それが偽りの絶対宇宙戦争の傷跡ということ
「そう、たぶんそれがわたしが……非凡のものとしてのわたしが怖すぎて記憶を消している理由なんだ。
そして平凡のものは、それを知ってはいけない。わたしが今きみにずっと示した疑問は、人がまともに生きるのを阻む考えなのだ」
ドルイドさんは奇妙な表情を見せて言った。
「『まともに生きるのを阻む』考え……」
「うん。頭が狂ってしまうような怖すぎる思想なんだ。それはもう聖堂の神父さんの話に逆らうくらいの問題も、広場の火刑で自分の平凡の身くらいが燃やされることなどを心配することすらも超えている」
「それほどに!?」
でも、おれも大げさに反応しながらも、彼女の言葉を少しわかった。
「ブイオさまの今の言葉で少し察した。わたしは詳細は覚えてないけれど、一応深紅の悪魔としてのわたしがこの世界に来てどんな生活をしていたくらいは覚えるようになってるから。見る目は人と違うとしても……師匠も、学校も、ムー大陸のエーテルの物流システマも意思疎通のシステマも覚えてる。
ムー大陸の人々を覚えてる」
「そうですね」
おれは肩を縮んで同意した。おれも薄く、そのようなことを見ているからだ。
「そう、わたしはムー大陸の人々を覚えてるのだ。だから違和感を感じてたんだ。
でも、その人たちはもういない。ただのイマジナリア、ファンタジアの中なのだ。今の非凡使いのような普通の人が居ながらも、エーテルに慣れてなくても扱う人も多かったその社会はもう過去のものだ。『最悪』の後、その『絶対結果』から75000年が過ぎて……様々なことが文字にも残されないまま続いてて、『兵士の国』辺りからは今まで平凡の歴史 (ヒストリー)が続いている感じなんだろうけど」
おれはドルイドさんの表現に違和感を感じてそれを聞く事にした。
「はい?おかしくないですか?エーテルに慣れてなくてエーテルを使うとか。矛盾しないんですか?」
ドルイドさんは否定した。
「いや、それで正しい。豊富過ぎるとそうなるのよ」
「ああ!」
確かにそうだった。ギルドも、「四の堂」の実験室や資料の精製目的の作業室には魔法陣が設置されていて該当属性のエーテルの繋ぎと魔力素材が備えているから、そんなに自分のスフィアが強くない人も簡単な呪文くらいで魔術が使えるようになってる。(そして、それがまたその属性の量と多彩さを増して維持させる構造だ)そのようなものが、それを超えて「非凡の物事が見えて聞こえない人すらも」魔力お仕事が使えるように無尽蔵なエーテルと様々な生き物がいたのなら、もしかすると。
「そう、それがムー大陸。賢者の国。そしてその国が今はなくなったのが……『ムーの最悪』事件だ。
ムー大陸がどこに行ったのか、やはり23番目の仮説通り空中で爆発して消えたのか……わかる術はないが、とにかくきみが見た『ムー大陸の夢』その主体の、ムー大陸のエーテルリソースとしての国そのもののぶにゅぶにゅの神様の行いがあったに違いがない」
「つまり、それをいちばん知ってるのは記憶を消している非凡のものとしてのドルイドさん以外は、夢を見ているものということですね。張本人の記憶だから同然ですね。でも、その夢の事を中々鮮明に見ているつもりのおれはそのような理解ができなくて見れなくて、見てもおれの心がそのファンタジアを拒否して観えてないということだ」
「そう。深紅の悪魔としてのわたしにすら『禁忌』のようなものなのだ。それを恐れて心を備える事はそれでよし。でも、過剰にその過去をしろうと、知ってもどうしようもないのに執着するのもよくなかったのだ。わたしはそれがわからなかったけど、今の疑問がその過去を触れてることだったのをブイオさまの言葉でわかった」
「なるほど」
そこで、マントが動いて喋った。
「今の話が話せるようになったら、もうステラ・ロサさんの物語も80巻くらいになるだろう」
おれはブイオさまの冗談でちょっと笑った。
「その時期は、おれはもう爺になって亡くなってます」
「そうかも知れないな」
ステラ・ロサはなぜか少しスッキリした感じだった。
確かに、おれを食おうとした深紅の悪魔は、人間は今の様にエーテルの適性がないとか言ってた。(そして、今が何年なのかも聞いてた)それはドルイドさんの深紅の悪魔としての過去だけではなくて、他の深紅の悪魔も知るように、ここはエーテルの適性がある人がいるということ。おれのような少年が非凡の事を見て聞いて、スフィアを触って使えるのが珍しいことだったという意味なのだ。
ムー大陸……そこは、無尽蔵のエーテルで容易く飛べるし、心配なくて食べれていける……「穀物の生産量」などをぜんぜん心配しなくても生きていけるけど、それは神様が創造した世界で生まれた人間たちが生きていく形ではなくて……そのエーテルリソースがいてくれたからのもの。蜃気楼であり、楽しい、楽な夢だ。もともとそこは実在してても、本当の意味の世界ではなかったかも知れなかったのだ。
そのように、現代人特有の過去の人間をいったんクッソ馬鹿扱いをして、道徳的な優越感を得る愚かさくらいで思考を辞め、その真実を直面する事を避けようとするおれを俯瞰した。
エンブリオくんは本当に自分で生えてぶにゅぶにゅの神様にまでなっちゃいました。おかしい奴です。




