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力属性(レクタス)の土煙

「たぶんこのあとギルドの行事があると思いますが、おれたちも移動しましょう」


「そうだけど、わたしはネロさまを支えないといけないね」


エンブリオ少年と、フラマの人たちとそう移動すると、かんぜんにサボり中の薬師さんになってしまう。今はこのあとすぐ司令部に戻ると問題ない、ぎりぎり点だ。


「あ、そうだな。ならぎりぎりまで話して……この後は家ですか?」


「そうなるね。『工事』が終わるまではぜんぜんだ」


「マジか……」


溜息を吐くエンブリオくんだった。わたしが好きすぎて、命かけの戦いを(平凡の何々戦争の戦闘に参加する場合よりはぜんぜん安心できる戦いだったとしても、死に至る毒液が飛ぶ沼地だ)やり遂げた、8才児なのだ。でも、それは確かに先のフラマたちに比べると、けっこう穏やかな反応だったかも知れない。


「まあ、きみが健康なことを見て、別にドルイドさんでもなく呪術も使わない夜に頭が光るだけのステラ・ロサさんはとても嬉しい。ギルド長とフィレンツェに戻って、たぶんネロさまの『報告書』を作り出す過程のネロさまと非凡の占星術師さんたちの愚痴(ぐち)を聞くのがわたしのお仕事だ」


「たしかに」


「ただ、1つお土産話(みやげばなし)を貰っていいかな」


わたしの言葉で、嬉しい限りという感じで、エンブリオ少年は言い出した。


「もちろんです!!!

なんなんでしょうか。『土煙』『毒草が使うわざ』『浄化魔術を水の堂の全員でやったこと』『4属性のスフィアでありながらもフラマで絞った経験』『このあとの工事で大活躍すると思われて、何気にウリエル学長が気に入っているそのアルベルト氏』などの話題がありますけど。でも、おれが参加できてなかった部分は言えません」


「多い多い。『土煙』だ」


エンブリオくんもまだ凄くハイテンションであった。そして、「森のおじさん」どんなに嫌いなんだ、この子。


「そうですね。他よりいちばん謎でしたね。実のところ、おれはデュラとしては『毒の雨』と同格に謎なんです、そのわざ」


「そうなの?」


そう。他の土の堂の人はたぶんウリエル学長のことが凄く好きで疑問を持たない。そう聞いた。そして、他の堂は違う属性だからわからない。でも、エンブリオくんはどれも違うのだ。土の魔術の事がわかって、それでも疑問が持てる。

固くして、岩から土になる範囲を動かす元素魔術・土。それがどうやって雨を防いだか、わたしはその平凡の常識としては本当に理解ができなかった。


「まあ、かんたんに言いますと普段の土のエーテルの色より凄く明るいオレンジ色でした。そのエーテルの色を沼地の全員が見ました。そして、そのチカラの源はウリエル・モルテせんせいがこの辺りの沼地の根本を探りながら……『土の魔術を使うための起点』を探しだしてやった、一時的な固有魔術(ウヌス・マギア)のようなものだったらしいです」


わたしは彼の言葉に頷いた。


「そうそう。もともと『水の堂』『風の堂』と違って、土の堂はあまり新しいわざを作らないと言ったじゃあないか。だから土煙とはわたしが知ってる『目にゴミを入れる魔術』だと思ったけど。それで()()()()()()()()()()とか、おかしいと思った。

めちゃくちゃ焦ってる状態で出したわざ、だったということかな」


「そうなります」


「ふむ、なるほど。魔術の体系にまだなってなくても、彼も土の大魔術師としての凄い威力のわざが出る。その『オレンジ色』は?多分きみならなんらかの理由を付けているのだろう?」


「貴女が好きです」


「なにをふざけてるんだ先から」


あまりにも感情が急だけど、そんなに困って無かった。


「いや、これは理由がありまして。昨日、宴をやってましたが。司令部に連れて行って、その理由をおれが考えて粘って説明したんです、せんせいたちにですね」


「ええ……」


「大変だったんですね」


「そうだな」


それは確かに「よしよし」したいところだった。先の引率のせんせいもそんな感じだったけど、多分自分たちと属性のことが違って、それでも話ができる人……話をさせてもいい人に、いったん聞くと言う作戦だな!


「おれの理由はこうですね。『紫色』あるじゃないですか。『紫色を付けると、オレンジ色は土色になる』これでなんか上手く通りましたね!」


「うむ、よくやった。でも、それはどういうこと?」


「おれも知りません。つい思いついたけど、『平凡の絵の具のように色を合わせる』あのくだりのおかげでなんとか言えました」


わたしも彼がどんな状況だったのかはクララとして良く知ってる。だからこれからはわたしが考えて合わすことにした。


「そうだな……見よう。

土の元素魔術が扱うのは岩、石、砂と土。そして土は湿気(しっけ)が入ったからこそ土色になるのだ。平凡の土がな。そこで、ここは今はぜんぜんその気配がなくなったと思われるけど、『毒気でいっぱいな土地』だったのだ。ここで付ける湿気って、紫色のあの非凡の毒液だったということだ」


「ハグしてもいいですか?」


「別にいいけど」


わたしは腕を開けたら、自分より凄く小さい少年が抱くのを感じて、もっと大きく育つべきだ、とやはり思ったけど、やっぱりわたしの感じの通り、この「土の魔術」って、「ただ土を動かす」より隠された秘密があると感じた。

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