東方地底秘話35話
「どうして……私の心を読むの?」
「理解してほしいと言ったのはお前だ」
「誰にでも悩みの1つや2つはあるでしょ!」
「それは俺も同じだ。先に心を読んだのはお前だろ?そろそろ気付けよ。お前がしたことは俺もするんだ」
「……………」
「十分な時間はあった。朝の質問の答えを教えてくれ」
「今までで………1000回」
「なんで……そんなに……」
「仕方なかったのよ!!仕方なかったの……
覚故を守るために……」
「俺を守るために俺を殺すことごあるかよ……」
「だって!だって!!
…………とっくの昔に……死んだでしょ……」
「う………嘘……だよな……俺を驚かすための冗談だろ……?」
「ごめんなさい。今まで……本当のことが言えなくて……」
「そんな話……聞いたことがないぞ……?
重い冗談はなしだぞ……?」
覚無は悲しそうな表情で首を横に振った。
「ごめんなさい……あなたを守り抜けなくて……」
嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。ありえない。
だって俺は……ここに確実に存在している。
俺はここにいる。古明地覚故として、確実に生きている。
「もう……口に出すことだって辛いのよ……。
こんなこと知られたくなかった……。
でも、死に直す度にあなた……死ぬ前とどんどん変わっていくから……。
1000回目で、私の致死量ぎりぎりの血をあげた時に……最初に死ぬ前に最も近くなった。
だけど、死に直す度に成長して……過去にすがり、真実を知ろうとする。
もう、殺したくなんかないのに……………」
覚無は、頭を抱えている。
「それならそうと、どうして早く言わなかった………」
俺は………泣いていた。涙をこらえることが出来なかった。
「このことをあなたが知ったら……
私は1人になるんだもの……」
……………
「だって………1000回目の時……2年前の3月7日……。
覚故は私の誕生日を祝ってくれたよ……。
だけど、悲劇は突然に起きた。
あなたは言った。
『自分は死んだはずじゃなかったのか』と。
私が999回もの間秘密にしてきた事実に気付いてしまった。
次は1000回目。私は決心した。
これを最後にしようって。身元不明になるまで撃った。
これ以上思い出すことがないように。
そして、約1ヵ月。
2年前の4月2日までの間、私は覚故の新しい過去を創った。
これを信じてくれればいいと思った。
約1ヵ月の間、私にしか分からない死体を横に置きながら」
「俺の実体は………どこだ……」
「ないよ」
「……………は?」
「もう……ないのよ……」
「覚無あああああああ!」
俺は………覚無を撃っていた。覚無の体は開いていた窓から外へ吹き飛ばされた。
「はぁ………はぁ………はぁ……」
ガチャ。
「サコにぃ!何してるの!」
部屋に駆け込んで来たのは、こいしだった。
「こいし……お前、知っていただろ……」
「何を?」
「俺が……生きているのか……」
「本当に言いづらいことだけど……サコにぃは、死んでいるよ」
「なんで今更……そんなこと……」
「私だって、早くこの事実を言いたかった……。でも、サナねぇには勝てなかったから……」
37年前の封印は嘘。
それなら、あの戦いは……
「真実を伝えようとする私たちと真実を隠そうとするサナねぇの戦い……」
「話は………終わったの……」
視線の先には、覚無の姿があった。




