良い子過ぎないか?
「意外……ですか?」
ドルイドさん、ステラ・ロサは腕を組んで思う。
「そう、意外だ。その、堂の間でなかなか仲が良いのが本当に不思議なのだ」
「それほど……?」
ドルイドさんがこういう話を言ったのは以前からだったので、そんなに珍しくはないが……今は決定的にガブリエル教授含め何人の水のマギアたちがおれがこの大魔術で「火のマギアとして」活躍して欲しいと言ったのが決定的だったろう。
「だって、きみが好きな騎士小説でも、汚いものごとはいっぱい出る。疑心暗鬼と、王様を欺いて仲間を罠にはめたり・裏切りするじゃあないか。ギリシャ・ローマ神話にも、そういうのがたくさん出るし、わたしは別に興味がないが……なになに戦争だ、どこの国のお姫様がなんとか大変になったなどの平凡の物事はだいたい汚い。そうであろう」
おれもドルイドさんの話を分かって、答える。
「ああ、そうですね。非凡使いが互い仲がよくて、破滅しないことについて疑問だ」
「そう」
おれも基本はこの2年、自分の属性というものに自信がなかったので、そういうことはいっぱい悩んでた。
「それは、今の4の堂が中心として確実にいてくれるから。そして別にラファエル教授が権力を持つようになる前も、なかなかギルドの中は集結ができるカタチだったんです。もともとそうなんです。そこからラファエル教授の『珍しい奴を集める』という理想に共感する人が集まっているから、よりそうなったということです」
「四の堂か。確かに全員天使さまの名前だし、けっこうそれっぽい」
「そうですね。最近言った通り火の堂の教授もそういう名前や象徴のようなものが影響が大きいと言いましたね」
「うん、それは正しい。
ふむ……『珍しい奴を集める』か。国際非凡組織というのはその意味ね。わたしもそれは共感できる。知ってて、わかる。ラファエラさんは凄い人だ。マギアとして同然のように天才で化け物なのはともかく、その人の人間としての声がうるさくてチカラがあるのが凄い。本当にそれっぽいことになると感じて、マギアはみんなその珍しい連中の中で互い尊重しながら聖堂の価値や平凡の人を非凡の邪から守るという『良いこと』をやる。そのまっすぐさを感じる。
でも、彼女が居なかった時も、しかもレヴィアタンの事変でギルドが粉々になった時にさえ、そのような善意?構造?が維持できたのが、わたしは本当に納得ができなくて理解ができない」
「そうですか」
「いいことだ。とてもいいことだけど、違和感がある。なぜなら、人は必ず他をせめて利得を得るのがどうぜんで、マギアは奇跡の様なことができて、アルマは怪力が使えるからだ」
別に言わないけど、おれが先言ってたえぐい魔法効果のようなものは実際できる。そういうものを作り出して己の利得だけに利用して他のギルド員を葬るとか、裏切って使い切ることとかも「やってはいけないころ」だけど「できる」ということだ。
「ふむ。いつものことでしょう。社会が維持できないし、個人ができることは限られている」
「そう。わたしたちはそう行動する。だからわたしはきみがけっこう気に入ってるのだ。
でもみんながそうするのではない。この世界の人間は100人1000人よりはちょっと多いからだ。その中で贅沢のためのズルはできる。そして、平凡の社会は必ずそのような事件が起こるじゃないか。だからもともと『毒液』が問題になってるのだ。
でも、ギルドのマギアたちがそのようなものを大単位で利用してると、それがばれて問題になったとは聞いてない」
確かにそれは考えてみたら、みんなが良い子で同時に察しが良すぎる事だったかも知れないけど、でも、ギルド員にはちゃんとした理由がある。
「人は全てを見て聞いて、聖堂の解もありますから。そういうのをマギアは平凡の目と耳と同時に、スフィアで見て聞くのです。だから、より強く感じるのです」
「ディミティスって読める限界があるだろう。それすらもみんなも知ってる」
「でも、『そのようなことが存在する』ということで十分なんです。みんなも……ギルド員がそれぞれ全部を感じるのです!俺は貴方がしたことが見れて、貴様は私の術式を理解している。互いが互いをプロとして意識する。それが抑止力というものなんです。実際、ギルドの『群れ』でいけなかったひとは破門にされて、黒魔術師になったりしました。そしてそういう人が手を出したのが平凡の王系や貴族さんたちに行った『非凡の毒』事件なんです」
「ふうん、それはそうだけど、本当にわたしの感覚では、ネロ様やそのような性格の人が体制に順応して利得を取ろうとしないのが、逆に違和感があった。
逆にフラマも、大砲人間としていちばんギルドでは贅沢するし名誉もあるとしても、火のマギアとして生活を受け入れるのが不思議だ。良い事だけどそれだけだ」
「そうですね」
「これは、あえて言うと、わたしがきみを火のマギアとして心配しているとも言える」
「それは……どうも」
おれはドルイドさんが何にそんなに違和感を感じるのかちょっとわからなかったけど、最近の「黄金のエーテル」というものもそんな思い込みだったので、それも彼女の「灰色の呪い」もしくは「深紅の悪魔」の過去……それとも、田舎者のクララさんとしての不自然があるかな、と思った。
「ネタ晴らしをすると」
そこで、ブイオさまが言った。
「いや、言わないで下さい」
「エンブリオくんが困ってるだろう。
別にわたくしが過去を知ってるわけではなくて、ただの推測だ。
答:決定的に■■■■■■■■■■■■■たからだ」
「はい?」
そして、ブイオさまの「神話生物理学」とやらと違って、その言葉を聞くのを魂が拒否した。ドルイドさんは目を細くして自分のマントに言った。
「それって、なんの意味ですか」
「文字通りだ。そしてエンブリオ少年には伝わってないと思うけど。それは部分的には当たる推測で、最小、ステラ・ロサというマナが心の底に持つべきものだということだ」
「そうです。おれには今ブイオさまが何を言ってたのかわからなかったのです。ただ深紅の悪魔の名前を言ってた時とも違う、奇妙な感覚があったけれど……」
「ふむ、それは仕方がない。でも、おまえは納得できたのか?」
「わかりません」
「それくらいがいいだろう」
確かに、なんで魔術ギルドで「騎士小説や伝説でよく出る」汚い裏切りごとなどが行われてないかについて、ドルイドさんはなにかを納得したようだった。
《悪い子はもう生まれてなかっ》たんです。「苺参」ガタノソアが”非凡の物事に優れて”×”悪意を発して他を妨げる”性質の子をだいたい皆殺しにしたからです。ぶにゅぶにゅの神様は恐ろしい!




