衝撃の真実:鋼之魂(アニマ・ライト)に関して
「うむ。いったんコアの混合が完了されること、そしてサファイアの胴体の染料が乾くこと。この2つには時間がかかると思われる。
そして他の5体の胴体ももしかすると器を少しこのまましているのがいいかも知れないから」
「そうですか?」
「部品の繋ぎとエーテルの定着が必要なのは他の5体も同じだ」
「そうか」
「そういうことで、また休憩だ」
「わかりました」
わたくしたちは実験室をそのままにしてから、まだリビングに戻る。
椅子に深く座って、私は言った。
「本当にやってみると割と普通だった。『写の記憶』を共有する立場ならわからないが、新しい個人を作ること、自体は何体もできる感じだ」
「まあ、もともとレグノの旦那の代替をこんなに準備してるのは普通じゃないですよね。
そこに意思が宿るかの問題」
「それはそう。でもそれは器だけの容器だかな。
最近人の子たちに改めてホットな話題になってるのが『人の心はどこにあるのでしょうか?』などがあって、今更のペルシアからのギリシャの文献をラテン語に翻訳したり、その中気に入った内容を聖堂の教えに混ざろうとする人がいたり」
「へえ」
「そうしようとするおじさんは気に食わないから、何人か燃えちゃったりしたけど」
「火刑、好きすぎじゃないですか?」
「それは確かにそうだな。ゾロアスター教から変に火の風習だけを受け入れているのかな?
とりあえずその中では『まあ、その主張した本人はもうこの世にいないから』ってそれっぽい話はまたスコラ学の教理に入ったりするよ。わたくしはこのような過程はぜんぜん健全な方の争いだと思う」
「健全の基準が壊れてる。
争い自体は普通だということですね」
「そう、争い自体は普通だ」
「健全じゃない方は、まあ……『奪うため』でもなくてただ『無くすため』『虐めて排除するため』の争いなんでしょうね」
「うん。それは普通に難しいから、受け入れると今の自分の心が負けだから、感情で受け入れてなくて避けるだけで、私の鉄板の教えの『累という傾向』ともぜんぜん合わない。ただそれは……嫌だから学びたくないだけだ」
リソくんは頷いた。そして脱線した話を元に戻した。
「まあ、とりあえずそんな教えの中で『心はどこですか』という話ですね」
「そうだな。
人は少しきみが触れれる影のようなちょっとがエーテルが行き来したり、心に持ってる思想や言葉、音、動きなどが体に直接伝わって体を動かして、またそれが心に影響する。
それが基本で、別に『写の記憶』と繋がってないとか、あまりにも体に必要な機能を多く積んでいる機体などもこれは人間と同じだ。
今の体で考えて動いて当たる。それが普通のオートマトン」
「旦那たちは特製ですか?
その、『写』に繋がっているだけでそんなに変わるのかな」
「いざとなった時に扱える質量が大きく、重くなるな」
「そうですか。何が違うのかな……
あ、ありがとうございます」
わたくしはリソくんのドリンクをもっかい注いてから、自分の飲み物も準備した。
「普段の生き方、動きはそんなに変わらない。自動人形の本能として、うまくコピアして周りに従う」
「コピア……ですね」
リソくんはなんか意味深そうにニヤリ、とした。
「?」
「それはつまり、一般の自動人形も普通に人として生きてるように思われる」
「あ、そうだな。正体は自分だけが知ってる。完璧に人である人は別に『機械だけの世の中にしてやる』とか企んで行動したりしないので、本当の本当に潜んでいる自分の非凡のものとしての素質を持ちながら生きるのだ」
「子供はどうなりますか?」
「人と?できると思うな」
「できちゃいますか???」
軽くブハッと、リソくんは焦って飲み物を拭いた。
「大丈夫か」
「はい、すみません。
それは初耳ですが……まあ、言ったことないですね、はい」
「それが『本当に人として生きることができる』『普通に人として死ぬことができる』という意味だ。
だからわたくしはそう生きてない。今回は恵まれないね、としたら全て捨てて、ぽいだ。
そう逃げるか、新しい体か。リセットをされたらまた新しい街へ。私の経験と知識は普通役に立つからだ」
「ストイックだな」
「きみを拾ってなかったらわたくしも同じだったかも知れない。ストイックをやめてたと思う。
その繰り返しがちょっとしんどくなってたからだ。
めちゃくちゃ長生きをしているけど、ただ何回も何回も『ちょっと難しいからあいつらは悪いやつだ』になって、その間普通に黒死病は流行るし。
だから、後継機たちがどう生きるかはそれぞれの勝手だ。『なんで俺を作った、答えろ!』と訊かれたら、まあ、昨夜の考えでは『作るのは楽しいから』が正解だと思うけど」
「いい言葉」
「……で、ふだんこのように長生きすることは多くないと思うのだ」
「へえ〜」
「そうだな、子供が生まれたら、それが人でありながら自動人形の素質も持ってるかはわからないな」
「知る術がないです」
先とはだいぶ違って、リソくんはクス、と笑った。




