリアクションするよね」
美桜と健太のツッコミに、僕は少ししょんぼりする。結局、いつものように美桜はハーフサイズ、健太はノーマル、僕は悔しい気持ちを抱えつつも、大好物の豚玉ダブルを一つだけ注文することになった。
注文を終え、鉄板の前に座ると、美桜が僕に話しかけてきた。
「ねぇ、晴翔。靴さ、もう決めた?」
そういえば、監督にドッジボール用のシューズを近いうちに買うように言われていたんだった。
「うーん、まだ。どんな靴が良いんだろう?」
すると美桜は、キラキラした目で話し始めた。
「私はね、バドミントン用の靴にしようと思ってるんだ!ドッジボールって、左右に素早く動いたり、細かいステップが多いでしょ?バドミントンシューズって、軽くてグリップ力も高いし、ドッジボールにも合いそうじゃない?」
その言葉に、僕は驚いて美桜を見た。
「すごい!美桜、さすが頭いいな!そんなことまで考えてたのか!」
「ふふ、でしょ?スポーツは自分の身体に合わせるのも大事だからね」と、美桜は得意げに微笑む。
そんな僕たちのやり取りを、健太が聞いてきた。
「おっ、やっと正式に入部するのか?」
その言葉に、僕と美桜は顔を見合わせた。
「…まだ、少し悩んでるけど」
美桜がそう答えると、健太は少し寂しそうな顔をした。
「そっか…」
その時、おばあちゃんが僕たちの前に熱々のお好み焼きを運んできてくれた。
「はい、悩みすぎ禁止だよ、とりあえずお好み焼き食べてから考えな」
そう言って、おばあちゃんはにこやかに笑ってくれた。その優しい笑顔に、僕たちの胸の中にあったモヤモヤした気持ちがすーっと溶けていくのを感じた。
「そうだね」
僕たちは頷き、3人でお好み焼きを食べ始めた。
熱々の鉄板から香ばしいソースの匂いが立ち上る。お好み焼きを一口食べると、僕たちは至福の表情になった。
「うまっ!やっぱりおばあちゃんのお好み焼きが世界一だ!」
健太も美桜も、無言で頷きながらお好み焼きを頬張っている。この味を、僕は小さい頃からずっと食べてきた。僕のドッジボールの原動力は、このお好み焼きなのかもしれない。
お好み焼きを食べ終え、僕たちは満腹感と幸福感に包まれた。そして、自然と一つの答えにたどり着いた。
「ねぇ、健太。僕、決めたよ」
「私も。やっぱりやるよ」
健太は一瞬、驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「よっしゃ!これかも一緒に頑張ろうな!」
こうして、僕たちはチームメイトとして、新たな一歩を踏み出すことになった。
「そういえば、晴翔はどんな靴にするの?」
美桜の問いに、僕は誇らしげに答える。
「僕はね、ハンドボール用の靴にしようと思ってるんだ!ドッジボールのボールって、ハンドボールと似てるでしょ?あの豪速球をキャッチするには、しっかり踏ん張れる靴が必要だからね!」
「へえ、ナイスアイデア!」
僕の考えに、美桜は素直に感心してくれた。美桜はバドミントン用、僕はハンドボール用。それぞれの得意を伸ばす、僕たちらしい選択だ。
満足感に満たされながら、僕たちは帰路に着いた。空はまだ明るく、柔らかい風が吹いている。Tシャツ一枚でちょうどいい、心地よい気候だ。
家に帰り、僕はリビングに入ると、キッチンに立つ母さんに声をかけた。
「お母さん、ただいま!」
そして、にこやかに告げた。
「あのね、ドッジボール部に正式に入りたいんだ、だから靴とサポーターを買ってほしいんだ!」
母さんは驚いた顔でこちらを向いた。僕の言葉に、嬉しそうな笑顔を浮かべてくれた。
この小説でカラーコートが出るのはいつになるやら、、、自分でも分からないという、体たらく、これからも精進します。




