平凡さゆえの尊さ
非凡のものはその非凡さゆえに、平凡の物事に詳しくなくて興味がない。
平凡のものはその寿命が限られているから、出来ることに限界がある。
それがおれがステラ・ロサさんの、彼女の体質に感じて個人的に研究してる主題なんだけど(もちろん正式に研究プロジェクトを出してるわけではなくて、おれはそんな立場ではなくて、対象も別に彼女をギルドの研究対象にしたくないためドラゴンなどに変えるつもりだ)それはステラさんのことを見ると確かにわかる。彼女はドルイドのことに詳しいけどおれもちょっとわかるなんらかの平凡の技術の仕組みとかがわからないからだ。「なんで天球の星座は全部学ぶのにドアの仕組みもわからないのだ」とかを彼女の師匠のような立場の存在から言われるけど、だから「あ、本当に興味がない情報は入ってこないんだ」と思う。
そう。おれは完全に目の前の子が非凡のものであり、中央堂が心配する「情報を探ろうとする他の非凡使いの組織」とか……そういう小さい方の目的性を持つのではなくて、より何かの大きいものを狙って入学した存在なのではないかと気にしているのだ。
ステラさんが毎日の筋トレをやってやっと人間の姿を維持できるように、何かの術を使って自分のエーテルを弱く隠してだ。
年齢は見る限り10才ほど。やはり彼女が難しい本を読んでいるのがおかしいのだ……
しかも、読むだけではなくて、あれは「もう知ってるのを比べる」あれだ。もうおれもこの図書室の本くらいは全部頭に入っているので(全部の本を理解しているとは言ってない。つまり、理解してない場合はあのように読めない)言葉をちょっと覚えて当てることができるそこそこ人材としてあえて思うけど、あのようなことができる非凡のものがいるのだろうか。
無限の命を持つ……そう、ムー大陸から今まで生きているであろう「ムーの最悪」が今ここフィレンツェにいるとしたら、最近何百・何千年の人間の話を学ぶかな?わかるかな?そういう内容に興味を持つかな?
ただそういう存在が頭が良すぎて普通の本の知識は覚えているのです、と言ったらそれもまあ仕方ないことだけど、でもおれの感覚では逆にそんなものはあえて人間の、一時的な学文を学必要がない。
ドラゴンならドラゴンなりの魔術や闘技を作るといい。「奇怪巨木」は別にドルイドのように植物を成長させなくてもいい。
古代国ムーは、今は誰も知らない「古代魔術」を使うといいのだ。
普通の人間たちの学文など興味を持つはずがない。
だから、あの人が非凡のものならあんなに……爆速にページを捲ってもう半分を切ってるのはありえないことで、反面、普通の人が「生まれてからフラマ」のような素質を持つのも考えにくいことだが……ここはどっちがありえるか、選択をすべきだった。
……
人だということにしましょう!
おれは「なら非常に稀な火属性の天才か」と彼女に関して考え直しをした。
そうだな、おれも自分のような属性は見たこともない。世界は広くて、「完璧にフラマとして生まれた」人なんているかも知れないのだ。
やっと自分の本に集中を戻すことができた。
おれが今見てる本は、理解するためにもう一回丁寧に読んでいる部分は「非凡ハンター制度の概要」だ。
もう何ヶ月まえ、この本で読んだことと完全に真逆な事をして、「非凡のものだと思われるものに心をあげない」「自分の空間に招待するのはダメ」「一緒にいる時に寝るのも禁物」「自分の術のことを教えない」「持ち物の閲覧を許容しない」などなど。これはもう完璧に無視して、逆に気持ち良くなる程「悪魔だと思われる人に対処する方法」の反対を実践してたけど、まあ、だからおれはステラさんの家族としていることができると思うし、自分の「四属性の意欲」もわくことになったんだろう。
クアトロね……
そう、おれも多分自分がフラマに絞ったと思うんだ。ステラ・ロサさんに出会ってないときっとそうだったと思う。
これは前に座って魔法陣の本を見始めた(アリストテレスの本はもう見終わったらしい……)赤髪の子とは完全に違う。あの人はフラマ以外の道がないくらいだ。生きている赤を纏うルビーのような人間だ。多分性格も普通火属性を持つものがそうであるように、短気で騒がしいだろう。
でもおれはそういうのではなくて、火・水・土・風のクアトロ。その恩恵の「特例」の身分を今も維持してるけど、前例が無さすぎてこれからどの役分けになるかもわからない。
ずっと曖昧な4人分の一人前になって、どっちも教授のくらいにはなれなくて、ただ「四の堂のそれぞれをぜんぶ知るのはきみだな」と呼ばれるのだ。それよりはふつうのフラマになった方がいいと、おれのことを知る誰でも思ってた。
でもマスターするとしてるから、生き残ることにしたから。ステラさん以外は心を譲らないように、「あ、そう言えば再開した時を覚えてますか」と出た今朝の話題からこの内容をチェックしようと思って……
だから連想して今まであの人に妄想の思い込みをしたわけだ。




