訓練×習慣=才能の正体
30話目、短めですがどうぞ、文字の乱れはご容赦ください。30話たっても仮入部という事に、自分でも驚いています。そろそろ入部してくれるはずです。
当て合いを終え、水分補給になったので僕は喉の渇きを潤す。琉惺君との当て合いは、結局お互いに一度もアウトにすることなく終わってしまった。木村コーチは途中で僕たちから目を離し、他のD2メンバーの様子を集中して見ていたが、時折こちらに視線を送ってくる。山本監督に教えてもらった投げ方でボールを投げるものの、まだまだうまく投げられない。5、6球に1回はとんでもない方向に飛んでいってしまう。やっぱり、今日こそ山本監督に練習方法を聞いて帰らないと。僕は心の中でそう決意した。
しかし、投げ損ねたボールを、サッカーのキーパーのように手だけでいとも簡単に取られた時には、少しショックだった。そういえば、D1のアカリさんも、守備練習の時に同じような動きをしていたことがある。きっと、そういうポジションがあるんだろうな。これも後で誰かに聞いてみよう。そう考えていると、木村コーチが「今日はもう一度アタック練習をしよう!」と声をかけた。僕たちは元気に返事をし、準備を始めた。
そのタイミングで、山本監督が「ちょっと話せるかな?」と僕に声をかけてきた。僕と入れ替わるように、美桜と健太がコートに戻っていく。すれ違いざまに、「なんの話だったの?」と二人に聞くと、健太が「晴翔が何か昔から続けていることってあるか?って聞かれた」と答えた。美桜も「あとは、どんなことをしてるか知ってるか?って聞かれたよ」と教えてくれた。僕は頭に「?」を浮かべながら、「何か理由があるのかな?」と二人に聞いたが、二人が知るわけもないと思い、「とりあえず行ってくるね」と言って、山本監督の後ろについて体育館を後にした。
~side山本~
D2の当て合い練習が一区切りついたようで、水分補給の時間になった。私は二人に礼を言って、晴翔君の方へ歩みを進める。次の練習に入るタイミングで声をかけ、彼を体育館の外へ連れ出した。
晴翔君は、コートに戻っていく美桜さんと健太君に、私が話した内容を聞いているようだ。二人が答えているが、当の本人は腑に落ちないといった様子。おそらく、彼は自分がやっていることが、得意な「キャッチ」につながっていることに気づいていないのだろう。まあいい。本人に確認することで、彼の能力をさらに伸ばしてあげられるかもしれない。聞いて損はない。
そんなことを考えているうちに、体育館の外に出た。ついてきてくれた晴翔君に「急に呼び出して悪かったね」と言い、美桜さんと健太君に聞いたことを、改めて本人に確認したいと説明した。
「君は、動体視力のトレーニング動画の視聴と、積み木や立体パズルを、いつからしているんだい?」
~side晴翔~
山本監督からの質問に、僕は素直に答えた。
「僕がお母さんから聞いた話では、積み木と立体パズルは2歳からです。動体視力トレーニングの動画は4歳から毎日見ています」
監督は驚いているようだった。でも、積み木も立体パズルも場所を取るようなものではないし、普通にやれば30分もかからない。それに、歯磨きをしないと気持ち悪いように、僕は入院していた頃から続けているこの日課をしないと落ち着かないのだ。そのことも山本監督に伝えた。
監督は穏やかな声で「そうなんだね。教えてくれてありがとう」と言ってくれた。その上で、「これからも続けることをオススメするよ」と教えてくれたので、僕は素直に「はい」と返事をした。
僕は今なら聞けると思い、かねてから気になっていたことを尋ねた。
「ボールを使わずに、投げる練習で何かおすすめのものはありますか?」
山本監督は、「タオルを使ったり、鏡で自分のフォームを確認したりかな」と言ってくれた。練習が終わったら、また詳しく教えると言ってくれたので、僕は深く頭を下げてお礼を言った。
「ありがとう。もう練習に戻ってもらって大丈夫だよ」
そう言われ、僕は体育館へと引き返した。
戻ると、ちょうど次のアタック練習が始まるところだった。僕の脳裏には、山本監督が言った「これからも続けることをオススメするよ」という言葉が残っていた。僕は、自分がただの「日課」として続けてきたことが、ドッジボールと繋がっているのかな?と思うのと同時に、これからも続けて行くと、どうなっていくのかなと、期待で胸が高鳴った。
自分が読みたい、と思うものを書いて投稿し始めてもう30話、という事に驚いてます、PVを見る度に、恐れ多いのと同時に、ありがたいな、と思いながら投稿させて頂いております。いつも見てくださってありがとうございます。今後も精進しますので、よろしくお願いいたします。




