東方地底秘話48話
思い出すだけで吐き気がする。
満面の笑みで、こいしの開いた3rd eye
から滝のように流れる血は、想像を絶するものだった。
…………そうだ。早くこいしを………。
さとりに今の状況を伝え、看病することにした。
「こいし!こいし!」
さとりが何度も呼びかけるが返事はない。生きてはいるのだが、まだ目覚めない。
こいしが倒れてから半日ぐらいが経った時、こいしは目を覚ました。
「こいし!大丈夫なの?」
「う〜ん?よく眠れたけど、どうかしたの?」
「え………?」
「なんだ〜、もう夜が近いんだ〜。
寝すぎだったみたいだね、お姉ちゃん」
「何を言っているの……?こいし……」
「お姉ちゃんこそ、何を言っているの?」
「……ちょっと…外で涼んでくるわ……」
そう言ってさとりは部屋から出た。
「ねえサコにぃ、お姉ちゃんが何を言ってるのか分かる?分かるなら、教えて?」
「本当に、大丈夫なのか?」
「なんでみんなはそんなことを聞くの?
今の私はとっても元気だよ?」
「それはそうだが……」
全く話が噛み合わない。
「こいし、昨日はいつ寝たんだ?」
「ん〜、覚えてないな〜」
「それなら、寝ている時に、何かあったのか?」
「だから〜、そんなのな〜い〜よ〜」
「朝、俺の部屋で倒れていたんだぞ?」
「えっ、そうなの?」
「そうだ。だから、さとりが心配するのは当然の事だ」
「そうだったんだ…。お姉ちゃんには、申し訳ないことしちゃったな…」
「ちゃんと言えばいいさ。きっと分かってくれるからな」
「そうだね。今から言ってくるよ」
こいしが部屋から出たので、自分の部屋に戻ると覚無がいた。
「なぁ………」
「ねぇ………」
………。
「あのな………」
「あのね………」
……………。
「いや、その……な……」
「いや、その……ね……」
…………………。
どうして同時に話しかけるんだ。
「覚無………」
「覚故………」
……互いの心が読めるというのは、こういったことがあるからいいものではないと思わされた瞬間だった。
7月20日 金曜日
今日は、1学期の最終日。1つの区切りだ。何事も無かったかのように、1日は流れた。
ただ1つ、9月の戦いの相手を決めるという重要なことがあったのだが、なぜ3クラスしかないのにトーナメント制なのだ。
決定方法もくじとは……。
まあ、ほかの連中にとってはお遊戯でなくもないから仕方ないということだ。
だが、おかげで俺のクラスを有利にすることができる。
そう、このクラスには早苗がいる。
くじで当たりを引いてほしいと頼んでみたところ、
「その程度なら奇跡なんて不要ですね!」と言っていたから心配ないだろう。
結果は予想通り。A組は1戦のみとなった。
こんな時でも俺の視界にだけ映る覚無がいる。
もう慣れた。だが、他人が同じ状況に立たされた場合耐えられないであろうことは誰にでも分かっていること。
まあ、余程の狂愛者でなければの話だが。
こんな想像も覚無には丸聞こえだ。だからもう考えない。
……今日から、夏休みが始まった。




