東方地底秘話47話
覚無から嘘は感じられない。だが……そんなことは………。
「今がこの話をする時なの。全内容を間違えずに聞いてね?」
「……できたらな」
「無幻界とつながるゲートができた理由は私も知らないわ。まあ、ゲートと言えるような入口は本来存在しないんだけどね」
「地下牢はゲートのようにつながってない気がするのだが?」
「それは、リバースフランが改変したものよ。もう開かないでしょうけど」
「覚無。俺が無幻界に立ち入ったことはあるのか?」
「ええ。それも……何度もね」
「そう……か…立ち入っていたのか…」
これ以上の会話をする気が失せた。
「もう、帰らないか」
「もう聞くことはないの?」
「何か……気が向かなくてな」
「そう。まあ、別に構わないけど」
「すまないな」
「別にいいわ。ね、フラン?」
「うん」
「ありがとな。今から、帰るとするよ」
地霊殿へ帰り、日常(?)を過ごした。
その日の夜、特に理由はないが、中々眠れなかった。
しばらく時間が経ち、どうにか眠りについた。
また……あの場所か。
雲ひとつない空と謎の草原。
幻想郷でも、無幻界でもない夢の世界。
自分が解放される場所だ。
覚無はいるのかと辺りを見回した。
覚無の姿はなかった。しかし、
「………………………」
それは、いても不思議ではない存在。
そう、こいしだ。
遥か彼方を見つめたままの立ち姿は、
何か言葉では表せないものを感じた。
俺に背を向けてこいしが見つめている視線の先には、終わりの見えない草原がある。
少し、こいしを驚かせようと思った。
何も言わずにこいしの近くまで歩み寄る。
約3mの距離にまで近付いたとき、歩みを止めた。
見てしまった。いや、見えてしまった。
こいしの足元に広がる赤黒い液体を…。
こいしがピクッと動いたかと思うとこっちを振り向いた。
こいしの表情は、満面の笑み………。
そこで、夢の世界の出来事は途絶えた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
こんなに悪い目覚めなど………。
よろめきながら立ち上がっているとき、
得体の知れない何かに上から押さえつけられた。いや、この空間ごと押し潰されているような感覚だ。
床にうつ伏せななったまま動けない。
時間が経つにつれ、空撃を押し潰す力は強くなっている。
ガチャ。
「覚無。来るのが……遅い………」
この時間に部屋へ立ち入るのは大半が覚無だ。
だから、今ここに来たのも覚無だと思った。
だが、ここに来たのはこいしだった。
2、3歩ふらふらと進んだかと思えば、
突然気を失ったかのように倒れた。
こいしが倒れると同時に、自分を押し潰していた力はなくなった。
「おい!しっかりしろ!おい!」
返事がない。
「………ない………」
心に聞こえる微かな声があった。
「………許さない!」
今度ははっきりと聞こえた。
ただ、誰が何の意味で放った言葉なのか分からなかった。
こいしのような……何か違うような声だった。
まさか、あれと関係が……。




