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珍しいもの

「またギルド長は変な話を……」


引率のせんせいはほっぺとデコを同時に触れながら言った。けっこう背が小さい彼女は、そうすると帽子と服の塊くらいにしか見えない。

ミカエル学長は平然と言う。


「それ自体は普通で同然だ。もちろん、話自体が急なのはよくないけどね。

見たことも聞いたことも、魔術史にも残ってない『植物の魔法生物』

いや、植物の『怪獣(ベヒモス)』なんだ。似たような伝承は神話や民譚の少ししかなくて、実際に非凡使いが遭遇、交戦した記録はあまりない。なんの弱点があるのか、討伐したらなにが得られるのか、強いか、賢いか、邪悪か。全部わからないままだ。

つまり、ドラゴンのものよりもまれな魔力素材にもあり得る、珍しいものだ。それは欲しがる人もいるだろう」


実際には生命力を失った奇怪巨木とその下は、全部ただの木のクズになっていたけれど、それを知るのは大魔術に参加してるおれたちだ。

参加者の他の人たちにもギルドとの魔力登録のような仕組みで秘密が保たれていて、「ほかの非凡使いに情報を流すこと」はできないのだ。

この縛りは、なら平凡の情報屋などに話が流されるとどうしますか?という問題点があると思われるかも知れないけれど……ぜんぜん、それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()心配がぜんぜんないのだ。もともと平凡の物事は、(ディミティス)で追跡することもできないけど。(そしてこれも同じ仕組みだ。非凡科の調査官は、エーテルの物事を見るから)


「それは、まあ……そうですが。追加に『毒液』も美味しいと思われるでしょう」


「そう、毒液も似たような話だ。なくなってたから、(カルタ)として意味が出る」


「水の堂がいちばん被害が大きいだろうから、各地に派遣されたアクアと関連したギルド員を通って、自分たちの命がいったん一番可愛らしい領主やお偉いさんの協力を得て、秘密裏に探った毒液の販売先。それは、たぶん精製をしたものたちの規模が小さすぎて逆に尻尾を掴むことができなかったと言います。

水の堂のみなさんがそうだから、他の人たちは絶対探せない」


「そうだな」


「それが、魔術ギルドが奇怪巨木を倒して、『なんとか囁き』は全部『命を止める魔法効果』を失ってしまった。もう流されたものも毒薬として機能しません。なら、それを倒したギルドは、いいものを独り占めしようとするに違いがない。そう思われる可能性が高いと感じますね」


ミカエル・グエラは結構面白そうに笑う。


「そうそう。ラファエルギルド長は大体の計画は石の遊びのように所々に『大事なこと』を置いて、その中間はだいぶ柔軟に時々埋めるタイプの人だけど、これは俺たちが実際に❶奇怪巨木の本体を発見する前は、❷戦って破る前は、そして❸『夜空のもの』だから破棄する前は、もともとない話だった。話自体が未確定だった。だから、彼女の立場では『ふむ、ならあの木のクズだけを功勲として貰った私たちに、魔術ギルドにいちばん利得はなんだ?』と考えるべきだったんだ」


引率のせんせいはやーだという顔で話を受け継いだ。


「つまり、考えるのが中間から、もうどうでもよくなって……『やはりギルドは珍しい人を集めるところではなくちゃ』と発想が飛び跳ねたんでしょう」


「その通りだけど」


「やだ!!!

ああ……

ハッタリしか残ってない草木の化け物なんて……虚無です……

その悍ましいわざなどは誰も知らないんでしょう」


「そう、そのための大魔術だ。非凡の隠匿だ。それは平凡の戦争も政治も同じく、もう使えないものは仕方がなくて、内側の組織にはちゃんとした経験になるように、外部の取引先には弱点にならないようにすべきこと。

俺たち、火の堂とギルドのみんなが頑張ってくれて破った『無限に作り出される毒草の化け物』『撃ってもすぐ治る(スーパー)再生能力』『死の雨』などは別に知られない。それらを破った俺たちのその行いも、ディミティスの可能性と共に消える」


「たぶん、もうできないと思いますよ」


そうだ。おれたちがずっと「戦いの後も」残ってたその整地は、つまり誰もそこに非凡の戦いがあったのを調べることができなくするためでもあったのだ。


「そうだな。そしてここは楽しいことだと思うのが、ギルド長はむしろ『だから何があったのか』を調べるために来る新しいマギアたちを、むしろ今回の大魔術の後の収穫として狙っていることだ」


「まあ……わからないことではありません」


「それを普段はせんせいに投げてた分まで帰ってきたのがプラスして、俺も結構やることが多い状態だよ。馬車の疲れが溶けたら、一緒に進みましょう」


「わかりました」


「学長ーなら、その『今回の大魔術の情報を貰うに来る子たち』がもしいたとしても、私たちは普通に喋ってもいいんですか?私たち、隠せるとか流すとかそういうのあまり得意じゃないから」


「そうそう。俺もそのことはギルド長に言ったけど、大丈夫だって」


「そうですか?」


「なぜなら、入ってるフラマの子も、同じくフラマの子だから別に隠し事ができないからだよ」


「やはりギルド長は頭いいな」

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